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一人一人のニーズに応じた支援ができない特別支援学校なんて

 今月(2013年4月)で9歳になる二男が市立小学校の特別支援学級に入学し、新しい学校生活が始まりました。これにより私たち家族が、埼玉県立の特別支援学校と直接関わることはもうないでしょう。
 二男の就学をめぐって埼玉県教育委員会と向き合った3年間でわかったことは、【埼玉県教育委員会が県立特別支援学校の運営にあたり“一人一人のニーズに対応した支援はできない”と考えている】ことでした。後に続く障害児及びその保護者のために、この点について一言書き留めておきたいと思います――。(※次号に続編あり)

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(1) 特別支援学校とは、障害者や病弱者等に対して、幼小中高の各学校に準ずる教育を施すとともに、「障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること」を目的とした学校です(学校教育法72条)。

(2) これを受けて文部科学省では、『学習指導要領』を定めて、特別支援学校における教育課程について「教育基本法及び学校教育法その他の法令…に従い…教育を行う」との一般方針を掲げ、そのためには「児童生徒はそれぞれ障害の状態…等が異なっており,教師は…それに応じた指導を行うことが必要である」との原則を示しています(特別支援学校学習指導要領解説・総則等編)。
 さらに、重複障害者に対しては、「一人一人の教育的ニーズに対応した適切な指導や必要な支援が求められている」としたうえで、学校側の配慮事項として「必要に応じて,専門の医師,看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,心理学の専門家等に指導・助言を求めたり,連絡を取り合ったりすることが重要である」との具体的指針まで明記しているところです(前掲書)。医師等による助言等は、学校側が必要な支援を「する」ために求めるものであることは指摘するまでもありません。

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(3) これに対し、埼玉県教育委員会は、重複障害者である二男の件に関して、県立特別支援学校の運営にあたって次のような認識を示しているようです。
「川越市は広田さんの次男1人のための対応だが、県の場合は類似の児童は多く、それら全てに対応するためには、人的にも設備的にも現状では困難」(2013年3月1日付け埼玉新聞)
「管の挿入は医療的ケアで、医療事故の恐れがある。現状では、児童の一人ひとりに対応するには難しい」(2013年3月26日付け朝日新聞)
「特別支援学校での医療的ケアのガイドラインで再挿入はできないことになっている。看護師は生徒に一対一の対応はできない」(2013年4月2日付け東京新聞)
※その他は当ブログ第505号(埼玉県で行っている医療的ケアの概念?ナニソレ)を参照。2012年以前の報道については末尾【関連記事】を参照。

(4) 報道等を要約するに、埼玉県教育委員会は、二男に限らず、“埼玉県立の特別支援学校では一人一人のニーズに対応した支援はできない”と言っているのです。特別な支援ができない特別支援学校なんて、ちゃんちゃらおかしい話だと思いませんか。
 このような教育行政は、障害者基本法の全趣旨に真っ向から背くもので許されませんし、何より学校教育法や学習指導要領からも完全に逸脱してしまっています。特別支援学校とは名ばかりで、必要な対策を先送りにしている担当者ら(相談医<※注>を含む)の責任は極めて重いと言わざるを得ません。

<※注> 相談医=
獨協医科大学越谷病院子どものこころ診療センター長 作田亮一教授ほか 

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(5) 2011年3月1日放送のNHKニュースで、「対応にはまだまだ不十分なところがあると受け止めているので、義務教育として果たすべきことはしっかりやっていきたいと考えている」と述べて異動してしまった宇田川和久氏(前・深谷はばたき特別支援学校長)が、本年4月1日から県の特別支援教育課に主席指導主事として戻ってきました。
 学習指導要領によれば、県立特別支援学校が「一人一人の教育的ニーズに対応した適切な指導や必要な支援」をするのは「義務教育として果たすべきこと」ですから、今度こそは「しっかりやって」いただけることでしょう。

 以上、書き留めました。些細な記録ですけれども、後に続く障害児及びその保護者にとって、役に立つ情報が少しでも含まれていれば幸いです。

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【関連記事】
・2013年報道 みたび、埼玉県立特別支援学校について報道(第585号)
・2012年報道 ふたたび、埼玉県立特別支援学校について報道(第510号)
・2011年報道 埼玉県立の特別支援学校に関する報道の整理(第433号)

【追加関連記事】
地域の小学校に重度障害児が通うこと(第596号)

(第595号)

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