質問内容:
 
連合会が政治団体である日本司法書士政治連盟さんに対して、四谷の司法書士会館事務室の一室を、近隣相場の半額程度で賃貸し、また会議室等の利用料を一般の半額程度に優遇していることが、法令等に違反するのではないかという点について、質問いたします。
 
こうした優遇措置、つまり利益供与というのは、政治資金規正法21条の会社等の寄附の制限に違反し、法人の目的外の行為として、民事上も違法かつ無効の疑いがあります。これについては、最高裁や高裁等の判例のとおりであります。
(※最三小判平成8年3月19日〔南九州税理士会事件〕、大阪高判平成20年11月12日〔和歌山県行政書士会事件〕)。
 
これに対して執行部は、平成22年4月16日付日司連発77号にて、「賃料等を支払うことが社会通念上相当であるというようなときは、賃料相当額が金銭以外の寄附に当たる」という、総務省の見解を引き合いに出しながらも、本件事務室については、利用制限があること等を理由に、相場との均衡を図る必要は無い旨、また、その他の関連団体に対しても同じ条件で使用させている旨を述べています。
 
しかし、一般の賃貸物件においても多少の利用制限はある上、利用できない間も物品の保管場所としては稼動しているわけでありますし、また、その他の関連団体は政治団体ではありませんので、利益供与をおこなったとしても違法にはなりませんので正当事由とは言えません。
そもそも相場の50%程度は妥当とのことですが、それも誰がどのようにして判断できるというのでしょうか。
 
司法書士が法律家である以上、たとえ1%でも法律や判例に違反する可能性がある行為は、避けるべきではないでしょうか?昨日の事業報告の中でも「コンプライアンスについては極めて慎重に」という言葉が何度も出てきました。
また「李下に冠を正さず」という言葉もあります。外から見て違法を疑われるような行為は慎むべきではないでしょうか?
 
なお、この件に関連して、連合会の平成22年度事業計画の中には、単位会レベルでの問題を含め「検討チームを組成し検討を続けており、今後の方針について考えていきたい」とありますが、前年度どのような検討がなされ、どのような方針で進めることとなったのでしょうか?
 
 
執行部答弁(里村専務理事):
 
私は、埼玉会比留間代議員からのご質問に答えます。それと、もう一つ、愛知県会金田代議員からのご質問に答えたいと思います。
 
まず最初のですが、日司連の会館の運営については、日司連会館管理運営規則を平成17年に制定しており、これに基づいて執行部も運用しております。その7条において、使用目的の条文に、司法書士に関する一定の団体、関連団体といいますが、これを条文上特定しており、この団体に限って事務室を使用させることが可能になっており、これらの団体からは会館維持協力金を納めていただいております。
日司連会館は、広く一般的に、賃料の収益を目的とした賃貸ビルのように、賃貸料を目的としているのではないので、通常の賃料の例や賃貸契約の例と比較することは、性質が少し異なっているのではないかというふうに考えております。
 
また同規則には、司法書士に関連する団体を特定した上で、会議室を使用時間を限って使用させることができるとの規定があり、現在もこの規定に従って、原則として会議室の使用料金はいわゆる別表1により請求しております。関連団体については、別表1の2により実費を負担していただくことになっております。ちなみに、別表1の2のほうが若干安くなっております。他の関連団体と同様に取り扱っており、特にこの規定がご指摘のように、政治連盟だけに対して優遇しているという認識はもっておりません。また、規定については、会館管理運営委員会の承認をもって減免することが可能である旨の規定がありますが、ご指摘の政治連盟の団体については、この2年間につきましては、減免したことの事実もありません。
 
仮にご指摘のようにこの使用体系が賃貸であり、会館維持協力金が賃料だとしても、会議室に使用している一室は、排他的使用ができないなどの一定の制限があり、会館維持協力金を賃料と置き換えて、今年度から値上げをした具体的な金額を検討しますと、社会通念上相当な範囲を逸脱しているとは考えておりません。この点については、昨年検討チームを2回開催した上で、検討内容を総務省選挙委員会にお尋ねして情報交換を行い確認を行っており、社会通念上相当な範囲を逸脱しないよう、今後も適切な対応に努めてまいります。
 
ただし、政治連盟という団体は、例えば、先に貸金業法改正や今後の司法書士法改正を推進するときなど、実際に決定を行う国会に対して理解を求め、要請を行う、司法書士制度全体の推進をする一定の役割を担っていくと考えております。
 
一方、ご指摘のように、政治連盟は他の関連団体と違って、政治資金規正法等の適用がある政治団体であり、その点については、法規範の逸脱がないよう適切に対応することが重要だと考えています。
 
今後は、例えば司法書士会と単位政治連盟が十分な協議を実施し、相互理解を促進することを期待しております。