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ミウラ折りをやってみよう

 NHK総合テレビに、「爆笑問題のニッポンの教養“爆問学問”」という番組があります。その道の権威と思しき最先端の学者相手に、爆笑問題の2人がタメグチ会話。居酒屋談義的なやりとりがおもしろく、たまに見てしまう番組です。
 前回1月26日火曜の放送(FILE099)では、「未知なるカタチとの遭遇」と題して、宇宙構造工学の三浦公亮(みうらこうりょう)東京大学名誉教授を取り上げていました(番組HPはこちら)。

 地図や山登り山歩きが好きな人なら、多くが知っている(はずの)三浦教授。宇宙構造工学と山登り、なんでぇ~と思うかもしれませんが、接点は折り紙に。三浦教授考案の「ミウラ折り」という紙の折り方が、地図でおなじみだからです。番組でも詳しく紹介されていました。
 私は、ミウラ折りを覚えてから、地形図は全部これで折るようになりました。便利なだけでなく、折られた状態の“美しさ”もまた、魅力的です。

 えっ、知らない、ミウラ折り?
 では、そんな方のために、いい機会なのでご紹介することにしましょう。

Img_1146
 写真は、国土地理院で発行している地形図(柾判:460mm×580mm)をミウラ折りしたもの。左が開いた状態のもの、右上が畳む途中、右下が畳んだものです。

 ミウラ折りの3大特長は、1)開くのも畳むのも力をかけず一瞬、2)開閉時に折り返しをしないので折り目が破れにくい、3)大きなものでもコンパクトに畳める、ことです。野外で使う地図にはいいことずくめなのです。
 ちなみに、ミウラ折りは、地図のために考案されたことではなく、あくまで応用です。実際には、太陽発電パネルなどを折り畳んでロケットに搭載し、宇宙空間で展開するなどで活用されています。なんてったって、宇宙構造工学ですから(^^ゞ。
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 さて、能書きはこの辺にして、A3用紙をミウラ折りにする方法を解説してみることにしましょう。興味を持った方は、A3用紙でなくても、新聞広告などで構いませんからいっしょにやってみて下さい(ただし、手順で示した長さは、A3用紙の場合です)。
 ※以下の解説は難しい5行の方ですが、はじめは3行でやってみて、慣れてから5行に挑戦した方が馴染みやすいと思います。また、地図などをA3にコピーして山に持っていくような場合は、3行5列折りがベストです。

1. A3版の紙を横置きにして、5行が等分になるよう、山折り谷折り交互に折ります(奇数なら、行数は5でなくてもOK。5行なら6センチ前後、3行なら10センチ前後ずつの間隔が目安です。参考までにキャッシュカードやクレカのサイズは85ミリ×54ミリです型紙的に利用すると手間が省けます)。 ※以下、写真はクリックで拡大
Miuraori01

2. 1.でできたものを折り畳むと細長いジャバラ状になります。それを左右どちらからでもいいので、端から等間隔で交互に折っていきます。同時に、3.も参照して下さい。
 本例では7等分していますが、こちらは奇数でも偶数でもかまいません(なお、7等分なら59ミリ前後、8等分なら52ミリ前後ずつの間隔。3行なら5等分で84ミリ間隔が1つの目安になります)。
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3. 交互に折っていく際、折り目がこの写真のようになるよう、左右の角度を少しずつずらして折っていきます。この際、上辺と下辺は平行になるようにするのがポイントです。
 なお、1.の作業にて、A3横の状態で見た紙面の上部が、一番下に来るよう横長に折り畳んだ状態で、左側から折っていく場合、上(奥)側にずらして折れば上方向に、下(手前)側にずらして折れば下方向に、それぞれ開くよう仕上がります。どちらにするかはお好みで構いません。練習なら、気にせず考えもせず、作業のし易い方で進めて下さい(本例では上側にずらしています)。
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 ここでの折り方次第で、ミウラ折りが成功するか失敗するかの分かれ目になる重要なところです。幅や角度を確かめながら、丁寧に進めて下さい。

4. 続けていくと、やがてこのようになります。最後に折り目をキツく付けておくと、8.以降の作業がし易くなります(ここの失敗はあとで大きく影響するので、最初からキツくは折らず、うまく折れたのを確認してから強い折り目を付けるようにした方が良いです)。
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5. 4.を別の角度から見ると、このようにもなっているはずです。
Miuraori05

6. では、それを広げてみて下さい。ここまでの作業がうまく行っていれば、横の折り目は最初のまま、縦の折り目は左右上下が交互に山折り谷折りとなっていて、平行四辺形がタイル状に並んだ状態になっているはずです。
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7. 6.の一部を拡大してみるとこんな感じです。
Miuraori07

8. 6.の状態のまま、今度は、縦を谷折り山折りと交互になるよう折っていきます。縦の列の折り目は、6.で示したとおり、谷と山が交互に並んでいます。なので、写真を例にすると、左から2列目の上から2行目と4行目のところが谷折りになっているので、それを山折りになるよう折り返します。
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9. 8.の作業を全部繰り返していくと、こんな感じになります。ここまでで全体の9割は完成しています。
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10. ただ、ここからが一番戸惑う部分です。ミウラ折りの最後のキモともいえます。写真のように、左の中央の脇を親指とその付け根でしっかり押さえ(支点として)、裏側から小指や薬指で招き寄せるよう紙を手のひらに収めていきます。
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11. 全部招き寄せると、こんな感じでつまめるようになります。ムリムリ感があり、紙もくしゃくしゃになりそうですが、じっとガマンして12.へ。
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12. 11.の写真でつまんでいる部分の上下どちらかを、自然に折れ曲がる方向に折り込もうとすると、さっとこのように折れるようになります。
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13. 1箇所が折れると、その隣が反対側へと折れるようになるので、これを交互に繰り返していきます。
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14. すると、10~11での無理さがウソのように簡単に折れていき、全部折り畳んでしまうことができます。
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15. これで完成です、お疲れ様
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16.ちなみに、完成後のものを広げてみるとこんな感じになります。6.と比べると違いがよくわかり、9.でほぼ完成していることもわかります。
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 いまの手順では、この紙面が手前から奥方向に開きます。逆方向に開くには、2.と3.の手順の際、いまと逆向きで折って下さい。
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 一度覚えてしまうと、A3ぐらいの紙なら、1~2分で折ることができるようになります。そうなると、身の周りのものなんでもミウラ折りにしたくなります。1万円札を2センチ四方程度のミウラ折りにしたら、あまりにコンパクトで亡くしそうになりました。ご用心あれ。

 最後まで読んで下さった方に1つ情報提供。冒頭で紹介した番組の再放送が2月1日(総合)と3日(BS2)にあります。興味のある方はぜひ!

(第304号)

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コメント

ミウラ折りを調べていて、こちらのページに
たどりつきました。丁寧な説明ありがとうございました。

10の説明で戸惑うとあり、11の説明でムリムリ感があると
ありますが、全然さっといってしまいました。
何か、勘違いや見落としをているのでしょうが、
わかりません。

見落としやすいことがらをご存知でしたら、ご教授いただけますでしょうか。9の折り目は間違えなくできています。

投稿: ほっしー | 2017年3月27日 (月) 21時58分

ほっしーさん、はじめまして。弊記事をご活用下さり光栄です。
記事中の主観に関する記述部分は、折り鶴でさえ苦手とする不器用な私基準でありますから、結果的にミウラ折りが完成している(=対角線を摘んでの開閉が容易である)のであれば、全く気になさらず結構かと存じます。

投稿: 鉄まんアトム | 2017年3月27日 (月) 22時42分

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