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埼玉県で行っている医療的ケアの概念?ナニソレ

 私たち夫婦は、埼玉県教育委員会(県教委)に対し、県立特別支援学校(県支援校)において、配置済みの看護師による経管栄養チューブの挿入実施を求めてきました。夫婦はフルタイムの共働き。二男の就学相談で、県支援校から、両親のどちらかが学校に終日待機するよう求められたのが要望のきっかけです。
 それから2年間、県教委は、ひたすら「保護者のご協力」を繰り返すのみで、2012年度以降も看護師によるチューブ挿入を「実施すべきでない」と結論づけています。県教委は、その理由として、次の4項目を示しました(県教委が私に宛てた2011年11月30日付けの書簡より全文引用 ※写しはこちら)。

・重症心身障害児は、一人一人の障害の状態の差が大きく、栄養チューブの挿入の過誤や位置異常、姿勢の不適切などに起因する注入中のトラブル等を生じやすいこと。
・学校での医療的ケアとして栄養チューブの再挿入が一般的に安全に実施できるとは言い難いこと。
・栄養チューブの再挿入を伴う注入を安全に実施するためには、平常時の把握や主治医等との連携などを含めて特別な対応が必要となるが、各学校には医療的ケアを実施している児童生徒が多くおり、実施時間も重なっていること。
・学校全体の医療的ケアを安全に実施するための体制が必要であり、栄養チューブの再挿入などの特別な対応を規定に位置付けて、対応していくことは困難であること。

 これらの検討は、県教委に置かれた「医療的ケア運営協議会」及び「医療的ケア運営協議会に係る作業部会」で、2011年に各2回行われたとされています(前掲書簡)。このうち、第1回目の運営協議会における議事録の一部を入手しましたので、抜粋して紹介します。

○川島ひばりが丘特支から
・4週に1週の保護者対応日を設け、協力してもらっている。(※)
・要項に基づき、チューブが抜けてしまった場合は、保護者に来てもらう。そのことについて、保護者には、ずっと学校に待機しなくてはならないという誤解があるようである。
・他の保護者はチューブが抜けたら来ることを理解してくれている。

○作田医師から (※筆者注:獨協医科大学越谷病院子どものこころ診療センター長 作田亮一教授)
・親も医療的ケアを理解していない。
・埼玉県で行っている医療的ケアの概念をよく伝える必要がある。
・10年間、事故なく安全に行ってきたものが、一人のことで崩される心配がある。基本線は変えない方がよい。また、他の相談医もそう考えている。
・危険性についての理解という面では、主治医としての責任もあるのではないか。
・保育園での医ケアに関する考え方。川越市・■■■■■■■はどのように考えているのか。責任はどこが負っているのか。

○高木医師 (※筆者注:所属等は不明)
・学校は児童生徒の将来の自立を目指した場であり、そのために医療的ケアを行っている。サポートのために学校があるのではないので、教育上の効果を考えることが大切である。
・危険を冒して学校教育という場で行うよりも、福祉で対応すべき問題とも言える。

○各学校から
・今の学校の状況で、再挿入をやって欲しくないという保護者がいる。
・一人に言われたからといって、検討していくことはおかしいのではないか。
・県の医療的ケアについての情報が、市町村には伝わっていない。
・看護師の職務でも、病院で行った場合の責任と病院外で行った場合は違うという弁護士の話を聞いた。


 ※議事録の原文はこちら (文中の黒塗りは県教委によるもの)

(※)  「4週に1週」とは、4週に1回(1日)ではなく、20日間のうちの連続する5日間という意味です(1週は月~金の5日)。

 県支援校における医療的ケアについて、県教委側がどのように考えているかの事実関係(埼玉県で行っている医療的ケアの概念?)の一端をお示ししました。いかがでしょうか。なお、これらに対する個別の反論等は、必要があれば、追って別記事にて行います。

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 ところで、「運営協議会」の議事録からは、保護者の参加が伺えません。「作業部会」も、委員10名(医師2名・教員8名)と事務局3名(県教育局職員)で構成されており、保護者は含まれていません。どうやら“Nothing about us without us<私たち抜きに、私たちのことを決めないで!>”の考え方は採られていないようです。発言録を見る限り“言いたい放題”の感も否めません。(※作業部会委員名簿はこちら

 そもそも県教委は、保護者を検討メンバーに加える以前の体質として、基本的な情報の提供すらしようとしません。上記の議事録も、県個人情報保護条例に基づく開示請求により入手したものです。それだって、黒塗りをしたり、あちこちページを抜き去って開示してくる始末。当然、第2回目分の提供も受けていません。
 障害者基本法16条2項は、「国及び地方公共団体は…障害者…の保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない」と定めています。県教委による自発的な情報提供はゼロ、それでいて保護者の意向と正反対の「ご協力」をごり押す。こんなんじゃ全然ダメです。

【関連記事】
埼玉県教育委員会が障害児の親に求める“ご協力”とは(第500号)
埼玉県教育委員会の言動におもうこと(第467号)
埼玉県立の特別支援学校に関する報道の整理(第433号)

【追加関連記事】
障害児の親に“配慮”を要求する埼玉県教育委員会(第532号)

(第505号)

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