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ジャパニーズウイスキーの“聖地”余市に立つ

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 ウイスキーを愛する者なら一度は訪ねたいと憧れる北海道余市町。日本のウイスキーの父と称される竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者、1894―1979)が、理想の本格ウイスキーづくりを目指し、気候や風土がスコットランドに似ているとして蒸留所建設を「ためらうことなく」選んだ地で、ジャパニーズウイスキーの“聖地”と云われています。長男との約束履行(※)という格好の口実を得て、そのついでながら、私にもようやく巡礼の機会がまわってきました。

 ……といっても、ガイドさんによる無料ツアーを真剣に聞いていて、折からの悪天候もあって満足に写真が撮れていません。よって、詳しくはご紹介できません。悪しからず。

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▲日本ではここ余市蒸留所だけ、世界でも稀だという「石炭直火蒸留」の現場を見られる蒸留棟。創業以来続くこの製法が、力強く、熟した果実のような香りの余市モルトを生み出します。ただし、冬は蒸留をしていないとのことで、実演もナシでした。これだけでも再訪の理由アリ?

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▲ガイドさん曰く、今年は雪が多いとのこと。東京ドーム10個分という広大な蒸留所敷地は雪で埋まっています。敷地内の旧竹鶴政孝邸(写真右)前にて。

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▲ウイスキー館とニッカ館からなる「ウイスキー博物館」にて。ウイスキーづくりの軌跡や道具から、竹鶴政孝・リタ夫妻が歩んだ人生などについての展示が非常に充実しています。貴重な資料の数々に見入ってしまいます。竹鶴政孝が紡いだ第1号ウイスキーの琥珀色は全然褪せていません。

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▲ガイドツアーの終点はお約束の無料試飲です。「余市10年」「鶴17年」「アップルワイン」が無料でいただけます(チェイサー無料、つまみの別売りアリ)。

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 さて、試飲会場にて窓の外を見ると風雪もよう、交通への影響が気になります。スマホでチェックしてみたら……。がーーーん( ̄◆ ̄;)、このあと乗って帰る予定の「北斗星」の運休が告知されています!(→第584号参照)
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 約50種のウイスキーが楽しめる「有料試飲コーナー」。どうです、この雰囲気!! でも、家族を連れていて列車運休ですから、今晩の宿や帰りの足の確保に動かねばなりません。今回は泣く泣く見送るしかありません。(山崎、宮城峡、とご一緒した○○さん、次回はよろしく)
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 蒸留所限定の原酒やグッズを売る「ノースランド」に立ち寄る余裕もなくなりました。いろいろ欲しいものも全部オアズケです……。
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 今回の蒸留所見学には2時間半の予定を組んで臨みましたが、完全に予習不足。仮に列車運休のアクシデントが無かったとしても、博物館をしっかり見物し、有料試飲をじっくり楽しみ、土産物の品定めをするには2時間半では全然時間が足りません。
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 ニッカのひげおじさん“King of Blenders”に再訪を誓いつつ、後ろ髪引かれる思いで“聖地”をあとにしたのでした。

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<余録>
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▲JR余市駅は近代的なつくり。蒸留所は駅から目と鼻の先、徒歩3分足らずです。

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▲余市駅にて函館本線小樽行き普通列車。本数が限られているので計画的に。

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▲現地で買えなかった蒸留所限定ウイスキーの一部は電話での取り寄せが可能でした。余市モルトを味わいつつ、竹鶴氏の著書を読みながら復習しています。

 竹鶴政孝が生涯持ち続けた「ウイスキーづくりにトリックはない」との信念。そして、「信念を曲げずに前進する。それが好意を寄せてくださった人々に報いる私の道だと信じている」との精神。ニッカのウイスキーにはこれらが融け込んでいるに違いありません。

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【参考文献等】
・「ウイスキーと私」、竹鶴政孝著、ニッカウヰスキー発行、1972年(非売品)
・「余市蒸留所」(蒸留所見学の際にもらうパンフレット)、2012年版
・「THE Whisky World」創刊号、土屋守編、プラネットジアース、2005年
・ニッカウヰスキー公式ホームページ「竹鶴物語」「余市蒸留所

(※)「長男との約束」については、追って別記事にて書くつもりです。(→次号参照)

(第586号)

【追加関連記事】 竹鶴政孝が愛したハイニッカへの旅路(第610号)

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コメント

すぐに釣られました。

悪天候は残念でしたね。
でも1枚目の写真、雪景色もいい雰囲気を醸しだしていますね。

冬は蒸留をしていないのかー、それじゃ仕方ない、再訪しないと!ヽ(´▽`)/

「有料試飲コーナー」写真を見ただけで、ドキドキしてきましたよ。「ノースランド」も含めたら、2時間半では、とても足りませんね。

ベンチで昼寝をしても風邪をひかない時期に、ぜひ行きましょう。
ベンチがあるか、予習しておかないといけませんが。

投稿: ヤッジー | 2013年3月11日 (月) 13時42分

さすがはヤッジーさん、蒸留所見学の「悦」を理解してくれていますね!
蒸留の“冬眠”は勉強不足でした。でも、初めて余市に行くときの季節は冬が良いと思っていたので、満足しています。次回は春か秋、そして、伝統製法である石炭直火蒸留の、熱、音、風、を感じてみたいです。

酒飲みが最低2人はいないと、致酔度の低い私としては色々試飲できません。
ヤッジーさん、次回はぜひお伴よろしく。蒸留所を見下ろす丘にあるという竹鶴政孝リタ夫妻の墓を参ってから、蒸留所内でまた昼寝しましょう!!(ベンチがなければ広場の草むらで)

ps 1枚目の写真は余市蒸留所の顔ともいえるキルン塔(第一乾燥塔)で、これを含む蒸留所内の建造物9棟が国の登録有形文化財に認定されています。こうした歴史建築群を見るのも楽しみの一つです。

投稿: 鉄まんアトム | 2013年3月12日 (火) 10時20分

 さらに、以下の2冊の伝記を入手して読みました。竹鶴政孝という人物がよりいっそう愛おしくなりました。比較的入手しやすいので、ウイスキーファンの方にはご一読をオススメします。

「ヒゲのウヰスキー誕生す」、川又一英著、新潮社、1982年(新潮文庫、1985年)
「琥珀色の夢を見る~竹鶴政孝とニッカウヰスキー物語」、松尾秀助著、PHP研究所、2004年

投稿: 鉄まんアトム | 2013年3月17日 (日) 18時30分

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