自分の首を絞める縄を差し出す図
第45回埼玉司法書士会定時総会が5月19日に開催されました。同総会では、1)『役員に対する守秘義務』と、2)『会員に対する会長指導への服従義務』を定める会則改正案が執行部原案どおり可決されました。
1)は、「職務上知ることのできた会員に関する秘密」に限定されていた役員の守秘義務の範囲について、「会員に関する」を削って「職務上知ることのできた秘密」へと無限定に拡張するもので、会員の知る権利を阻害する恐れが濃厚です。
また、2)については、対象が「司法書士業務の適正な運営を図るために必要があるとき」と極めて抽象的かつ広範囲です。法令又は会則違反でないことについて会長指導がなされ、会員がそれに従わなければ会則違反=法令違反となり、法令又は会則違反が要件である懲戒処分の対象になってしまうといった法定手続きの保障にもとる致命的な欠陥を抱えています。
以上の会則改正案が出席者の賛成多数によって可決されたのは、驚きです。
しかも、その数323(うち会長への委任状104)。自分たちに知らさせる情報に制約を課され、挙げ句、法の支配をゆるめ“人の支配”へと比重を移すことに進んで賛成する様は、自分の首を絞めようとする者を前に目を閉じ縄を差し出すのと同じ図です。民主主義と立憲主義の両方を否定するようなもので、およそ法律家の行動とは考えられません。
ところで、埼玉司法書士会は、政治資金規正法が適用される政治団体の埼玉司法書士政治連盟と「賀詞交歓会等」の「共催」を事業計画に掲げています。共催といいつつ今までの実態は、経費の大半を司法書士会が負担しています。
こうした事業は、憲法の理念に沿わず、政治資金規正法に違反する疑いも拭えません。それゆえ一部会員が総会に修正動議を出すなどして何度も止めろと言っているのに、執行部は止めようとしません。このばあい、会長に対する“会長指導”はいったいどういう仕組みでなされるのでしょうか。
(第528号)
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