川越夕景(21)
蔵造りで有名な川越の町並み。その黒い建造物群の中で、ひときわ異彩を放っているのが埼玉りそな銀行川越支店の建物だ。
この白壁の洋館、同行のルーツでもある旧第八十五銀行の本店本館として、1918(大正7)年に完成。鉄骨鉄筋コンクリート造3階建ての建物で、国の登録有形文化財に指定されている。川越には、こうした大正・昭和初期に建てられた西洋建築がほかにも数多く現存している。
夕暮れ時に前を通りがかったら、建物中央にそびえる青緑のドームが強い夕陽に照らされていた。思わず立ち止まりシャッターを切った。見慣れたはずの日常風景なのに、いつもと違って見えた魅力的夕景であった。
埼玉りそな銀行川越支店(川越市幸町) 2009年12月4日撮影 Canon PowerShot S90
プログラムAE,Av4.0,Tv1/500,ISO160(オート),ホワイトバランスオート,換算35mm
p.s. 第八十五銀行の前身は、1878(明治11)年、埼玉県下において初めて設立された銀行で、埼玉県唯一の国立銀行であった第八十五国立銀行である。1898(明治31)年に私立銀行となり、それから6行を合併・買収しながら1943(昭和18)年、ほか3行と新設合併して埼玉銀行となる。
その後、1991(平成3)年まで埼玉銀行であり続けるのだが、同年、協和銀行と合併し協和埼玉銀行になり、翌年、あさひ銀行に名前を変える。そのあとが“いろいろ”あって2003(平成15)年、現在の埼玉りそな銀行になる。事実上の国立銀行となり、名前も昔に戻りつつあるのは興味深いところだ。この洋館はその変遷を見続けている。
*参考 全国銀行協会が提供する銀行図書館「銀行変遷史データベース」
http://www.zenginkyo.or.jp/library/hensen/
(第284号)
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