子ども子育て新システムに異議あり!
政府は3月2日、新たな子育て施策「子ども・子育て新システム」の関連法案骨子を決定しました。関連3法案は今国会に提出される予定です。
新システムは当初「幼保一元化」と呼ばれ、厚生労働省管轄の「保育所」と文部科学省管轄の「幼稚園」を「こども園」に統合。二重行政を改め、待機児童を解消する切り札とされていました。
ところが、幼稚園側の反発で一体化を断念。既存の枠組みを残しつつ、内閣府管轄の「総合こども園」を新設する制度にすり替わりました。「総合こども園」には3歳未満児の受け入れを義務づけないため、待機児童の解消にはつながりそうもありません。二重行政にいたっては、解消どころか、『三重行政』になる懸念すらあります。
現行制度は、児童福祉法24条が「市町村は、保護者の労働又は疾病その他の…事由により、その監護すべき…児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない」と定めているのが柱です。これにより市町村に保育実施義務が課せられています。だから、保育所に入れない2万5千人超もの「待機児童」が問題とされるのです。
これに対し新システムでは、市町村が実施すべき保育を「サービス」と位置付け、行政の責任を後退させる仕組みが盛り込まれています。市町村の保育実施義務をなくし、公費による保育所運営を廃し、企業の参入を認めて市場原理に委ねようというのです。保育所との直接契約になる保護者は、自力で受け入れ先を探し回らなければなりません。
政府が進めようとしているのは、法律に沿って実態を改善していくのではなく、実態に合わせて法律を改悪していくわけで、一言でいえば、待機児童なんか『なかったことにしちゃえ』という話です。実現すれば、法律上の待機児童はゼロ。このような施策は、子育てを社会全体で支えていくとした民主党政権の理念と全く整合しません。消費税増税の人質にするなど「未来への投資」が聞いて呆れます。
そもそも、「保育」は、「サービス」なのでしょうか――。現行児童福祉法24条は、現在及び将来の日本の子どもたちのために、いま何が何でも守らなければならない理念であり制度だと私は考えます。
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(第509号)
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