川の国のカワトンボたち
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(1) まずはニホンカワトンボ。橙色翅型♂。翅はもちろん、胸は青緑から銅色まで金属光沢、腹は淡い水色、全身パステルカラーの美しいトンボです。雌雄はもちろん、成熟度合いや個体差で、色合いは均一ではありません。
(2) こちらに敬礼している無色翅型♂ わずかに翅に橙色が見えます。
(3) 右が無色翅型♀。交尾のあと産卵しようとするも、警護のオスが近すぎ(笑)
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(4) つぎにアオハダトンボ。翅は構造色。光の当たり方、見る角度などによって見える色が変わります。オスの翅は黒~藍~青~深緑あたりグラデーションに輝き、胴体は光沢のある金緑色。まるで宝石のようです。
(6) いっぽうメスの翅は渋めの褐色ながら、透け方や光の当たり方しだいで赤っぽくも青っぽくも変わり、言葉で説明するのが難しい複雑な色合いを見せます。
(7) アオハダトンボの求愛行動は独特です。オスはメスの前でホバリングしたり、いきなり水面に落ちては浮かんで、腹の先っぽを反り返したりして見せつけ、アピールします。
早瀬に飛び込み流され、メスにもスルーされてあたふたしているオスを何度も見ました。笑えます。近づくオスにメスが「いまはお断り!」サインもあって、それ出されても誘い続けるオスとの駆け引きなど、とにかく見飽きません。
行動が急で一瞬なんで写真はうまく撮れず‥‥
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(9) それからミヤマカワトンボ。均翅亜目のトンボでは日本最大の固有種で、雌雄とも翅の先に色の濃い帯状の部分があり、他種との見分けは容易です。(左が♂)
(10) 全身に金属光沢を纏い、胸は飴色~銅色、オスの腹は青~金緑色、メスは褐色、翅は雌雄とも雅な茶褐色でメスはさらに淡く、初夏の清流を彩る妖精のごとし。(写真は♂)
(11) 繊細かつ緻密な翅は惚れ惚れする美しさ。オスはもちろん、メスもまた‥‥
(12) 若い個体の翅は透き通っていて、見事に光り輝きます。(写真は♀)
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(13) アオハダトンボ♂の、いきなり水面ドボンの求愛ディスプレイは、ミヤマカワ♂もやってました。腹の先端を上に曲げるところまで、そっくり。
(14) カワトンボの交尾はどれも綺麗なハート型 (ミヤマカワ、左が♂)
(15) 産卵は多くが水中の水草や枯れ木にするのだけど、どういうわけか、水に浸かった私の足に産卵し始めたメスと、警護するオス。もしや枯れ木と間違われてしまったか? (ミヤマカワ、左の水中にいるのが♀)
(16) 産卵中のメスは近づいても逃げません (ミヤマカワ)
(17) 同じ場所で複数が同時に産卵している様子もごく普通 (アオハダ)
(18) 水に潜って産卵している様子もごく普通。10分以上の潜水もざら。(アオハダ)
(19) 近くに止まって、「あいーーーん」して去っていくやつもいます。(ミヤマカワ♀)
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(20) 愛らしく、華奢に見える彼らですが、トンボはみな例外なく肉食。その食欲は総じて旺盛で、空中で小さな虫を常に捕らえては食べている感じ。たまに大きめなのを捕まえると、こうして止まってむしゃむしゃむしゃ‥‥ (ニホンカワ♂)
(21) メスだろうと捕食に関しては同じように獰猛 (アオハダ♀)
(22) ハエをゲットしたところ。食事中はご満悦なのか、翅の開閉を繰り返すことが多いのでシャッターチャンス2倍 (ミヤマカワ♀)
(23) けっこう大物も捕らえています。餌食になっているのはカゲロウの仲間でしょうか、余すところなく食べてしまいました。(アオハダ♀)
(24) こちらはアミメカゲロウの仲間かな、摂食は休まず一気に刹那に (アオハダ♂)
(25) ミヤマカワ♂の足元にはカゲロウやハエがいますが、トンボは飛んでいる虫しか食べないと云われているから、被食者らはここにいても動かなければ安全?
こうして小虫を食べて命を繋いでいるトンボも、別のトンボに食べられたり、クモの巣にかかってしまったり、鳥に飲み込まれたり、生と死が交錯している日常です。どういう世界観なのか想像もつきませんが、見ていて分かるのは、みな一瞬一瞬を精一杯生きているなあ、と。
4月のニホンカワに始まり、5月にはアオハダとミヤマカワも加わり、6~7月にかけてそれらが清流を飛び交い、だけど7月も後半になると不思議とみんないなくなります。その亡骸をみることはほとんどありません。
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(26) 入れ替わるように姿を現すのがハグロトンボ。オスはぱっと見、アオハダトンボと見紛いますが、大きさ、翅の縁の色、腹の先っぽなどの特長から見分けは容易です。
(27) ほか3種と比べハグロは清冽な水を求めないようで、川越市内でも6月末から10月頃まで見られます。(左が♀、右と左奥が♂)
(28) 夕方の渓流はキラキラ&シルエット撮影のチャンスアワー。しかし思惑通りに撮れるものではなく、いざ狙っていた瞬間が訪れてもAFが迷いまくって何も撮れなかったりします。でも、偶然が重なって、思いがけずこういう場面が撮れちゃったりもするから楽しいのです。
(29) 締めに環境写真を1つ。カジカガエルの透き通る歌声が響く初夏の渓流風景です。
以上、ざっくりながら、今年、埼玉県内各地で撮ったカワトンボたちをまとめてみました。けっこう身近なところにたくさんいて驚きました。約4か月にわたり、川に入って子どものようにトンボを追いかけた日々。来シーズンもまた彼らに会いたい、飛翔シーンも狙ってみたいと思います。
なお、絶滅が危惧されている種もあることから、現時点では、具体的な生息地・撮影場所は伏せておきます。
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<※後注> 3属5種とは、ニホンカワトンボ、アサヒナカワトンボ、ミヤマカワトンボ、アオハダトンボ、及びハグロトンボ。うち、ニホンとアサヒナは酷似し、DNA解析をしないと判別は困難とされ、かつ、埼玉は両種混在地域とされています。本稿では便宜、区別せず一律「ニホンカワトンボ」と表記しました。
*撮影機材 OM-5 × M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
*主な参考文献
「トンボハンドブック」 尾園暁、二橋亮、文一総合出版、2024年
「くらべてわかるトンボ」 尾園暁、山と渓谷社、2023年
(第1199号)
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コメント
いやいや、見応えありました。今期の集大成って感じですね。まだまだ秘蔵の写真はあるでしょうけど、生態も分かってよいですね。 なかなかこれだけ撮影に出かけるのは場所知らないと難しいので貴重ですね。
それにしても見分け方とかも奥が深い。
ちょっとずつ覚えないと難しいですねこの手のものは。
投稿: てばまる | 2026年8月13日 (木) 11時04分
てばまるさん、お楽しみ頂けたようで何よりです。
カワトンボの撮影は去年からの宿題でした。場所は『公の機関』に尋ねたり、あてずっぽうに出掛けてたまたま見つけました。容姿の美しさ、生態の面白さ、など見飽きず、気付いたら通ってしまっていましたね。
カワトンボの見分けは、ニホンカワとアサヒナ、それらの雌雄の別を除けば、実際それぞれに明らかな特徴があり難しくありません。ほぼ図鑑の受け売りです。
投稿: 鉄まんアトム | 2026年8月13日 (木) 17時58分