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日司連が日司政連に寄附した300万円のゆくえ

 強制加入団体である日本司法書士会連合会(日司連)は、政治団体である日本司法書士政治連盟(日司政連)に対し、1989(平成元)年と1993(平成5)年、それぞれ150万円ずつ総額300万円を寄附していました。この事実は、日司政連の政治資金収支報告書の虚偽記載問題を調べるなかで、新たに判明したものです。
 政治団体のうち総務大臣(当時の自治大臣)所管分については、政治資金規正法に基づき収支報告書の要旨が「官報」にて公表されています。平成元年分を公表した平成2年9月14日付け官報、平成5年分を公表した平成6年9月9日付け官報における日司政連記載部分に、日司連からの150万円の寄附がそれぞれ明記されています。

 本件寄附が行われたのち、強制加入団体と政治団体をめぐる問題に、相次いで司法判断が下されます。
 最高裁判所第三小法廷は、1996(平成8)年3月19日、思想及び良心の自由(憲法19条)の観点から強制加入団体は政治献金や政治団体への寄附を行うことができないと判決(南九州税理士会事件)。大阪高等裁判所も、2008(平成20)年11月12日、上記最高裁判決を引いて、行政書士会が政治団体に対する金員の寄附と同視しうる行為(実質的に金員の支出と同視できる行為も含む)をした場合、その行為は行政書士会の目的外の行為として違法・無効だと判決しています。
 そうすると、日司連による日司政連に対する本件寄附も、当然、違法かつ無効な寄附ということになります。寄附が無効である以上、日司政連は違法に受けた寄附を過去にさかのぼって返還するべきであり、返還は司法書士の「法律家」としての権限拡大を図っていこうとする日司政連の趣旨にも合致することだと思います。

 果たして、日司政連は、この300万円を日司連に返還したのでしょうか。返還の有無については、役員など会計帳簿を確認できる立場の方に調査報告していただく責務があると思います。残念ながら、現状こちらで確認する術はありません。

 ちなみに、南九州税理士会事件では、上記最高裁判決で差し戻された福岡高裁にて成立した和解において、最高裁判決が無効とした1978(昭和53)年の特別会費徴収分だけでなく、同様になされた1976(昭和51)年徴収分にもさかのぼって会員に返還することが決まりました。それが最高裁の判決を厳粛に受け止めることだとの判断からです。
 そして、その返還財源については、一般会計からの支出はせず、新旧役員を含む有志の寄附などで賄うことも確認されました。財源は総額2000万円とされ、南九州税理士会の執行部個人が保証人となって銀行より借り入れ返還を完了したのだそうです。

*参考文献 「牛島税理士訴訟物語-思想・良心の自由を求めて-」牛島税理士訴訟弁護団編、花伝社(1998-3)
*関連記事 日司政連の政治資金収支報告書に虚偽記載(第236号)ほか

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 p.s.
 平成8年9月13日付け官報によれば、「日本司法書士連合会」が1995(平成7)年、久世公堯参院議員(当時)の資金管理団体である「政治経済研究会」に対して10万円の寄附をしています。同官報の記載「日本司法書士連合会」が「日本司法書士会連合会」の誤記とすれば、この寄附についても本文と同様のことがいえます。
 久世議員は2003(平成15)年に引退しており、返還を求めることは困難かもしれません。その場合、当時の日司連の役員が連帯して穴埋めすべきは言うまでもありません。

(第287号)

*追加関連記事 日司連が日司政連に事務所格安提供(第311号)

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