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ミズバショウ咲き始める早春尾瀬ヶ原(後編)

 ――前編からのつづき

 後編の1枚目は「隠れた花の宝庫」と呼ばれるココ。東電尾瀬橋で只見川を新潟側に渡った先にある湿原で、ミズバショウが真っ盛りでした。今回歩いてきた中で、もっとも見応えのあった場所です。P1110894_1
 このルートは、いわゆる裏通り。尾瀬ヶ原ハイクの大半を占める鳩待峠INOUTの日帰りバスツアーでは、ここまでは来られません。マイカー日帰りでも、やや健脚向きといえるでしょう。それゆえ人通りもまばらで、静かな散策が楽しめます。ちなみに、この「宝庫」から東電小屋までは5分ほどです。

P1110899_1
 東電小屋は高台にあって、眼下にヨシッ堀田代と只見川、遠くには至仏山(左)が一望できます。小屋前のミネザクラは三分咲きといったところ。尾瀬の桜は、これからがシーズンです。

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 その東電小屋下では、ミズバショウとリュウキンカの競演が見られました。木道の間に咲くリュウキンカは、ひときわ目を引きます。
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 途中少しずつ写真を撮りながらも、ここから一気に山ノ鼻まで歩き続けました。

          *          *          *

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 東電小屋から1時間半、山ノ鼻研究見本園に到着。午後1時半、高速バスの最終を目指す人混みを避け、見本園で休憩することに。カッコウやカエルの鳴き声を聞きながらのヒルネは至福です。

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 一番楽しみにしていた研究見本園のミズバショウは、ちょっと早かったようです。季節感を表現する“役者”の数が足りてないというか…。残雪を抱く背後の山並みはいい感じだったので、いちおう定番として記録だけしておきました(左側のピークは岳ヶ倉山?)。

 ところで、尾瀬の撮影ガイドブックを参照すると、ミズバショウは「よく花を観察して美しい個体を選ぶことが大切だ」といったアドバイスが載っています(花畑日尚「尾瀬撮影ガイド」ほか)。
 これだけの数が咲いていれば…と思うところですが、ない! 「美しい個体」はなかなか見つかりません。夢中になって探していると、木道の柱で蹴躓くばかり。時刻は午後3時少し前、あきらめ、これにて下山することにしました。

 すると
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 鳩待峠への帰り道、最後の最後で、寄り添うようなペアの「美しい個体」を発見! 木道に寝そべり腹ばいになって撮りました。終わりよければすべてよし、満足の1枚が撮れて鳩待峠への登りの足が軽くなりました。テンマ沢手前の湿原にて午後3時頃(前編の1枚目の写真も、このときここで撮ったものです)。

 家に帰り、今回このほか目にした花を確認してみます。ショウジョウバカマ、ワタスゲ、キクザキイチリンソウ、タテヤマリンドウ、キクザキイチゲ、エンレイソウ…。こうして復習しているとそれが予習になって、行ってきたばかりなのに、また行きたくなっちゃったなあ…(^^ゞ) 尾瀬はそういうところです。
          *          *          *
 <おまけ>P1110915
 水芭蕉は白い花だと思われがちですが、黄色いイボイボの部分が花で、白い部分は「苞(ほう)」と呼ばれる葉なのです(その形状から仏炎苞と呼ばれます)。
 通常は1本の花に対し1枚の苞で成り立っていますけれど、まれに苞が2枚の個体があります。ヨッピ橋近くで1つだけ見つけました。何かいいことありそう
(もちろん、最後までお読みくださった皆さんにも

*本記事で使用した写真は、すべて2010年5月28日にPanasonic LUMIX DMC-LX3で撮影したものです。

*関連記事
ミズバショウ咲き始める早春尾瀬ヶ原(前編)(第352号)
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(第353号)

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コメント

*編集後記

 先週時点での週間予報では、今週(5/29~6/4)の天気は曇りや雨のぐずつき模様ということでした。ところが一転、今週はおおむね晴れの天気が期待できる予報に変わりました。予報と仕事を睨めっこしながらの山行決定ですので、いちおうの職業人としては諦めるしかありません。
 本文(前編)にも書きましたが、行けば楽しいのが尾瀬。曇りでも雨でも楽しみようはありますし、晴天には見られない情景もあります。現地で気持ちの切り替えがすうっとできれば、当てにならぬ天気予報など気にしない方がいいのかも知れません。ちなみに言うと、今回も群馬県北部の当日予報すら当たらず(新潟県中越に近い状態)、でした。

 さて、気になったことをいくつか。
 尾瀬には基本的な約束事があります。しかし、あまり守られていないと感じる2つのルールもあります。
 1つはタバコ。尾瀬に限らず歩行中の喫煙は、非常に迷惑かつ危険な行為で絶対禁止です。歩行中でなくとも、木道上の狭いベンチなどで喫煙されると、吸いたくない煙を吸わされ不愉快な思いをします。携帯灰皿を免罪符のように考えてもらっては困ります。禁煙場所でなくとも、近くに人のいる場所では吸わない配慮をお願いしたいところです。せっかく綺麗な空気を吸いに来ているのですから。
 もう1つは写真撮影。湿原に足を置いて撮影している人を、たまに見かけます。湿原は、人のインパクトに対し極めて脆弱で、三脚の脚ですら湿原に置いてはいけません。ルールの範囲内での作品づくりを、切にお願いしたいところです。
 なお、今回、湿原に立ち降りて放尿していた輩が、他の登山者に怒鳴られているのを見かけました。小屋も近かったので、怒鳴られて当然です。強制退去させてもいいぐらいの破廉恥な振舞いに、私も怒りを感じました。

 先人たちが守ってきた尾瀬の自然を、いま私たちは享受しています。入山する誰もが、そのことに思いを致してほしいと思います。

投稿: 鉄まんアトム | 2010年5月31日 (月) 09時01分

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