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初めての尾瀬沼周遊

――前号「白虹たつ尾瀬沼の黎明」からのつづき

 午前3時から起きて、尾瀬沼東岸の夜明けを楽しみました。6時をすぎハラの減ってきた息子に促され朝食をとり、さっと身支度をして午前8時前には山小屋を出発しました。空には夏の雲が立ち、じつにスッキリと晴れ渡っています。もやもやの朝霧など、どこにも残っていません。

 東岸エリアは、沼山峠からだと1時間弱で来られるため、この時間にはもう、すでにたくさんの人たちが木道を歩いています。日の出前から眺めていたせいか、ずいぶんと日が高くも感じられます。今日は、いよいよ尾瀬沼を1周。北岸道で沼尻(ぬしり)まで行き、南岸道を経て三平下へと向かいます。その前に、大江湿原のニッコウキスゲ風景をもう一度だけ見ておくことにします。

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第366号「約20年ぶりとなる尾瀬沼へ」の下の写真と同じ場所にて

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湿原の至る所、無数にあるクモの巣。霧に濡れ朝の斜光線で浮かび上がるさまは、神秘的でもあった。

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 大江川を渡ってすぐのところ、ワタスゲ群落に一輪のニッコウキスゲ。ワタスゲはこれで見納めかな。これにて東岸・大江湿原を離れ、いよいよ周遊コースに突入です。

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 前号でも書いたとおり、三平下以外の場所はどこも初訪問になります。北岸道は、丘を越えては小湿原に出るの繰り返しで、やや開けた場所も多い快適な道でした。沼越しに燧ヶ岳は望めないものの、心地よいウォーキングが楽しめます。
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尾瀬沼北岸道の名も無き小湿原にて、午前9時過ぎ。沼を吹き渡ってくる風がじつに気持ちよい。

 すぐ上の写真の場所から20分ほどで、休憩所のある沼尻に着きます。沼尻は標高1660m、尾瀬沼の西岸にあって、北岸道と南岸道、尾瀬ヶ原からの段小屋坂、それに燧ヶ岳のナデッ窪からの道が交わる要所。尾瀬沼の水は、ここから沼尻川となって標高1400mの尾瀬ヶ原へと流れ下り、やがて只見川、阿賀野川と名を変え日本海に注ぎます。
 また、沼尻平と呼ばれる小湿原(沼尻湿原)があって、尾瀬沼畔では珍しい池塘もあります。ここでようやくヒツジグサを見ることができました。1箇所だけとはいえ、その風景をじっくり楽しみました(やや満足)。湿原に池塘が点在しヒツジグサの浮かぶ風景が好きな私ですが、それを見たければ、やはり尾瀬ヶ原の方に行くしかなさそうです。

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以上、沼尻での3カット。3枚目の右奥建物が沼尻休憩所。

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 沼尻で1時間ほどの大休止をして、三平下を目指します。ガイドブック等の情報を総合すると、東岸から北岸経由で沼尻、沼尻から南岸経由で三平下までの所要は、ともに約1時間。しかし、南岸道はぬかるみなど道が悪いうえにアップダウンの繰り返しで、かなり難儀しました。開けた場所も少なく、同じく沼越しに燧ヶ岳が望める東岸道ほどの良さは感じませんでした。そんななかで写した3枚をどうぞ。

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沼尻をすぎ、小沼湿原を経て、最初の沼畔風景です。

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途中にあったアヤメ群落で一番花が多かったところ。沼岸に生える黒くて細い草の名は、なぜか「フトイ」という。どうしてそんな名前になってしまったのだろう、とにかく細いのに。

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たまに水辺近くまで出られても、こんな感じ。南岸コースでは、沼尻近くの小沼湿原のほか、東岸や北岸のような湿原には出会えません。

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 沼尻から三平下までは1時間とされているところ、2時間弱を要して到着しました。地図やガイドに書かれたコースタイムだけを鵜呑みにして当初計画した日帰り周遊は、かなり無理があったように思います。予定を変更して正解でした。
 さて、こうして2日がかりで尾瀬沼を一周し三平下で休んでいると、感慨にふける間もなく雷鳴が…。携行食を軽く補給して13時半前、尾瀬沼に別れを告げました。約20分で三平峠を越えると、あとは長い長い下り坂が待ち構えています。

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三平峠(尾瀬峠) 標高1762m

 これにて今回の尾瀬沼周遊記(全4号)はおしまいです。お楽しみ頂けたでしょうか。あとで気が向いたら、大清水~三平峠ルートについて書くかもしれません。

*本記事で使用した写真は、すべて2010年7月18日にPanasonic LUMIX DMC-LX3で撮影したものです。

*関連記事
約20年ぶりとなる尾瀬沼へ(第366号)
続・約20年ぶりとなる尾瀬沼へ(第367号)
白虹たつ尾瀬沼の黎明(第368号)
そのほかの尾瀬関連記事は、カテゴリ「尾瀬」をクリックしてご覧下さい。

(第369号)

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コメント

尾瀬って時間によって全く景色が違うんですね。
早朝の神秘的な美しさや夜中の星空。
行った人しか見られない贅沢ですね。

投稿: miya | 2010年7月26日 (月) 14時12分

 miyaさん、コメントありがとうございます。
 私の拙い写真で、そのように尾瀬を感じ取っていただき光栄です。

 人によっては、ただの原っぱ、風景が単調、一度見たら十分、という感じ方もあるようです。でも、私には、同じ場所であっても、行くたびに違う顔をしているように思えます。行けば必ず素敵な風景を見られるというものではありませんが、行かなければ何も始まらないことだけは確かです。

投稿: 鉄まんアトム | 2010年7月26日 (月) 19時30分

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