燧ヶ岳初登頂
「広大な尾瀬ヶ原を差し挟んで東西に対立している燧岳と至仏山。燧の颯爽として威厳のある形を厳父とすれば、至仏の悠揚とした軟らかみのある姿は、慈母にたとえられようか。原の中央に立ってかれを仰ぎ、これを眺めると、対照の妙を得た造化に感歎せざるを得ない。」――深田久弥著『日本百名山』より引用。
尾瀬の慈母たる至仏山には先月(2011年7月)初登頂(→第456号参照)。つぎに登るべき山といったら、厳父たる燧ヶ岳を差し置くわけにはいきません。…ということで、今週、燧に登ってきました。燧にも初登頂です。
燧ヶ岳は、柴安嵓(しばやすぐら)2356m、俎嵓(まないたぐら)2346mを双耳峰として、ほか御池岳、赤ナグレ岳、ミノブチ岳の3つのピークを頂く5峰の総称で、東北地方以北の最高峰です。なんやかんやはさておき、まずは、俎嵓からの眺望をご覧下さい。
俎嵓頂上より。右寄り近景が柴安嵓、左寄り中景が尾瀬ヶ原、その遠景が至仏山(頂上部は見えていない)。右の新潟寄りから絶え間なくガスが上がってきて眺望を遮る。
同じく俎嵓頂上より。眼下に広がっている水面が尾瀬沼。その眺望をわずかに遮っている中央の頂きがミノブチ岳(2201m)。雲が多く、遠くの山々は見えなかった。(午前9時頃)
ガスが多く眺望が期待できないので迷いましたが、最高点の柴安嵓頂上をいちおう踏んでおきました。柴安嵓からは、尾瀬ヶ原全体が見渡せます。とりあえず、証拠写真だけ。
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俎嵓~柴安嵓で計2時間を過ごし、いよいよ雲行きが厳しくなってきたので下山します。俎嵓最高部にある石祠群。目前の柴安嵓もガスで見えなくなりました。
途中、ミノブチ岳を経由して、尾瀬沼の眺望をもう1度楽しみます。俎嵓からはミノブチ岳が、柴安嵓からも御池岳の稜線がそれぞれ邪魔をしてしまうので、尾瀬沼眺望ならミノブチ岳が一番です。
ミノブチ岳頂上より尾瀬沼を俯瞰。大江湿原や沼尻平がハッキリと見えます。手前に遮るものは何もありません。
ミノブチ岳頂上に築かれていた優美なケルンが印象的でした。(午前11時半頃)
「燧に登った日は快晴に恵まれて、四周の山々を残りなく見渡すことが出来た。日光の山、上越の山、会津の山、越後の山、はては赤城の黒桧山の右肩に微かに富士山さえ見えた。山岳展望台として燧岳は無類の位置を占めている。」(前掲書)
次の機会には、そんな天気の日に登って、ぜひともその展望を体験してみたいものです。
なお、燧ヶ岳への登山道については続編にて紹介します。
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*本記事で使用した写真は、すべて2011年8月7日にRICOH GXR+GR LENS A12 28mmで撮影したものです。画像クリックで少しだけ拡大表示されます。
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(第463号)
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コメント
燧ケ岳登頂、おめでとうございます。\(^o^)/
尾瀬沼がこんな風に見えるのですね。
いつか登ってみようと思います。
ところで、私も6日にアヤメ平方面に行っていましたが、同じような雲が空を埋めていました。しばらく不安定な天候が続きそうです。それが終ったら、秋の始まりとなるのでしょうか。
投稿: Suekichi | 2011年8月10日 (水) 17時35分
Suekichiさんなら、燧は余裕だと思います。眺めて良し、登って良し、の素敵なお山でした。のちにご紹介する御池新道での登頂がオススメです。
盛夏を代表するニッコウキスゲの終わった尾瀬(沼)ではもう、秋を告げる花、例えば、サワギキョウ、オゼミズギク、ヤナギランなどが咲き始めています。沼尻のヒツジグサは赤く色付いていました。長蔵小屋前ではオクトリカブトも咲いていました。暦も立秋を過ぎ、尾瀬のシーズンもあと2カ月ほどとなりましたね。
投稿: 鉄まんアトム | 2011年8月10日 (水) 23時00分