尾瀬と東京電力
今年の尾瀬は、5月24日に山開きしました。東日本大震災の影響を受けながらのシーズン幕開けです。大震災と尾瀬をつなぐキーワードは、東京電力。福島第一原発事故による賠償金捻出のための東電資産売却をめぐる報道で、東電が尾瀬の大地主であることが広く世間に知られることとなりました。
東電は、尾瀬国立公園全体(総面積約3万7200ヘクタール)の約4割、うち特別保護地区(同約9386ヘクタール)では実に7割もの土地を所有しています。尾瀬ヶ原の群馬県側はすべて東電の所有地で、木道整備や浄化槽完備の公衆トイレ、荒廃したアヤメ平の回復などに年間約2億円を支出しています。経緯や動機はどうあれ、東電は、尾瀬の自然保護に無二の役割を果たしてきたことは厳然たる事実なのです。
ところで東電は、『尾瀬と東京電力』~自然と人の共生のために~というビデオCD-ROMや冊子=写真=を制作し、無償配布してきました(5/31現在、東電HPからの資料請求可能)。
表題のビデオ(写真左)は35分に及び、次のナレーションで締めくくられています――。
「東京電力は、地域社会と深い関わりを持つ公益事業者として、また地球社会の一員として、環境保全を経営の重要課題と位置づけており、尾瀬においても、変わることなく、自然保護活動に取り組んでいきたいと考えています。今後も、この尾瀬から、自然保護にかける熱い気持ちが発信され続け、尾瀬はもちろん、日本中の美しい自然が保たれることを、東京電力は、願っています。」
(冊子版もほぼ同様で、最終見開きページは↓↓のとおり。2011.02第11版より引用)
直近の報道によれば、東電は、「現時点で尾瀬の売却を考えていない」としながらも、尾瀬の保護や管理については「当社を取り巻く状況を踏まえ、必要最小限に見直している」「例年と同様の管理は困難」という認識を示しています(5月21日及び27日付け上毛新聞)。
「これからの尾瀬と東京電力」を考えたとき、取り返しのつかぬ原発事故を招いた東電が、今後も、誇りと責任を持って、この尾瀬から自然保護にかける熱い気持ちを発信し続け、尾瀬はもちろん、日本中の美しい自然が保たれることを、私は、願っています。
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