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霜化粧の晩秋大江湿原から(連載第4話・完)

 夜明けの風景を見落としてなるものか、と思い、4時半に起きて5時には部屋を出ました。しかし、まだ外は真っ暗で寒いため、小屋の玄関にて薄明を待ちます。霜はうっすら出ているだけのようです。5時半を過ぎ、空が明るくなってきたので、大江湿原に出てみました。

▽大江川の橋から尾瀬沼東岸を望む。湿原がうっすら霜化粧しています。(2011年10月19日午前6時頃)
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▽三本カラマツもうっすら霜化粧。
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▽灌木の枝も霜化粧。
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▽草の1本1本も霜を被っています。触ってみると、サラサラしていました。
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 朝日がどう差し込んでくるのか知らないのですが、朝日に照らされる三本カラマツを狙ってみることにします。6時半を過ぎても太陽は上がって来ません。7時頃になって、ようやく上の方に日が当たり始め、5分程で全体が照らし出されました。
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 日が昇ってくる辺りの空に薄雲が出たため、昨夕のような強い光にはなりませんでしたが、霜が朝日を受けキラキラしていました。三本カラマツは、これが今年の黄葉のピークなのかもしれません。

▽色んなところに目が行ってしまいます……。
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 初めての降霜風景に、山小屋の朝食時間を忘れ夢中になってしまいました。決まりの時間を30分も過ぎてしまったのに、私の分だけ取り置いて下さっていました。ありがたいやら、申し訳ないやら……。
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 食事を済ませ支度を調えたら、霜の景色に出会えたことや山小屋主の優しさに感謝して、名残惜しくも下山開始です。三平下までは燧ヶ岳を右に仰ぎ、三平下から三平峠まで軽く100mほど登り、それから大清水まで582mをゆっくり下っていきます。

▽三平見晴の紅葉は終わり、落葉がすすんでいました。
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▽岩清水下あたりから紅葉復活。
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▽一ノ瀬から先は今年復旧した旧道(旧沼田街道)へ。いつもの退屈な車道歩き一転、今回の山行の中で、最も山道らしいコースになりました。
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▽大清水が近づくにつれ、紅葉は鮮やかさを増していきました。
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 最後の最後で予想外に楽しい山歩きが楽しめました。時間を感じないうち、12時35分大清水到着。12時55分発のバスにちょうどいい時間の下山となりました。
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△大清水にて、片品川の流れを見下ろす。

 私が初めて尾瀬沼に行った20年以上前、たぶん、この旧道を歩いたような気がします。初めてではない、どこか懐かしい感じがしました。ただ、復旧したといっても、まだ道は荒れていて、朽ちた木道やぬかるみが多く足を取られます。背丈を覆うほどのササが生い茂り、とくに朝夕はクマに遭遇してもおかしくありません。今回、誰一人とも会いませんでした。通行するなら十分に注意して下さい。

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 夕焼け朝焼け朝靄なしの2泊でしたが、2泊目になんとか霜が降りました。大満足の尾瀬降霜初体験です。『いつか尾瀬ヶ原で大霜』というのが次の目標に浮かびますが、果たして来年以降も尾瀬に通い続けることができるかどうか……。戸倉ぷらり館の温泉につかりながら想像を巡らしても、のぼせ上がってしまうばかりでした。
 以上、次第に運が開けていった晩秋尾瀬の“末吉”山行報告全4話を終わります。

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2011年「霜降」の日、脱稿。 <完>

※連載全4話に掲載の写真は、すべてこの山行中に私が撮影したものです。
 写真ファイル名がP―で始まるのはPanasonic DMC-LX3にて、R―で始まるのはRICOH GXR+GR LENS A12 28mmにて、それぞれ撮影しました。

*【見出し記事】 降霜の尾瀬沼大江湿原にて(第482号)
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(第486号)

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