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県のきまり こと 埼玉県立特別支援学校医療的ケア体制整備事業実施要項

※<お願い> 本記事で示した埼玉県の要項とガイドラインは「ダメの見本」です。必ず末尾リンク記事等と併せて閲覧されるようお願いします。行政に携わる方に対しては、末尾リンク記事との併読をpdfダウンロードの条件とします。

※重要な追加情報あり →詳細は末尾リンクをご参照下さい。

 2010年4月、当ブログ「行政がこしらえる障害者の障害」(第333号)にて、埼玉県立の特別支援学校における『県のきまり』について書きました。その『県のきまり』は、『県のきまり』で見せられないと学校で言われましたが、6月24日、県の特別支援学校担当者より手渡されました。さっそく、渡された文書の全部を公開することにします。

『埼玉県立特別支援学校医療的ケア体制整備事業実施要項』
(平成22年4月 埼玉県教育局県立学校部特別支援教育課)

p01~04 埼玉県立特別支援学校医療的ケア体制整備事業実施要項
p05~07 埼玉県立特別支援学校医療的ケア体制整備事業実施要項細則
p08~09 別表Ⅰ・Ⅱ
p10~35 様式1~15
p36~47 医療的ケア実施における看護教員・養護教諭・教員のかかわりについての指針(ガイドライン)

一括ダウンロード(pdf 2.01MB)

          *          *          *

 はじめて全文を通読しての感想は、“県当局の、県当局による、県当局のための『県のきまり』”だという一言に尽きます。

 埼玉県立の特別支援学校での医療的ケアは、この『県のきまり』こと『要項』に基づき実施されます。その『要項』は、全体を通し、いかにして行政側が責任回避するかに終始しており、平成16年に厚生労働省がとりまとめた文書に明記された「障害のある子どもの教育を受ける権利や、その前提として安全かつ適切な医療・看護を受ける権利を保障する」であるとか、「保護者の負担の軽減」という観点で策定されているものではないようです。
 現在の法制度の枠組みの中で知恵を尽くし、できる限りの医療的ケアをどうやって実施していくかというための『要項』ではなく、むしろ、医療的ケアの実施はできる限り見合わせ、どうにかして保護者に負担させていこうとするための『要項』なのです。私たち家族にとって『要項』は、まさしく巨大なぬりかべ、「行政がこしらえる障害者の障害」そのものなのでした。

 箸の上げ下げまで決めるがごとき『県のきまり』があることで、現場は身動きのとれない状況におかれてしまいます。
 学校側は、過剰反応を余儀なくされ「県のきまりだから、あれもダメこれもダメ仕方がない」と言わざるを得ない。県当局側は、責任を学校や教員に押し付け「あくまで指針なので、各学校や各児童生徒の実情に合わせて柔軟な対応を」とうそぶく。こうした両者による責任回避という泥仕合のなかで関係者の思考は停まり、必要な支援が受けられず黙々と泥をかぶりつづけ耐えているのは子どもであり保護者なのです。このような「行政がこしらえる障害者の障害」など、私は絶対に受け容れたくありません。

(第361号)

*10/7/2追記
当初公開のページ欠落のある『要項』について、県から市を通じて、欠落したページの補完を受けましたので、一部のpdfデータを差し替えました。

*11/3/28追記
この問題については、新聞等で報道されました。詳細は以下をご参照下さい。
埼玉県立の特別支援学校に関する報道の整理(第433号)

*12/3/4重要追記
県教委が考える「埼玉県で行っている医療的ケアの概念」とは…??
埼玉県で行っている医療的ケアの概念?ナニソレ(第505号)

【関連記事】
150分の100分の2(第81号)
行政がこしらえる障害者の障害(第333号)
障害児の親縛る医療ケア体制(第338号)
障がい者制度改革推進会議が第一次意見書まとめる(第356号)
障害者施策における“合理的配慮”という視点(第417号)

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