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公開質問状に関し日司連が通知

 日本司法書士会連合会(以下、日司連)に対する本年3月10日付け「公開質問状」(当ブログ第316号参照)に関し、細田日司連会長が各司法書士会会長宛て文書(以下、細田文書)を発しました。なお、細田文書は以下のとおりです。

・「日本司法書士政治連盟への事務室等の使用等について(通知)」(PDF 88.3K)
 (平成22年4月16日付け日司連発第77号)※4月28日受領

第1 細田文書の趣旨について
 細田文書は、本件公開質問状に記載された問題に対する“日司連の考え方”を示したものです(1P3L~7L)。要点は、主に、次の6点であろうかと思われます。
1) 日司連が日本司法書士政治連盟(以下、日司政連)に対し月額8万8000円で司法書士会館の事務室1室34.27㎡を使用させている事実を認める(1P8L~9L)。
2) 平成20年10月7日の衆議院予算委員会での答弁を引用する形で、賃料等の相場との差額が寄附にあたるという総務省見解の存在を認識した(1P12L~17L)。
3) 司法書士会館は収益を目的とする賃貸用建物ではないのだから、収益目的の賃貸用建物の一般的賃料相場との均衡を保つ必要はなく、利用時間及び利用日等の使途が制限されていることからも、現在の日司政連の負担金額は適正である(1P18L~22L)。
4) 他の団体等が司法書士会館の事務室や会議室を利用する場合の負担金額は、日司政連と同一基準である(1P23L~2P2L)。
5) 日司政連に限らず、司法書士会館を利用する全ての団体の負担金額については、利用状況等を踏まえて、今後その改定を検討する必要性はある(2P3L~5L)。
6) 各司法書士会における各司法書士政治連盟との間の事務所提供の問題については、利用状況に照らし社会通念上不相当である場合には、是正が必要である(2P6L~10L)。

第2 細田文書に対する個別検討について
1.第1、1)及び2)については、公開質問状に記載した当方の主張通りです。賃貸の外形的事実関係や総務省見解の存在については、日司連が当方と共通の前提に立っていることが分かりました。

2.同3)については、考え方の大きく異なる部分です。
(ア)「賃貸により収益を得ることを目的とした不動産賃貸の用に供する建物でない」という主張について

 その主張に立脚すると、日司政連に負担させる金額は、不動産賃貸として収入を得るまでの対価である必要はなく、利用実態に応じた対価=経費相当額であれば、法が禁止する「寄附」にはあたらない、ということになります。
 しかし、司法書士会館の収益事業損益計算書によると、同会館のうち他団体事務室及び会議室等の収益部分の維持では、毎年3000~4000万円程度の赤字を計上しています。経費すら回収できていない現在の負担金額が「適正」であるはずがなく、会費で補填される赤字分(経費-負担金額=差額分)は、社会通念上、寄附にあたると考えるのが相当です。
(イ)「使途等(利用時間及び利用日等)が制限され、一部禁止されている事項もある」という主張について
 その主張に立脚すると、制限に応じた減額がなされることには一定の合理性があるということになります。
 では、司法書士会館について具体的に見てみましょう。
 日司連が定める「日司連会館管理運営規則」(以下、会館規則)によれば、同会館は、原則として平日以外の使用ができないとされています。ただし、日司連会長の承認があれば平日以外でも使用は可能です(会館規則13条参照)。原則どおりだとしても、利用できない日数割合は最大で年間4分の1程度にすぎません。しかも事務室は、備品等の保管場所として、365日継続利用されています。
 また、利用時間についても、共用エントランスのある一定規模のビルであれば、賃貸区画への入退室時間に制限のあることは一般的です。
 よって、現在の負担金額が相場の半額以下でも妥当だとする細田文書で示された日司連の考え方は、失当と考えます。

3.同4)については、虚偽の主張なので反論します。
 会館規則によれば、時間を単位として定める利用負担金について、日司政連には、本則で定める料金の半額以下での使用が認められています(会館規則11条1項、別表第1の2参照)。
 日司政連と同様に半額以下で使用できるのは、日司連の目的と密接に関連する公益法人(東京司法書士会、公嘱協会、リーガルサポートなど)です。日司連は、特定の政治団体たる日司政連に対し、これら公益法人と同様の優遇措置を図っている事実を、この「付言」にて公式に認めたということです。こうした優遇措置も、法が禁止する「寄附」にあたります。
 よって、即時の改善(当面は、規則の運用を一部停止すること)が必要です。

4.同5)については、利用状況を踏まえた負担金額改定の検討必要性は認識している、というごく一般論を述べたにすぎません。これは当然のことであり、特段の意味はない記載と考えます。なお、検討の結果、負担金額に問題ありとなった場合には、公開質問状(第2、1、ウ及びエ)記載のとおりの是正が必要です。この点について細田文書では、何ら言及がありません。

5.同6)については、2)より導かれる一般論を述べたものです。ただ、公開質問状(第2、2、イ)で求めた「指導」の必要性については何ら言及しておらず、「具体的には…」と書かれた部分も抽象的であるため、これ以上の論評は差し控えます。

第3 まとめ
 以上を総合すると、要するに、日司連は、第1にそれぞれ記載の、1)の事実については、2)に照らしてみて、4)でもあるのだから、3)のとおり何ら問題がない、とお考えのようです。
 でも、4)だとしたら、2)に照らした場合、3)を検討するまでもなく違法だという結論になるはずです。また、3)であれば、本件文書でわざわざ5)に言及する必要性もないはずです。6)はまるで他人事としか思えません。

 政治資金規正法では、日司連が日司政連に寄附をすることは、1円たりとも許されていません。各司法書士会と各司法書士政治連盟との間も同じです。事務所が同居しているということは、つねに政治資金規正法違反の疑義がつきまとうことになります。
 日司連が自ら法律家の看板を掲げる以上は、世の中の誰よりも率先して、憲法の理念はもちろん、民主政治の健全な発達を趣旨とする政治資金規正法に対しても忠実であるべきなのです。結局のところ、それを実行するには政治団体との峻別を図る、すなわち司法書士会と政治団体の事務所はすべて別々にするほかないのだ、と私は細田文書を読み確信した次第です。

*関連記事 公開質問状に対する日司連の回答(第332号)

※2010/5/7追記
細田文書について、週刊法律新聞で「日司連会長、問題性を否定」と報じられました。
4月30日付け週刊法律新聞第1850号 (pdf 340.3K)

(第339号)

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