晩秋の尾瀬をあるく―4(尾瀬沼編)
朝4時50分の目覚まし。これでも、沼山峠に向かうシャトルバスの始発(5:30発)には十分間に合います。バス停はロッジの目の前です。今号は2日目の模様を「尾瀬沼編」としてお伝えし、今回の山行報告(全4回)を完結させることにします(全体図はこちらから)。
まずはいきなりですが、大江湿原の尾瀬沼畔定番スポットからご覧頂きましょう。三本カラマツを見下ろす北岸道の高台から尾瀬沼東岸を眺めた景色です。
見える建物は左から順に、長蔵小屋、長蔵小屋無料休憩所、元長蔵小屋。冬支度が進み、長蔵小屋を除き本シーズンの営業を終え、小屋はもう閉ざされていた。カラマツの黄葉は途上であったが、この色合いもまた素敵だ。曇天にうらぶれた姿は初冬の趣ともいえる。
大江湿原の三本カラマツ横をパーティーの一行が通り過ぎる。写真的には陽射しが欲しいところであるが、この時間帯だと真逆光になってしまうだろう(午前8時過ぎ)。
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御池-沼山峠ルートを利用して尾瀬に入るのは今回が初めて。御池やブナ平の風景を見たかったのですが、昨日は霧の中の到着で、今日の出発は夜明け前。明るくなってもまた霧の中で、どんなところだったのか分からぬまま沼山峠バス停に着いてしまいました。
宿の人の「朝焼け予報」を信じて沼山峠展望台まで進みましたけど、眼下に見えるのはガスのかかる景色。この日は結局、最後までお日様の姿を拝むことはできませんでした。これまた次回の口実を与えていただいたのですから、仕方ありません。
沼山峠展望台(標高1784m)にて。中央正面の樹間から、わずかに尾瀬沼と大江湿原の三本カラマツが見える。厳し~い!(午前6時半頃)
それにしても、沼山峠から大江湿原を経て尾瀬沼に至るコースは、なんてラクなんだろう。道はきれいに整備され、坂道も緩やかな勾配の階段。そしてオオシラビソやコメツガの針葉樹林帯を抜けて大江湿原に出るところ、パッと視界が広がり左右に森を見ながら湿原を歩く爽快感。人気が高いのもうなずけます。初心者には鳩待峠よりもお勧めですね。
さて、尾瀬沼東岸の長蔵小屋無料休憩所の脇に行ってみます。冒頭の写真の右側で人がたくさん写っている場所です。此処は数多の写真家を魅了してやまないビューポイント、ですが今日は燧ヶ岳もガスで見えません。けど、三本カラマツは見えるので、ここでコーヒータイムです(午前8時45分頃)。
周辺の散策をしつつ一杯のcoffeeをゆっくり味わったら午前9時半、友人とはココでお別れです。友人は御池に、私は戸倉に、それぞれ停めた車に戻ります。私は、時間的に、段小屋坂を下り尾瀬ヶ原経由で下山することも可能でしたが、沼尻(ぬしり)も回らず、最短距離で三平峠を越え大清水を目指しました。
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三平下近く、早稲沢の湿原、逆さ燧のビューポイントにて燧ヶ岳が姿を現しました。雲の多い天気です(午前10時頃)。このあとは、いよいよ苦手の長~くて急な下り坂が待ち構えています。
尾瀬沼周辺は主に針葉樹林帯。それが三平峠を越え群馬側へ進むと落葉広葉樹が目立ち始め、三平見晴にて全山紅葉の視界が一気に広がります。少しガスっていたため写真にはなりませんでしたけど、立ち止まってしまうほど圧巻でした。少し下ったところでの1枚をどうぞ(ここもまだ三平見晴の一帯?)。
やがて十二曲がりの急坂に差し掛かります。岩清水にかけて優しい色合いに染まりながらの下山です(キリがないので、あえて写真は1枚だけ!)。
岩清水で喉を潤し、さらに下っていく。冬路沢を渡り流れる沢の真横に出たら、一ノ瀬はもうすぐそこ。あとは単調で疲れる砂利の車道を1時間歩いて大清水です。
12時40分過ぎ、大清水登山口に到着。12時55分発上毛高原駅行きのバスに間に合いました。戸倉で下車、「尾瀬ぷらり館」で1時間ほど湯につかり14時15分、尾瀬に別れを告げました。
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じつは、このあとが難行苦行でした。すでに国道120号には車が多く、沼田インター手前6キロから渋滞。これを抜けて関越に入っても、今度は花園で20キロの渋滞情報に、前橋付近が先頭の「事故渋滞12キロ2時間以上」という表示。悩んだすえ渋川伊香保で関越を脱出、国道17号(上武道路)で帰ることにしました。が、休みなく必死に走っても川越の自宅到着は19時15分。ふだん2時間のところ、ナント5時間もかかり疲れ果ててしまいました。やはり高速を降りてしまうのは良くないようです。
いつもの私は、歩き回って遅くなるか、午後の陽射し狙いで粘って遅くなるか、いずれにしても遅めの行動パターンを取っています。どうせ渋滞で費消するであろう時間を、温泉に入ったり、食事をしたり、仮眠を取ったりしています。いつもこれで、混雑はあっても渋滞はほとんど回避していました。
振り返って考えてみると、12時55分というバスに拘ったのが失敗の大本の原因です。そのために昼食も取らず早足での下山を余儀なくされ、途中でゆっくり紅葉を眺めたり写真を撮る余裕もありませんでした。コーヒーブレイクもなし。沼尻を回らなかったのも理由はそれ。天気が良くなかったせいもあるのですが、もう少し機転が利けば…ちょっと惜しかったなあ~と思っています。
ということがありましたけど、とにもかくにも怪我や事故なく家に帰れました。終わりよければすべてよし。全体をみれば、帰路での選択の誤りなんて些細なことに過ぎません。今年8度目の尾瀬、楽しい2日間でした。
*コース概要、行程などは「晩秋の尾瀬をあるく―1」(第391号)に掲載しています。
<おしまい>
*本記事で使用した写真は、すべて2010年10月17日、冒頭の2枚だけCanon PowerShot S90で、それ以外はPanasonic LUMIX DMC-LX3で撮影したものです。画像クリックで少しだけ拡大表示されます。
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(第394号)
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