総延長57km
総延長約57km。これは尾瀬にある木道の長さです。
尾瀬の道は、ほぼ全域にわたって木道が整備され、木道以外の場所に足を踏み入れることは厳禁です。カメラの三脚もアウトです。この木道、1950年代から整備が始められたのですが、当初は、湿原のぬかるみから人間を守るためのものでした。
いまではその発想が逆転し、人間から湿原を守るものへと変化しています。私たちに快適な尾瀬散策をもたらす木道は、一方で貴重な湿原を守るうえで欠かせないものなのです。
尾瀬ヶ原の湿原堆積は、1年で1mmといわれています。たった1歩の踏みつけが、何十年もの自然の営みを一瞬にして破壊してしまうわけです。木道の整備される前に登山者が踏みつけ荒廃してしまったアヤメ平では、1966年から湿原の復元作業が続いています。しかし、40年以上経った現在でも、元の姿には遠く及ばないようです。尾瀬の自然保護は、自然破壊の歴史と裏表なのです。
ところで、この尾瀬の木道。1mあたりの設置費用は複線で約12万円もかかります(木道1本の長さは通常4m)。7~10年で寿命となるため、定期的かつ計画的な補修交換も必要になります。湿原と同様、こうして維持されている木道にも、優しさと労りと感謝の気持ちで接したいものです。
ちなみに最近では、木道の1本1本に設置管理者と設置年が分かるよう焼印がされています。歩きながらこれに注目しすぎると転倒や転落の恐れ大ですのでほどほどに。
(第249号)
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