晩秋の尾瀬をあるく―3(燧裏林道編)
鳩待峠から尾瀬ヶ原に入り、竜宮を経て東電尾瀬橋を渡り赤田代分岐(=東電小屋分岐)に至るコースタイム(CT)は約3時間半。これを2時間も超過する鈍足で、なんとか下田代の奥まで歩いてきました(前号参照)。今号では、初日の後半、御池到着までを「燧裏林道編」としてお届けします(次号完結)。
東電尾瀬橋を渡って樹林帯を抜け出ると尾瀬ヶ原下田代の湿原が広がっていて、右側には弥四郎小屋など見晴の山小屋群が、そして正面には燧ヶ岳が全容を現します。日帰りだとなかなか来られないエリアで、この道を東に向かって歩いたこともなく新鮮な気持ちになります。
11時40分、赤田代分岐到着。5分休んで出発したら、前から写真を撮りながら近づいてくる不審人物が! そう、彼こそが赤田代で合流予定の友人Suekichi氏。御池から三条ノ滝・平滑ノ滝を経て赤田代に先着、尾瀬ヶ原見物のため足を伸ばしてきたのでした。
すでに昼食を済ませたと言う彼は、下田代を少し眺めてくるとのこと。私はそのまま赤田代へと進み、温泉小屋前で昼食を取ることにしました。とにかく無事合流できて一安心です。
湿原にオオシラビソが立ち並び、独特の風景を醸す尾瀬ヶ原最北部の赤田代。温泉小屋が近づくと背丈ほどのススキ原の中を行くようになります。柔らかい光に包まれ気持ちを穏やかにさせてくれます。
温泉小屋前のベンチに座り、この景色を見ながら食べるのです! で、食べ終わった頃に再び友人が合流しコーヒーも飲んじゃう!! しあわせだぁ~(゚▽゚*)
* * * *
さて、時刻はすでに13時。段吉新道を経由して御池までは約7.5km、CTで4時間弱。うかうかしていると17時を過ぎ日没となってしまいます。サクッと荷を整え出発です。
これから向かう段吉新道や燧裏林道は“紅葉のプロムナード”とも称され、秋の美しさは折り紙付き。とりわけ燧裏林道は、美林の中に点在する湿原が箱庭のようだと云われ、そこからの山岳眺望も見事だとか。各種ガイド本が絶賛するこの林道を一度は歩いてみたい、これが今回の山行のいちばんの目的でもあります。
しかし…段吉新道に入ってまもなく、日差しが途切れガスも出てきました。ゆっくりはできないので、先に進むしかありません。さっきまでの青空がウソのよう…あれれれれ…(´・ω・`)。
それでも、ブナ林の錦織り成す中をゆく段吉新道はパステルカラーの装い。
日差しのないまま三条ノ滝からの道と合流し燧裏林道へ(14時頃)。
シボ沢を渡り渋沢温泉小屋分岐のある天神田代からは、ノメリ田代、横田代、上田代(うわたしろ)、姫田代、御池田代と“田代軍団”が控えています。
けれど結局ガスに覆われて、どの湿原も全体の様子すら観察できません。道中最大の傾斜湿原で、平ヶ岳や越後の山並みも遠望できるという上田代もガスの中でした。いやぁ残念!午前中の晴天からは想像すらできぬ光景ですが、仕方ありません。
…まあいいっかぁ、湿原そのものの景観は素晴らしいし、また来る理由(口実ともいう)がこれで明確になったんですから!
上田代の真ん中にあるベンチで本日最後のコーヒータイム。休憩中さらにガスが濃くなり、すぐ目の前しか見えなくなりました(15時45分頃)。ちなみに、晴れた午前中の様子はSuekichiさんがリポートしています。
このあともガスが晴れることはなく、目標から1時間遅れの16時半過ぎ、御池到着。初日の長丁場を無事に歩き通しました。今宵の宿は檜枝岐村営「尾瀬御池ロッジ」。宿自慢の展望風呂からは、ガスしか見えませんでした。
* * * *
<おまけ>
御池ロッジの夕食(これ↓+そば&焼き物)。天ぷらは揚げたて、ご飯とお味噌汁のおかわりは自由です。なお、山歩き後に飲むべき“正しい飲み物”は、最も正統性のある銘柄の樽生でした。恵比須様に合唱!
19時夕食終了。宿の人曰く、明日の予報は晴れで朝焼けが見られるかも、と。朝5時30分始発の沼山峠行きシャトルバスにも乗れるよう朝食を弁当にしてもらい、それを受け取り、はや寝る態勢に入ります。
「晩秋の尾瀬をあるく―4(尾瀬沼編)」につづく。
*本記事で使用した写真は、裏燧橋と<おまけ>の計3枚を除き、すべて2010年10月16日にPanasonic LUMIX DMC-LX3で撮影したものです。画像クリックで少しだけ拡大表示されます。
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(第393号)
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