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縄文杉へとつづく道~屋久島旅行記その2

 荒川登山口からトロッコ道を歩くこと3時間、いよいよ森の中へと分け入る「大株歩道入口」に達します。本格的な登山道となって森は一気に深まり、至る所で巨樹を目にするようになります。縄文杉に次ぐ大きさの大王杉、2本の木が枝でつながる夫婦杉のほか、名もなき齢数千年の巨木が続きます。

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 写真は、大株歩道にある「ウィルソン株」という切り株の中から見上げたようす。約400年前の伐採跡といわれ内部は空洞、広さは十畳ほどで中に入ることができます。屋久島の愛、届くでしょうか。

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 話をトロッコ道に戻します。縄文杉を日帰りする最短ルートは、標高600mの荒川登山口から「安房森林軌道」の線路敷(=トロッコ道)を8.1kmも歩かなければなりません。歩きづらい、つまらない、眠くなる、とにかく単調、何もない……と酷評されています。
 しかし、清流を渡る欄干のない橋、素堀りのトンネル、萌える急カーブなど、トロッコに乗ったつもりで歩けばこれほど楽しいことはありません。日本に現存する唯一の森林鉄道でもあり、鉄道好きには堪らない登山道といえましょう。

線路脇に目を向ければ苔むす森が広がり、
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橋の上で立ち止まれば安らぎの沢、
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安房川に下りてみれば、見たこともない清流にも出会えるのです。
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「この森林軽便鉄道を歴史的記念物として保存し、学習観光に活用しようという話が地元から持ち上っている。実現までには、いろいろな問題があるのだが。」
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雑誌『日本カメラ』2010年5月号の表紙を飾った場所。なんと木橋です。

 屋久島が世界遺産に登録された1993年刊行の宮脇俊三『夢の山岳鉄道』には、そう書かれています。それから18年、森林軌道は辛うじて現役を維持していますが、未だ一般の人が乗ることはできません。前掲書は次のように結んでいます。

「屋久島というと、ここからずっと奥にある樹齢七〇〇〇年の縄文杉がシンボルで、それを見なければ、ときびしいことを言う人が多いようだが、私が森林軌道に便乗させていただいた印象では、小杉谷までを往復すれば、「木のいのち」に接することができる。ぜひ森林軌道を活用してほしいと思う。」――私も同感です。

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走るトロッコからこの森を眺められる日が来るのを夢見て……。

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<おまけ>

気付くとすぐ横にヤクシカがいることもあります。
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大王杉は、まさに“大王”といった威厳アリ。端整さでは縄文杉をしのぎます。
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*「屋久島旅行記」 プロローグ その1 その2 その3 その4 その5

(第441号)

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コメント

写真を見ていたら、無性に「森」へ行きたくなってきました。屋久島は遠すぎて無理ですが・・・。
まずは鈍った足腰のリハビリをしなければ。

投稿: Suekichi | 2011年5月13日 (金) 09時15分

「ウィルソン株」のハートマーク!以外とベストな位置を探すのに苦労するんですよね。深い緑に清流、心洗われますね

投稿: miya | 2011年5月13日 (金) 11時42分

 Suekichiさん、miyaさん、コメントありがとうございます。
 まとめ返信にて失礼します。

 屋久島の森は、私がまだ感じたことのない世界でした。印象と写真のギャップが凄まじく、感じたとおりに紹介できないのが残念です。
 屋久島をイメージしつつ近場の森というと、森林鉄道の軌道跡を歩く、荒川起点の碑がある奥秩父の入川渓谷あたりはどうなんでしょう。屋久島帰りのリハビリになるかもしれません。

 miyaさんも縄文杉に行かれたことがあるんですよね。ウィルソン株では、ハートマークを撮ろうとする人が株の外にまで並んでいて、じっくり構図を選択できるような余裕はありませんでした。まあ、GWなので混雑は覚悟のこと。今回は見られただけでも十分です。
 ちなみに、写真家・大沢成二氏撮影によるキレイなハートマークが、別冊山と渓谷『屋久島ブック2011』の表紙を飾っています。

投稿: 鉄まんアトム | 2011年5月14日 (土) 14時22分

鉄まんアトムさん、アドバイスありがとうございます。
入川渓谷は知りませんでした。早速調べたら、新緑の頃は大変よさそうですね。
 今週末は、「森」は先延ばしとして、まずはリハビリトレーニングに徹してきました。

投稿: Suekichi | 2011年5月15日 (日) 16時42分

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