残雪の尾瀬ヶ原へ
雪が残る湿原の表情が見たくて、今年になって初めて尾瀬に入りました。5月17日のことです。山ノ鼻を過ぎ、原ノ川上川橋を渡るともう雪はほとんど解けていて、雪の上を歩ける場所はごくわずか、残雪期も終わりの頃でした。数日遅ければ時機を逸していたかもしれません。まずは、無雪期には立てない位置からの1枚をどうぞ。
PowerShot S100 絞り優先AE,f4.5,1/1000s,ISO80,Ev±0,換算24mm
初めて見る尾瀬の残雪風景。消えゆく雪は、模様だけでなく色合いもまた複雑。池塘の氷が薄いエメラルドグリーン、雪の一部がアカシボで赤茶色に染まっているのが見えます。この時期ならではの風物詩と言えましょう。
▲山ノ鼻では冬と春のせめぎ合い。雪の解けたところからはミズバショウが咲き始めています。あと1週間もしないうちに、この雪は全部消えてしまうでしょう。5月下旬は日ごと雪模様が移ろいます。
▲朝は冷え込んで氷点下。雪解けの池塘に薄氷張る早春の1コマ。尾瀬ヶ原上田代にて。
GXR+GR LENS A12 28mm 絞り優先AE,f13,1/270s,ISO200,Ev±0,LR3.6現像
▲尾瀬ヶ原で年に数日だけ現れる通称“尾瀬ヶ原湖”に映る“逆さ至仏”。残念ながら晴れてはくれませんでしたけど、水鏡になる瞬間が数回だけありました。見てのとおり誰もおらずコレを独り占め、徹夜して来た甲斐はあったというべきでしょうか。(→cf.前号の写真)
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用は済んだのでここで引き返しても良いところ、とりあえず、下ノ大堀の水芭蕉写真場の様子を見てくることにしました……。まあ…ご覧のとおり…、すべてにおいて微妙な感じでした。(→cf.昨年の写真)
中田代では雪や氷をほとんど見なくなります。人の少ないこの時期にも歩荷さんは働いていました。
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この日の天気予報は午後急変。なので一気に山ノ鼻まで戻り、研究見本園のアカシボ(赤渋)を見物します。
アカシボは、尾瀬保護財団のHPによると、「雪解けが進み、地面があらわれる数日前に発生する現象で、正体や、発生のメカニズムについてはいまだに解明されていません」とのこと。
同HPでは続けて、「これまでの仮説では、赤色の色素を持つ藻類の増殖によるものや、鉄などの鉱物が溶け出したとされるものがありました。最新の研究では、アカシボの中に赤褐色の藻類が確認され、それがアカシボの正体と推測されてい」るのだそうです。なお、この現象についてはNHKが取材していました。放送を見逃さないようにしたいものです。
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予報どおり雲行きが怪しくなってきたので、まだ正午を回ったばかりですが下山します。
▲途中のテンマ沢湿原では、ミズバショウが見頃を迎えつつありました。
▲鳩待峠~山ノ鼻の登山道は半分以上が雪原歩きでした。恐れていた踏み抜きを初体験しましたけれど、幸い小さな空洞ばかりで大事には至りませんでした。14時過ぎに鳩待峠到着、残雪期の初山歩きを無事に終えました。
▲津奈木~戸倉での1カット。カラマツの新緑に満開の桜。今年はとても長く桜を楽しんだような気がしますが、今度こそ見納めでしょうか。
▲カモシカ君に見送られながら、尾瀬をあとにしました。遠くの雷鳴を耳にしたものの、天気急変には遭わずに済みました。
こうして私の尾瀬2012シーズンは幕を開けました。今シーズンも無理をしない範囲で通い続けたいと思います。今年も尾瀬、大好きです。
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<おまけ> 麓の片品村戸倉ではいまが萌葱のとき。雪と氷が覆う尾瀬にも春が足元まで近づいています。今週22日(火)が山開きで、公式シーズンも幕開けです。(▼片品渓谷)
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撮影2012年5月17日/Canon S100 (IMG-)&Ricoh GXR A12 28mm(R-)
【見出し記事】 雪解けの尾瀬ヶ原にて(第525号)
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(第526号)
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コメント
下界はすっかり初夏ですが、尾瀬は春が始まったばかりなのですね。この時期の尾瀬にも、行ってみたくなりました。
投稿: Suekich | 2012年5月20日 (日) 15時18分
Suekichさん、こんにちは。
みなさん、そうやって尾瀬病に罹っていくんでしょうね(笑)。残雪を見たら、つぎは新雪も、といった具合に病状は悪化の一途を辿ります。
花はほとんど無いけれど、雪と氷と水が作り出す残雪期特有の風景もまた、尾瀬の魅力を語るうえで外せない一つなのかもしれません。足元に気をつけて、ぜひお出かけ下さい。
投稿: 鉄まんアトム | 2012年5月20日 (日) 18時03分