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埼玉県立三郷特別支援学校での虐待報道におもうこと

 埼玉県立三郷特別支援学校で2011年、31歳の女性教諭が複数の児童に虐待を繰り返し、校長や教頭らも虐待の事実を知りつつ放置していた問題で、埼玉県教育委員会が同教諭らを懲戒処分したことが先週報道されました。処分の内容は減給10分の1(教諭は6ヶ月、校長らは1ヶ月のみ)という極めて軽いものでした。(※県教委は、「体罰」と言い替えて「虐待」を認めていません。)

 女性教諭は、小学部低学年クラスの教室で男女3人の児童に対し、頬を両手でたたいて挟んだり足をけったりした上、「嫌い嫌い、帰ってくんな、もう二度と」「見飽きた、あんたたちの顔」「人に助けを借りることばかり考えやがって」などの暴言を吐いたとされています(産経新聞毎日新聞ほか)。
 これら虐待の事実について女性教諭は「他の人が見るとそう見える(かもしれない)」(東京新聞)とか、足を蹴る行為について県教育局は「足に足をあてる」(朝日新聞)とか、まるで他人事。当事者として事態に正対できていません。軽い処分で幕引きを図ろうとする県教委の浅ましき魂胆も透けて見えます。人様に教育をする立場の人たちの、見事なまでの反面教師ぶりです。

 そもそも特別支援学校とは、人に助けを借りなければ生きていけない子どもやその保護者に対し、子どもらが必要としている助けを学校や教師が提供しなければいけない場です。しかし、これまでこのブログでも公表してきたように、埼玉県教育委員会や埼玉県立特別支援学校は、子どもやその保護者に対し、何かにつけ『人に助けを借りることばかり考えやがって』いるのです。

  【参考】 障害児の親に“配慮”を要求する埼玉県教育委員会(第532号)

 埼玉県教育委員会や埼玉県立特別支援学校は、法律に基づく必要な支援や合理的な配慮は全然しないのに、子どもやその保護者に対しては、法律に基づかない違法ともいえる『ご協力』を繰り返す。そういう土壌が教員をして『人に助けを借りることばかり考えやがって』を言わしめ、虐待をも日常化させるのでしょう。もはや学びの場ではなく、収容所のごとし。

 三郷特別支援学校で公になった事実は、氷山のほんの一角に過ぎないとばかりに、ほかの埼玉県立特別支援学校でも日常的に繰り返されているという“内部告発”が私のところには複数寄せられています。うちの子が県立特別支援学校に入学したら、真っ先に“標的”となることでしょう。
 笑いながら学校待機を要求した県立特別支援学校の教員や、恫喝や逆ギレを交えながら『ご協力』を繰り返した県教育局の職員らの顔を、私は忘れません。

(第543号)

【8/1追加情報】 三郷特別支援学校では本日付けで校長が異動しました。詳しくは8月1日付けのコメントをご参照下さい。

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コメント

三郷の教員の密室での虐待、またその後の隠ぺい、虚偽報告、とんでもないことです。
自分も、特別支援学校に子供がお世話になっていましたが、簡単な配慮すら応じづ、バスも不可、自主通も不可(許可?されづ)で、自分が送迎していました。
何度か話し合いを要求しましたが、席上聞く耳もたづ、逆切れ、恫喝でおわります。
話し合いということでしたので、こちらも負担をかけない改善の提案を、いくつかしましたが、いっさい関係者の保身につとめるだけで、すりあわせということは、毛頭考えていないようでした。
HPにて、にた境遇にコメントさせていただいた次第です。
役人とは、どうこうできる立場で、物事を推し進められると考えていて、どうこうできる立場にあることが、構造的な問題だと思います。
われわれ一般人は、どうこうできない自分の立場でありながらも役割を担えることが仕事であり報酬であるため最善をつくすため、モラルで動きます。
逆説的ですが、そこに信頼関係が生まれます。
聞く耳もたづ、同僚、組織の保身のためだけ考え、あとは、やってあげてる立場としてどうにでもできる。
大津も三郷も同じです。
子供を殺された親としては、9か月も無視され、取り繕い的にあしらわれ、無念さは想像に絶するものがあるでしょう。
翻って考えると、どうこうできる立場にいる人間としてふるまうなら、やってしまったことは、等価の、リスクを負うべきです。無数にあるごまかしはとおったとしても、人としてあるまじきことをして、たまたま発覚した。またたまたま泣き寝入りしなかった。無数の隠ぺいも含めて対価を張ってもらうしかないでしょう。そうでなければこれは構造的な問題なので、マニュアルを作ろうが、調査委員会をつくろうが無理です。リスクを負って腹くくって向き合ってもらわなければ。
もしくは、学校、当局?がどうこうできる立場になく、親がサービスの受容者として主導権を握るべきです。

(サービスの受容者というのは、卑屈な表現で適切ではありませんが、法律、社会通念上の理念では、個人ではなく社会で負っていくという理念です。そうでなければあまりにもキャパのない多様性を認めない社会で、生きづらくなっている障碍者に対して応分の負担を負う。)

そうなってはじめて当局は、当人、組織の防衛でなく、世の中ほとんどの事柄がそうであるように、受容者に目を向けるという視点がうまれるのでしょう。
言葉が熱くなってすいません。

投稿: 石綿 隆一 | 2012年7月30日 (月) 20時07分

 石綿 隆一さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
 埼玉県教育委員会から受けた石綿さんの辛酸が、コメント全体を通して伝わってくるようです。とくに中盤あたりからは、文章化することが難しいほどの心傷の交錯を感じます。

 埼玉県教育委員会の『人に助けを借りることばかり考えやがって』ぶりは、とにかく尋常ではありません。石綿さんのコメント冒頭に書かれていたバスの話題1つ取ってみても、耳を疑う話が平気で出てきます――。
 埼玉県立特別支援学校では、車いすのまま乗降できるようリフト付きのスクールバスを配備して、運転手のほかに介助員を同乗させています。しかし、肝心のリフトは使わせてもらえず、介助員には指1本の手出しも許さず、すべて保護者が担ぎ上げて乗り降りするよう『ご協力』させられています。路線バスだったら問題になるような光景も、埼玉県立特別支援学校では『当たり前』なのです。

 このような感じで埼玉県教育委員会は、障害者の障害を次から次へと作り出しています。なのに、子どもたちは「人に助けを借りることばかり考えやがって」と教師に虐待される。親たちはもっともっと怒るべきです。
 でも、入学したら最後。子どもを人質に取られた親たちは、無理だろうと難題だろうと違法だろうと『当たり前』や『ご協力』を丸呑みするほかありません。そうして、すべてが「保護者の皆さんにはご理解ご納得いただいている」の一言で揉み消されているのが現実だと私は受け止めています。埼玉県教育委員会が「社会的障壁」(障害者基本法2条2号)なのですから、もはや話になりません。

投稿: 鉄まんアトム | 2012年7月31日 (火) 17時40分

 埼玉県教育局は7月31日、三郷特別支援学校での虐待を受けて懲戒処分を受けた校長を8月1日付けで異動させる人事を発表しました。本橋彰・現校長は県教育局県立学校部副参事となり、新校長には松村敦夫・県立総合教育センター教育主幹が着任しました。

 ところで、二男の就学について、1年目の県教委側の担当者も松村敦夫さん(当時・県特別支援教育課主任指導主事)というお名前でした。
 当時の松村主事からは、2010年6月24日、川越市教委も立ち会っての話し合いの席上、「学校に配置されている看護師に経管栄養のチューブの挿入及び抜去は難しい」「事故が多い」「胃ろうにしてはどうか」などと伝えられました。

 松村主事から理由や根拠が全く示されず話し合いにならなかったので、8月初旬までに「それぞれの課題を改めて検討したうえで再度話し合い」ということになりましたが、8月になっても松村主事は、ただ「難しい」と答えるだけでした。そこで私から、県教委が「難しい」とした結論及びその理由について口頭ではなく文書で示すよう求めましたけれども、あれからもう2年、無視されたまま今日に至っています。

 なお、私の知っている県教育局の松村敦夫主任指導主事と、県立三郷特別支援学校の松村敦夫校長が同一人物かどうかは私には分かりません。念のため、申し添えておきます。

投稿: 鉄まんアトム | 2012年8月 1日 (水) 11時15分

突然コメントを書かして頂きます。
 埼玉県教育委員会の対応には、あきれるばかりです。
私も1年半前、小学校でいじめ問題でやり合ったばかりです。それは通常のクラスにいた子供は、クラスの子達や複数の子から 長期間にわたり暴力や暴言を受けました。
担任にも校長・教頭にも差別やいじめにあい、とうとう子供は、小学校6年の時 学校に行けなくなりました。
 同じように弁護士のところに行き、警察にも被害届を出しました。ところが警察も教育委員会.学校に至るまで何事も無いようにすべて 上手にひねりつぶしたのです。
 そのような所は、被害にあった子や保護者には、誠意のある対応はしないのです。

子供は心の病気にかかり、今でも(現在中2 )おかしな行動が治りません。こうなる前にも 何回もクラスの担任に訴えても何もしてもらえなかったことが、おかしくなった原因です。

 もうこれ以上 学校関係者とやり合っても…労力ばかりかかり「子供の病気が悪くなったら」とあきらめました。
 中学の進学先も入学式直前まで決められませんでした。

しかたなく 中学は支援クラスに進学しました。
これでよかったのか?
 ……………
 やはり三郷特別支援学校のように、いじめや暴力を受けています。あまりにも酷い光景を目にしたので、暴力をした先生に注意をしましたが 他の保護者はどう思っているのか…?
 機会を見て話すつもりですが、先生が暴力や暴言を吐くのが 当たり前のようにあるようです。障害や病気の子供が人質に取られていますから 学校側ともやり合いたくないと諦める人も多いのでは無いのでしょうか…?

私は 一応他の保護者とのパイプを太くして、話し合いをもち これからの暴力等に対応していきます。長くなり ごめんなさい。

 ケロっちより

投稿: ケロっち | 2012年10月 1日 (月) 16時47分

ケロっちさん、はじめまして。
ライターに実名と思しき記載で投稿を受けましたが、末尾に「ケロっちより」と書かれている点や投稿の全趣旨から判断して、投稿者の名前を「ケロっち」に置き換えて公表しました。当初の投稿どおりの公開をご希望でしたら、ご一報ください。

さて、学校や教育委員会の対応を巡って苦慮されているご様子。
前提事実を存じておりませんので、個別の案件について軽々には何も申し上げられませんが、納得のいかないことについて納得がいかないと声を上げることは重要なことです。まして行政側の対応が法律に則っていない場合には当然とも言えます。

保護者同士で連帯できれば、それは強い力となりましょう。書面でアプローチして、交渉を記録に残していくのもいいかもしれません。仮に自分たちは徒労に終わったとしても、後に続く人の役に立つことがきっとあるはずです。情報の蓄積や共有化によって、埼玉県教育委員会(埼玉県教育局)のいまのやり方が通用しなくなる日は、そう遠くはないでしょう。

投稿: 鉄まんアトム | 2012年10月 1日 (月) 20時39分

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