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奥多摩御前山に登る

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「その南面の谷にはクマがいると言われるほどの山の深さで、一面のブナの大樹に被われていたが、期待していなかっただけにびっくりしたり、よろこんだりしたのは、まだ芽吹きも固い林間の地表をびっしりと埋め、薄紅に咲きさかるカタクリであった。」 ―― 田中澄江著、『花の百名山』、文春文庫(1983年)

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 相変わらず草花の撮影技術に進歩が見えないなか、図々しくも『花の百名山』にて謳われた「その」カタクリ咲く風景を写真にて紹介してみました。カタクリが咲く「その」山とは御前山(ごぜんやま、標高1405m)で、奥多摩三山の1座です。3週連続の奥多摩入りに「その」御前山を選んでみました。

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 奥多摩三山とは、西から、三頭山、御前山、そして大岳山の三山で、奥多摩主脈稜線を形成しています。御前山はその中央に位置し、端整な三角形の山容が川越からも一目で分かります。今回の目的はじつはカタクリではなく、奥多摩主脈縦走路で随一といわれる好展望がねらいです。こんな感じでした――。

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▲通称「ソーヤの丸デッコ」と呼ばれている場所にて。富士山を望むに視界を遮るものがありません。地図に記載はなく、現地に標識もありません。ですが、高度感と開放感は格別で、御前山頂における展望をゆうに凌ぎます。

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▲一番高く見えるのが三頭山で、その奥には大菩薩連嶺の山々も望まれます。カメラを少し右に振ると奥多摩湖や石尾根も一望できますが、こちら(北面)は樹幹越しとなって写真には向きません。

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▲石尾根の展望は、惣岳山と御前山の間に良いところがありました。カラマツが多く見られましたから、黄葉する秋の景観はきっと堪らないものになるでしょう。

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▲御前山山頂。広々して雰囲気のよいところですけれども、これだけ人が多いと休憩には適しません。大勢が食事をしている人混みも構わずタバコを吹かしているのが若干名いたので、さっさと通り過ぎます。(※私が認識した喫煙者はこの写真には写っていません。)

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 この日は家族連れなので、短く、都民の森(栃寄)経由で下山します。カラマツを基調とする明るい雑木林を下っていくのは爽快そのものです。
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 途中には“モチモチの木”を連想するカツラの巨樹がありました(モチモチの木はトチの木ですが…)。
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 やがて水流に出会うと、渓谷の中を渡っては返してはを繰り返しながら標高を下げていきます。屋久島を思い出させるような苔むす森です。R0032661

 標高540mの奥多摩湖畔から1000mぐらいにかけては新緑の盛り、目映いほどの緑のシャワーを浴びてリフレッシュできました。
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 奥多摩湖畔に戻って、いま登ってきた御前山を小河内ダム越しに見返します。自然林が多く、展望に、渓流に魅力はつきません。どこから上がってもキツイ登りですが、秋にまた登ってみたくなりました。
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*撮影 2013年4月28日/東京都奥多摩町の秩父多摩甲斐国立公園にて

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<おまけ> 地図ロイド+山旅ロガーの画面コピーScreenmemo_20130429073723

 前回の川苔山ではツライことになっていたスマホのGPSですが、今回は概ね正常でした。奥多摩は作業道との交錯が多く地図での現在地確認が欠かせませんから、こうしてきちんと機能してくれると助かります。

(第599号)

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コメント

私は27日に川苔山と蕎麦粒山に行ってきましたが、やはり28日のほうが天候は良かったようですね。ここまでスッキリとは晴れず、午後は曇りがちでした。
奥多摩湖から御前山はかなり登りがいがあるのではと思いますが、ご家族で何度も尾瀬に行かれているだけあって、みなさん体力十分ですね。次はどちらへ?

投稿: Suekichi | 2013年4月29日 (月) 20時52分

Suekichiさんの川苔山&蕎麦粒山レポートも拝見しました。28日は穏やかで暑くも寒くもなく快適でした。奥多摩ではどこでも高低差が1000m前後になりますから、平地歩きの尾瀬ヶ原と違って家族はみな疲れ果てました。ただ、森林や渓谷の美しさと見事な展望が疲れを打ち消してくれたようです。良いコースでした。

次は・・・妻が苔の森を好んでいるので、Suekichiさんご推薦の北八ヶ岳か、大岳山のロックガーデンか。予算の捻出が難しいので、安近短の後者優勢です。

投稿: 鉄まんアトム | 2013年4月30日 (火) 14時40分

 ダム側から登るととても急で修験道のようなルートです(^-^;) 湖畔沿いのルートは試したことはないのですが、やはりキツイかな?
 都民の森から境橋への渓谷ルートはなかなか楽しいですよね。深山って感じでけっこう好きです。

 山頂での一服はその人には良いのでしょうけど、大概の場合、大迷惑ですよね(^-^;) 息をきらしながら山頂についたらいきなりたばこの煙を吸わされる身にもなってほしいものです。山頂で展望を楽しみながら昼食していてたばこの煙が漂うとホントに興ざめです・・・。

投稿: てばまる | 2013年5月 1日 (水) 19時17分

鉄まんアトムさま
こんばんは
 あら~御前山ですか、
当方の近くからよく見えるので
そのうちにと思っておりました。
 昨年、大岳山へ行って隣が御前山ですので
さっさと行けばよかったのですが...
登山道も頂も良さそうな山ですね。

 先週末にアトムさんの記事に引かれて
川苔山へいってみました。
 お陰さまで往路と頂は素晴らしいものでした。
帰りのルートでは人工林の杉桧が延々と続き
少々飽きますが、全体としては大変良かったです。

川苔山=西沢渓谷+棒嶺という感じですね。 

投稿: 飯能の山人 | 2013年5月 1日 (水) 22時22分

>てばまるさん
湖畔沿いの「いこいの路」から清八新道への近道が急登のつづら折りです。清八新道から小河内峠を経て「ソーヤの丸デッコ」までも比較的急坂が続きますが、防火帯の広い尾根筋で気持ちのいい道でした。奥多摩で急登に慣れておくと至仏東面を軽々と上がれるようになるかもしれませんね。

タバコの煙を不快に思う人が少なからずいるのは、もはや公知の事実です。山に限らず、周囲に他にも人がいる前でタバコを吸うなんて「自分の満足のためなら他人はどうでもいい」と大声で言い放っているのと同じです。私だったら相当にためらい続けて、まずできないでしょう。

>飯能の山人さん
大岳山と御前山は飯能や川越から見てもよくわかりますね。
御前山はどこから登っても修行で、大岳山からだと最低でも3時間はかかります。縦走は健脚向きかと思います。周遊道路の月夜見第2駐車場から往復するのが楽ちんですが、春(カタクリの開花期)は混み合うようです。

投稿: 鉄まんアトム | 2013年5月 2日 (木) 11時11分

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