ふるさとが近きになりて思ふこと
東京北陸間のメインルートは信越線経由(長野回り)でしたが、では、その在来線ルートが2015年3月14日以降どうなったのか見てみましょう。以下のとおりです。
【川越→横川】 JR東日本(川越線・高崎線・信越本線)
【横川→軽井沢】 ※1997年鉄道廃止バス転換(JRバス関東碓氷線)
【軽井沢→篠ノ井】 しなの鉄道(しなの鉄道線)
【篠ノ井→長野】 JR東日本(信越本線)
【長野→妙高高原】 しなの鉄道(北しなの線)
【妙高高原→直江津→市振】 えちごトキめき鉄道
【市振→富山→倶利伽羅】 あいの風とやま鉄道
【倶利伽羅→津幡・金沢】 IRいしかわ鉄道
【金沢・津幡→和倉温泉】 JR西日本(七尾線)
【和倉温泉→穴水】 のと鉄道(七尾線)
【穴水→宇出津】 ※2005年鉄道廃止バス転換(北鉄奥能登バス)
以上10社11区間の乗車券類が必要となりまして、言うまでもなく在来線はズタズタです。何よりも、東京を始発で発っても穴水にて足止め、宇出津までは辿り着けません。上越線でも東海道線でも無理で、唯一、中央本線の高尾5時43分発に乗れば、辛うじて宇出津行き最終バスに乗り込めるといった有り様です。(※ただし、上越線回りでも北越急行線を経由すると珠洲への最終バスに間に合います。)
それにしても、在来線の時刻表ページはバラバラ、各県境での乗り継ぎの悪さは嫌がらせのレベル、そして運賃は2割以上増しです。ふるさとが近きになりてと言われ思ったのは、基礎的な社会基盤においては、ふるさとがむしろ遠ざかっているという現実でした。
(第772号)
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コメント
新幹線は速くて便利ですけど、その陰でローカル線がズタズタになっていくという現実。政府は地方再生というのを旗印に言いますけど、肝心の交通網をズタズタにしてしまっては本末転倒ですよね。戦後の経済発展があったのは日本の隅々まで敷かれたローカル線があったからこそと私は思ってます。経済を発展させるにはローカル線の充実が必要じゃないかと思いますね。
投稿: てばまる | 2015年3月19日 (木) 17時10分
てばまるさん、こんにちは。
鉄道はネットワークが命ですから、都市から地方までを一体で運営して成り立つものです。あれだけ赤字と叩かれた国鉄も、末期の単年度収支では黒字でした。
国鉄は、その赤字を理由に3千キロを超すローカル線を廃止したわけですが、それが地域政策として正しかったのかの検証もなされぬまま、同じ理屈で、JRが主要幹線にまで魔の手を伸ばしているのが現状でしょう。
そう言えば最近JRは「地域密着」を言わなくなりましたね。そりゃあそうでしょうよ、あちらこちらで地域をお払い箱にしているわけですから。サンダーバードの金沢分断などは、JRにおける地域不在&利用者不在の最たるものでしょう。
JRがこのまま新幹線以外の“支流”を切り捨てていけば、早晩、“本流”も干上がることでしょう。一度失われた多様性は容易に取り戻せません。
投稿: 鉄まんアトム | 2015年3月19日 (木) 18時40分