草紅葉すすむ尾瀬ヶ原を歩く
今号は「秋の装いを増す尾瀬ヶ原風景」連載の完結編です。前号ではヤマドリゼンマイ黄葉に固執しましたので、今号ではふつうの(?)尾瀬ヶ原秋風景を、ふつうに(!)お届けしようと思います。前回同様、全10カットの写真でお楽しみください、と言いたいところですが、オマケがあるので全11カットでのお届けです。
まずは、山ノ鼻の尾瀬植物研究見本園の朝風景。鳩待峠が雲に覆われていたので心配しましたが、樹林を下っているうち雲が流れ、このような風景となりました。
前日の天気予報では、片品村、檜枝岐村、そして魚沼市のいずれもマーク。今日は大丈夫でしょう!ちなみに、山ノ鼻到着は午前6時半過ぎ、ビジターセンター前の寒暖計は7℃を示していました。
見本園の池塘もご覧のとおり。空気も日差しも、とにかく気持ちいいの一言に尽きます。
前回9月18日に撮りこぼしたオクトリカブトがまだ残っていました。形も色も美しい花ですが、その花はもちろん、葉も茎も根も全草猛毒です。触れてしまった場合には、必ず手を洗いましょう。
見本園を軽く半周していると、白いエゾリンドウを見つけました。これは、以前に紹介した淡薄紫色をした個体より、さらに珍しいかも知れません(→第384号「秋晴れの尾瀬に行く(後編)」を参照)。
雲が晴れ上がってしまわぬうちに上田代へと先を急ぎます。朝の斜光線で見る「ゆるぎ田代」の風景。早朝にこの立ち位置で見る景色が、尾瀬ヶ原の中での一番のお気に入り。何度撮っても同じ写真にならないから不思議です。
一日中この辺りに座って過ごすのもいいかな~と思っています。
池塘のヒツジグサも秋色を帯び始めていました。水辺の景色や木道を強調するために、あえて燧ヶ岳を写さないのもアリかな~。
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つぎは、中田代の水芭蕉写真場としてあまりにも有名な下ノ大堀ビューポイント(→第352号「ミズバショウ咲き始める早春尾瀬ヶ原(前編)」を参照)。
ここはシーズンを通したシャッターの宝庫。とくにこの時期は、木道脇にヤマウルシやナナカマドなどが紅葉して彩り豊か。しかし、順光気味で強く照りつける日差しにカメラを操りきれず、思い描くような写真は撮れませんでした。いちおうこんな感じ、ということで。。。
小雨ぐらいの天気の方がしっとりした写真に仕上がるのに…というのは無い物ねだりが過ぎりますかね。あまのじゃくは、このようなことを平気で言います。
下ノ大堀の写真場から15分ほどで竜宮に至ります。その先に“ヤマドリゼンマイロード”が待ち構えています。前号で集中的に紹介しましたので、そちらをご覧ください。
その前号では、ヨッピ橋に着くところで話を終えました。その続きは…というと、じつは紹介する写真がほとんどありません。…が、もう少しだけ話を続けます!
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ヨッピ橋のベンチにて昼食タイムとしました。メニューは、持参したカップラーメンとおにぎり。お湯を沸かしカップに注ぎ待つこと3分。いっただっきま~すぅ、という段になってようやく、戸倉に停めた車に箸を忘れていることに気が付きましたΣ( ̄ロ ̄lll)。
犬食いしてみましたが、熱くて無理。結局、携帯型のミニ三脚を箸代わりにしてラーメンをすすりました。道ゆく人のバカを見る視線を痛いほど感じた次第です。
小1時間の大休止を取った11時半、いよいよ帰路につきます。空には次から次へと雲が広がりはじめ、日も遮られるようになってきました。
空や雲を映すヨッピ道最大の池塘越しに見る中田代風景。尾瀬ヶ原が最も広く見える場所の一つ。
その横でひときわ目を引くヤマウルシの紅葉。日が翳ったときを狙って撮ってみた。
このあと、山ノ鼻に近づくほど天気は悪くなっていきました。それで写真をあきらめたせいか、足取りは極めて快調。牛首を過ぎると人が多くなり、いつもは時間をかけて行きつ戻りつする上田代も素通り。山ノ鼻まで戻って見本園のベンチで“いっぷく”する腹づもりです。
日差しを失った午後の風は冷たく、フリースを着用してのお茶タイム。緑茶と和菓子、それと梅干しに都こんぶのコンビは最強でした。
コーヒーも淹れて1時間以上の喫茶三昧ののち、15時を過ぎたので尾瀬ヶ原を去ります。後半に天気が崩れたものの、目的のヤマドリゼンマイ黄葉が見られ思い残すこともありません。キツイ日程を押して来た甲斐は十分の充実した一日だったように思います。
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なお、おみやげは「わたすげの湯」で買ったこれら(カエルを除く)。得体の知れないまんじゅうやクッキー、コンニャクの類より喜ばれています。ちなみに、この大根のお値段1本50円也。4本くれと言ったら2本のオマケがつきました。
片品村を離れたら雨が降り始め、あの青空がウソのような本降りのなかでの家路となりました。やはり私は、“尾瀬雨男”なのかもしれません。
(おしまい)
*本記事で使用した写真は、すべて2010年9月26日にPanasonic LUMIX DMC-LX3で撮影したものです。画像クリックで少しだけ拡大表示されます。
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【追伸】 本記事公開の10月1日は、「法の日」で当事務所開設記念日でもあります。当事務所は、本日で満15歳を迎えました。これまで支えてくださった皆様に感謝するとともに、これからも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げる次第です。
(第387号)
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コメント
1枚目の研究見本園の朝風景の写真、印象的です。
雲が多めでも、それを生かしてこんな素敵な写真が撮れるんですね。
実は最近、ブログの形式を利用して山歩きの記録を残すことを試行的に始め、先日、同じ26日の尾瀬沼往復の記録もアップしました。
鉄まんアトムさんのような美しい写真も気の利いた文章もない、個人的なメモにすぎませんが、暫定的に公開していますので、よろしければご覧ください。
http://thunderbirds-are-go.cocolog-nifty.com/blog/
投稿: 末吉 | 2010年10月 2日 (土) 21時20分
末吉さん、こんにちは。
発表した写真を、少しでも楽しんでもらえたようで何よりです。さらなる高みを目指そうという意欲がわいてきます。
私は、空を見るより雲を眺めるのが好きです。風景写真、とくに朝夕のそれは、雲に左右されると言ってもいいぐらい重要な要素です。天気が急速に好天に向かうようなときなどは、印象的な風景をもたらしてくれることが多いものです。ただ、そういうときは雲の動きも速いので、すぐに消え去ってしまいます。この日もそうで、見本園にいるうち晴れ上がってしまいました(そこの駆け引きは難しい)。
さて、ブログ公開、試行的とはいえ、おめでとうございます!
慣れもありますから、ぜひ続けて行かれることを期待しております。末吉さんは、“過去の資産”もたくさんお持ちのようなので、そういった思い出話などもいいのではないでしょうか。今後が楽しみです。
投稿: 鉄まんアトム | 2010年10月 3日 (日) 10時01分