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マネロンともいえる日司政連の手法を暴く

 日本司法書士政治連盟(日司政連)による政治資金規正法違反事案について、以前からこのブログで取り上げてきました。東京地検特捜部に対する2度の刑事告発については不起訴処分(起訴猶予・嫌疑不十分・嫌疑なし)が、東京第一検察審査会に対する審査申立てについては不起訴相当議決が、それぞれ下されたことをお伝えしております。
  →不起訴処分については、第468号にて詳報
  →不起訴相当議決については、第497号にて詳報

 これまで告発後の日司政連におけるカネの流れは不明でしたけれども、総務省が2012(平成24)年11月末に公表した「平成23年分政治資金収支報告書」で一部概要が分かりました――。

 2011(平成23)年分日司政連政治資金収支報告書
 http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/121130/2374500033.pdf

<事実その1>
日司政連は、
1)過去数年分の、無届政連から受領した寄付を、当該政連に返金。
2)その上で、過去3年分の収支報告書を訂正し、無届政連からの寄付受領を明記。

<事実その2>
無届政連は、日司政連から返金されたカネを、ほとんどが数日後に、既に届出済みの政治団体として日司政連に再寄付。

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 要するに、『無届政治団体Aから違法支出されたカネを、届出を済ませたAにいったん返し、すぐにAから再度「政治団体からの寄付」として戻してもらう』というマネーロンダリング(資金洗浄)ともいえる手法によって、過去の「黒いカネ」を帳消しに「白いカネ」へと変えたのです。
 しかも、手元資金が限られているためか、いっせいに返金ではなく、「返金→再寄付→次の政連に返金→再寄付・・・・・・」を繰り返す自転車操業状態。以下、時系列で具体的な事実関係をお示ししましょう。(※収支報告書との参照便宜のため元号で表記します。)

≪H22.1.4 告発(2.19受理)≫  第298号参照

≪H23.2.15 第二次告発(3.7受理)≫  第430号参照

H23.4.1 札幌政連へ 4,048,000円 (寄付の返金)
H23.4.5 札幌政連から 4,048,000円 (再寄付受領)

H23.4.7 日司政連釧路へ 932,000円(寄付の返金)

H23.4.27 日司政連福島へ 2,911,000円(寄付の返金)
H23.5.12 日司政連福島から 2,911,000円(再寄付受領)

H23.6.22 日司政連秋田へ 1,422,000円(寄付の返金)
H23.6.27 日司政連秋田から 1,422,000円(再寄付受領)

H23.7.6   日司政連函館へ 570,000円(寄付の返金)
H23.7.13 日司政連函館から 570,000円(再寄付受領)

≪H23.7.13  日司政連、H18~20年分の収支報告書を訂正(総務省訂正受付)≫
※訂正要旨について、
平成23年11月11日付け官報(号外第243号)に掲載 →pdf:496KB

H23.7.27 日司政連愛知へ 4,152,000円(寄付の返金)
H23.7.27 日司政連愛知から 4,152,000円(再寄付受領)

H23.8.1 日司政連釧路から 500,000円(再寄付受領)
H23.8.8 日司政連釧路から 500,000円(再寄付受領)

≪H23.8.11 東京地検 不起訴処分決定≫

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 上記6団体から日司政連への違法寄付の存在は、私の一連の問題提起における主要部分の一つです。これに対する日司政連の公式見解は、「埼玉の会員の指摘の中に明らかな事実誤認や誤解に基づく主張がある」との抗弁があるのみです。では、なぜ、日司政連は、収支報告書を大幅に訂正し、上記のようにカネまで動かす必要があったのでしょうか。
 言っていることと行っていることが矛盾しているうえに、極めて不自然なカネの流れをどう理解したらよいのでしょう。また、黒を白に変える作業の完了と不起訴処分の時期が重なっているのは単なる偶然なのでしょうか。

 本件については、不起訴処分と不起訴相当議決によって刑事事件としては既に決着を見たところですので、ここであえて私の意見は書きません。上記事実に対する評価は各自にお任せいたします。

*関連記事は、カテゴリ「司法書士政治連盟問題」をクリックしてご覧下さい。

(第581号)

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コメント

一連の「返金と再寄付」の詳細を確認していたら、おかしなことに気づきました。

日司政連は、違法支出された寄付金の返金先団体名に「(旧組織)」と付記して政治資金収支報告書(収報)に記載しています。

一方、日司政連愛知会のH23年分収報には、「政治団体からの寄付」項目には日司政連からの返金は全く記載されていません。返金額と同額が、「その他の収入」項目に「振替金 4,152,000 旧組織からの振替」として記載されているのみです。
支出については、「政治活動費」の寄付・交付金の項目に、H23.7.27付で4,152,000円を日司政連に寄付した旨が記載されています。
http://www.pref.aichi.jp/senkyo/241128/z/a23z1710.pdf

ところが、日司政連愛知がH19.3.24を「組織年月日」だとして政治団体設立届出をしたのはH19.10.15です。日司政連愛知会のH19収報には、「その他の収入」項目に『繰越金(任意団体) 5,150,435 任意団体司法書士政治連盟からの引継ぎ』と記載されています。

H19時点の資料から判断すると、日司政連愛知会は、従前は(政治連盟と称するにもかかわらず)政治活動をしない任意団体であったところ、H19.3.24に政治活動をする団体に改組し、H19.10.15に設立届出をした、という理屈(建前)になっているはずです。
そうであれば、H23時点では、もはや「旧組織」なるものは消滅しており存在しないはずなのです。

政治団体から政治団体への資金移動(寄付)は、年間5000万円以下なら可能なのに、なぜ、もはや存在しないはずの「旧組織」の亡霊が、今回の返金と再寄付に際して現れたのか、よくわかりません。

もし仮に『"旧組織"は消滅せずH23当時も実体が残っていた』ということであれば、日司政連愛知会は、政治団体ではない団体から4,152,000円の資金の寄付を受けたことになり、資金受領自体が政治資金規正法違反となるはすです。

投稿: 渡邉昭孝 | 2013年1月24日 (木) 17時38分

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