秋晴れの尾瀬に行く(前編)
毎月のように尾瀬通いをしていると、帰ってきてから1カ月も経たぬうち禁断症状が現れます。3連休のどこかで別の山に登るつもりだった計画をやめにして、尾瀬を日帰りすることにしました。今年5回目の尾瀬、回数で去年と並びました。
今回予定したのは、去年10月4日(→第260号「尾瀬の山上に広がる楽園を見る」を参照)と同じ鳩待通りを歩き、富士見小屋から下山せず、長沢新道で尾瀬ヶ原竜宮に下りてから鳩待峠へ登り返すルート。山上湿原からの眺望が主目的です。しかし、鳩待峠に上がってみると霧の中。これじゃ眺望は無理か、朝霧に包まれた尾瀬ヶ原の方がいいかなぁと悩みつつ、秋晴れの天気予報を信じ予定どおりのコースを取りました。
さあ、それでは出発します。<前編では、富士見田代までを写真10枚でご案内>
鳩待峠(標高1591m)から約3km、小1時間ほど登ると横田代(1860m)に着きます。樹林を抜け出て一気に視界が広がる開放感はたまりません。霧も晴れ上がっていました。
前回の秋晴れ予報にはスッカリ裏切られましたが、今回は予報どおり。スッキリ晴れ渡った空の下、去年は叶わなかった遠くの山並みもこのとおり一望できました。ただ、猛暑の影響なのか、草紅葉の色付きは始まったばかりのよう。樹木も青々としていて、秋というよりは、まだ夏の終わりといった印象です。
ちなみにこちら(↓)は、去年、同じ位置で撮った写真。あと2週間でここまでの景色に変わるでしょうか…。
こうして見比べると、雲やガスに覆われ失敗だと悔やんでいた去年の写真が、満更でもないように思えてきました(^^ゞ。隣の芝生は…現象かもしれませんが。
少し休んだら、いつまでも居たい横田代をあとにします。傾く湿原を登りつめ再び樹林に入るところで、尾瀬ヶ原の方に目を向けるとこんな感じです。ここから尾瀬ヶ原は見えませんが、こちらと向こうの山の谷間に広がっています(写真の真ん中から1時の方向に見えるのが景鶴山)。
横田代から約1km、高度100mほどを登ると中原山の頂上(標高1968m)にさしかかります。頂上といっても三角点があるだけで視界は開けておらず、眺望は横田代寄り0.2km手前にある小湿原で楽しみます(ここの地名は?)。
横田代では地形的に見えない武尊山(左奥)をはじめ、南側(この写真のさらに左側)も良く見渡せます。武尊山のはるか先に見えるのは三国山でしょうか。
* * * *
中原山から5分ほどで、鳩待通りのピークでもある“天上の楽園”アヤメ平(標高1969m)に着きます。これまた猛暑の影響でしょうか、写真集などで目にするより池塘の水かさが少ないよう感じます。ただ、去年と違ってこちらも晴れ渡り、空には秋らしい雲が広がっています。人も全然来なくて、清々しさいっぱいの山上風景をひとりじめです。
アヤメ平という地名は、キンコウカの葉をアヤメと間違え名付けられたというのが定説。この真偽のほどは不明として、アヤメ平にアヤメはなく、キンコウカが群生しているのは事実です。小指の先ほどの黄色く小さな花を多数咲かせるキンコウカは、秋になると葉が赤く紅葉し、草紅葉に見事なコントラストを添えてくれます。今年はまだ青い部分が多く、草もみじの見頃は来週末頃でしょうか。
それにしても、アヤメ平の写真は難しい。写真集や尾瀬愛好家のブログなどで素敵な写真をよく見かけますが、私にはどうもうまく写せません(アヤメ平での以上2枚は、Photoshopで自動レベル補正しています)。
正面に燧ヶ岳を拝みながらアヤメ平を通り過ぎると、切れ落ちた稜線の尾根歩きとなり、ここからも大展望が開けます。眼下には原生林が広がり、片品、旧利根の各村落、その先に赤城山という具合で、紅葉時はとくに見事でしょう(じっさい去年、ガスの中で見ても見事だった)。
さて、“前半”の締めは、アヤメ平稜線から10分足らずの富士見田代(標高1886m)。ここの丸い池塘は、美しい、とにかく美しい。草の色は青くとも、巻雲たなびく空の色はより青く、景色はまさに秋そのものであることを実感します(SILKYPIXにてLAWより現像)。
もちろん、ここでcoffeeブレイクしない手はありません。どんなに安物のコーヒーだろうと、このロケーションが極上の一杯に変えてしまうこと間違いなし。一人この池を前に無の境地で珈琲を喫す。こんな至福のひとときは過ぎるのが速い、併せて1時間ほども佇んでしまいました。
尾瀬でこのセット(とくに緑のヤツ)を見かけたら、かなりの確率でそれは私です
後編につづく――
*本記事で使用した写真は、すべて2010年9月18日にPanasonic LUMIX DMC-LX3で撮影したものです。画像クリックで少しだけ拡大表示されます(ただし、上から3番目の横田代の写真「P1090587_1」を除く)。
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(第383号)
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