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亡国の“子ども・子育て新システム”

 いま国が進めようとしている『子ども・子育て新システム』をご存じでしょうか。「幼保一元化」などのコトバは聞いたことがあるかも知れません。軽く読んでもらえる限界とされる800字で、その『新システム』について以下綴ってみました。

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 新システムとは、政府の少子化社会対策会議が今年6月決定し、2013年度実施を目指す保育施策の要綱のこと。幼稚園と保育所を「こども園」に統合、市町村主体で自由な給付設計を可能とし、体制や財源の一元化を図って保育サービスを充実させようというものです。共働きや一人親家庭が増えて待機児童が急増するなど、保育の立て直しは待ったなしの状況です。
 しかし気になるのは、新システムが経済成長戦略の一つとして提案され、憲法と児童福祉法で国や自治体など役所の義務とされる保育を『サービス』と位置づけたことです。

 現行制度は、地域や家庭の状況に関係なく、保育を必要とするすべての子どもに平等に保育を保障しています。少なくとも法律上はそうです。保育がもたらす利益は、子どもの成長と発達によって社会全体が受け取る利益ゆえに、公費によって公的に実施されてきたわけです。
 けれど現状、役所は、法律で義務づけられた最低限度の保育はおろか、親たちが働く間の託児場所すら満足に提供できていません。そこに、介護保険や障害者自立支援法で採り入れた市場原理を導入しようというのです。これは端的に、役所の責任で保育を実施する仕組みが、応益負担でサービスを提供する施設と直接契約=保護者の自己責任に変わることを意味します。
 そうなったらまず、低所得層や手間のかかる障害児などの排除が目に浮かびます。保育所で働く人たちの労働条件の悪化も懸念されます。結局のところ新システムは、規制緩和の名の下、保育に対する役所の責任を後退させるのが狙い。新システムでのサービス実施には大幅な予算増となるのに、財源の裏付けは皆無。ちゃぶ台をひっくり返す逆ギレのごとき荒技で、これぞ亡国のシナリオと言えましょう。

 役所が『サービス』という言葉を持ち出したら、気をつけねばなりません。ふつうの感覚では、法律上の義務の履行をサービスなどと間違っても言わないのですから。

【参考】
「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」(内閣府 少子化対策ホームページ内)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/kaigi/kettei10/pdf/s1.pdf (PDF 402KB)

(第403号)

【追加関連記事】 子ども子育て新システムに異議あり!(第509号)

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