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オオカミ少年と呼ばれても

 近所の公園から聞こえてくるラジオ体操に小学生の声。寝起き前のうつらうつら状態に、ケータイから聞いたこともない音が鳴り響いている。キュワッ、キュワッ、キュワッ…。

 ハタと気づき飛び起きて、画面も見ず1階にいる妻に向けて「2階に上がれっー、地震だぁー!!」と大声で呼びかけた。にもかかわらず、妻が2階に上がってきたのはしばらくして。緊迫した様子など微塵もない。「朝から大きな声を出してみっともない」「子どもの着替えをさせているのに何の用」とあきれ顔であった。

 ケータイの音の正体は、『緊急地震速報』を知らせる「エリアメール」。しかし、一向に揺れ始める気配はなく、のちに『誤報』だとわかった。
090825 最大震度5弱以上の地震の際、震度4以上と想定される地域に揺れが襲う直前に出されるのが一般向け緊急地震速報。妻への大声は、木造家屋の1階は倒壊による生き埋めの危険が高いことなどを瞬時に判断してのとっさの行動だった。速報が誤報だったことで、結果的には、予告なしの“訓練”に終わった。これはこれでよかった。

 だが、納得のいかないことが1つある。大声が原因で、家族の中で私一人バカ者扱いされていることだ。
 万が一、強い揺れに襲われる場合、速報後に残されている時間は、あって数秒だ。もっと小さな声でとか、様子を見てからでは間に合わない1秒を争う事態なのだ。また、誤報の発生は、いまの技術やシステムでは仕方がない。システムが未だ不完全なものでも、ないよりはあった方がいい。速報が命を救う日は必ず訪れるであろう。
 だから、誤報をとらえて気象庁を殊更非難したり、揺れに備えて行動した人間をバカにするのはケシカランことだ。つぎの『緊急地震速報』でも、ためらわず私は、「地震が来るぞー!」と大声で家族に知らせるだろう。誤報なら、その都度、緊迫した訓練ができるというものだ。

 目下最大の課題は、以上を妻に納得させること。それは、緊急地震速報が完璧なシステムとして完成するのと同じくらい技術的に困難なことであろう。

(第251号)

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