秋霜の尾瀬ヶ原を愉しんで
前3号にわたって連載している「立ち去りがたき錦秋の尾瀬を振り返る」の本編第3弾です。今回は、秋霜の尾瀬ヶ原を愉しんで下山した3日目(最終日)をお届けします――。
日の出前(午前6時30分頃)の尾瀬ヶ原中田代にて。凍てつく木道と漂う冷気の帯の向こう、至仏山がいっとき桜色に染まりました。厳しい寒さのなか、淡い色彩に包まれながら優しく夜が明けていきます。
上の写真で至仏を倒映しているのはこちら(↓)の池塘。そう、いつもの下ノ大堀ビューポイントです。景鶴山や背後の山並みが朝日に照らし出されると、モノトーンの原と紅葉の山との対比が際立ちます。
下田代の方から朝日が差し込んできました。もう一人いたカメラマンが去って、いまこの情景を独り占めしています。(午前6時45分頃)
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やがて湿原の北側から朝日に照らされていきます。景色は一変、霜煙(しもけぶり)が動き出すさまは生き物を見ているかのようです。(午前6時50分頃)
ナナカマドもしっかり霜化粧 (山ノ鼻VC公表の午前7時の気温-2.6℃)
霜なのか、霧氷なのか、竜宮尻の茂みはガラス細工のごとし。朝日にあたって辺り一帯が煌めいていました。圧巻です。(午前7時25分頃)
霜の撮影を存分に楽しんで、朝食が待つ小屋に戻ってきました。龍宮小屋~竜宮十字あたりは陽の回りが遅く、8時でもまだ霜が残っています。(午前7時40分撮影)
暖房の効いた小屋で温かい朝食がいただけるのはありがたいことです。なんと朝食はビリケツでした。そして、食事を終え、部屋に戻ったら蛻の殻。自分の寝床だけが午前4時のままで、小屋にはもうほとんど人がいません。(午前8時20分頃)
(※1週前、14日の霜のようすは、第561号「尾瀬ヶ原霜景」を参照)
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さて、あとは帰るだけ。当初はまっすぐ山ノ鼻を目指すつもりでいましたけど、天気が良いのでまた心変わり。7月以来となるヨッピ道を回ることにします。秋の空を映す池塘の深い色合いが堪りません。(次の写真↓↓は第562号の上から4番目と同画角です。あれから1週間、色合いの変化に気付くでしょうか?)
大好きなゆるぎ田代、なごりの紅葉…
山ノ鼻田代ではカラマツ黄葉の見頃。もしかしたら今シーズンのラストとなるかもしれません。尾瀬の晩秋の、最後の輝きを目に焼き付けて尾瀬ヶ原を去ります。
この階段を下っていって、今年もたくさん歩いた尾瀬。ふだんより多めに振り返りながら午後2時過ぎ、鳩待峠に上がりました。
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下山後は、戸倉ぷらり館に立ち寄ってから沼田市内まで路線バスで移動。
最後に「道の駅白沢」にて、いつもより多めに地場の“免罪符”を購入。
友人と下山を分けてまで選んだ尾瀬ヶ原泊。以上のとおりでしたから、それなりの成果はあったと思います。紅葉に、滝に、霜に、とプライスレスの3日間。この縦走を可能にしてくれた友人や家族に改めて感謝です。
――これにて「立ち去りがたき錦秋の尾瀬を振り返る」の連載を中締めとします。最後までご覧下さり、ありがとうございました。
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<最後におまけ> この日の朝焼けは下ノ大堀の丸池塘にて狙っていましたが、不発でした。引き替えにブルーアワーのプレゼントあり。ただ、とぉ~って~もぉ~~寒かったですっ!(午前5時25分頃撮影)
追伸: 11月に入りました。11月の異称は霜月と言うではありませんか。ならば未だ見ぬ大霜の尾瀬ヶ原を狙ってもうあと1回……などと企んでしまうほどに私の尾瀬病は重篤となっております。
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*撮影日は2012年10月22日。写真ファイル名がIMG―で始まるのはCanon PowerShotS100にて、R―で始まるのはRICOH GXR+GR LENS A12 28mmにて、それぞれ撮影しました。
*【見出し記事】 立ち去りがたき錦秋の尾瀬を振り返る・予告編(第564号)
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(第567号)
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コメント
写真から冷気がこぼれだしてくるようです。
ところで、「尾瀬病」は恐ろしい不治の病のようですね。感染しないように気をつけなないと!
投稿: Suekichi | 2012年11月 3日 (土) 21時04分
Suekichiさん、こんにちは。
夜明け前の寒さは相当に厳しかったです。カメラの電池がダウンしてしまうほどでした。防寒装備が足りずに、震えながらの撮影でした。
尾瀬病に感染しないように…って、何を言っているんですか! Suekichiさんはすでに感染発病していますよ、お気付でないのはご自身だけです。(笑)
投稿: 鉄まんアトム | 2012年11月 5日 (月) 10時46分