ひとりじめの黎明尾瀬ヶ原にて
尾瀬の中で一番好きな上田代での朝焼けが見たくて、空が白み始めた午前3時を回った頃、真っ暗闇の尾瀬ヶ原を歩き始めます。ヘッドランプが照らすところしか見えません。森の方からは獣の声が響いてきたり、ちょっと怖いかも…(冷汗)。そうしてビクビクしながらも3時40分には“逆さ燧”の見える池塘に着き、30分間ほど柏手を打ちつつ様子を見守りました。が、空は焼けないまま明るくなってしまいました。
しかし!ライトが不要なほどに明るくなると、湿原のどこからともなく靄が立ち上がり、それが動き始めるのが見えました。じつに幻想的、朝焼けが見られなかった代わりの慰めでしょうか。
尾瀬ヶ原上田代にて 2011年7月2日午前4時半頃撮影
GXR+GR LENS A12 28mm,絞り優先AE,Av9.0,Tv1/42,ISO200,Ev-1,WBオート
GXR+GR LENS A12 28mm,絞り優先AE,Av8.0,Tv1/2,ISO200,Ev-0.7,WBオート
素人ゆえの悲しさか、刻一刻と変化する情景に、何をどう撮ろうか頭が混乱してしまいました。木道を行ったり来たり、なかなか狙いやイメージが描けません。そういうときは、定番の力にすがります。
尾瀬ヶ原上田代の通称“三本シラカバ”にて、至仏山頂上部にモルゲンロートの兆し(午前4時45分頃)。
その10分後、至仏山にかかっていた靄が流れ、モルゲンロートと呼ぶほどには赤く染まりませんでしたけど、朝日を受け、際立った存在感でした。
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やがて、燧ヶ岳の方向から強い日差しが差し込んできました。依然として狙いが定まらないので、いつものマイ定番撮影地にて。
日中だと平凡に見えて写真を撮らないところまでも…。朝夕の斜光線は風景を変えてしまうようです。ヤチヤナギの新緑も際立ちます。
午前5時を過ぎ、ようやくこの辺りにも朝の景色を楽しむ人がやってきました。この間、約1時間ほど、以上のような風景をひとり占め。ちょっと得をした気分です。ただ、夜明け前のひとり歩きは初体験で、やはり不気味でした。
朝食は弁当にしてもらったのを持って出て来ていたので、そのまま見本園のベンチに移動して6時前に食べ始めます。天気が良さそうで、黎明風景に気分が高まったこともあり、2日目の過ごし方は「至仏山初登頂」を目指すことに決めました。……まだつづく。
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(第455号)
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コメント
黎明の尾瀬ヶ原、すばらしいの一言です。
写真でこれだけ美しいのですから、その場で体感すれば、言葉に言い表せないものがありそうです。
実は私も同じ日、午前中の好天を期待して尾瀬沼を日帰りで訪ねていました。が、大清水発が午前7時過ぎですから、こうした光景とは全く無縁です。
この光景を体感するだけでも、尾瀬に泊まり、夜明け前に歩き出す価値がありそうですね。
投稿: Suekichi | 2011年7月 5日 (火) 18時14分
Suekichiさん、こんにちは。
ほめ殺しのようなコメントに恐縮します。私の写真、下手の横好きを超えるものではありません。それを証拠に、このブログ、縦の写真が少ないですから(って意味は違いますけど~)。
泊まりでゆっくり夕方や朝の景色を楽しむのは捨てがたいですが、日帰りの気軽さも悪くありません。ただ、尾瀬までの往復に要する労力と費用を考えるとき、日帰りが本当に気軽かどうかは悩ましいところです。
この時期の尾瀬ヶ原だと、日帰りの場合、戸倉始発4時40分のバスでも山ノ鼻は6時を過ぎてしまいます。太陽はだいぶ上がってしまっています。5時と6時では別世界ですからね~。
投稿: 鉄まんアトム | 2011年7月 5日 (火) 20時00分