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2009年8月の8件の記事

気骨の判決という気骨のドラマ

 NHKスペシャル終戦特集ドラマ『気骨の判決』(2009年8月16日放送)の録画を見ました。同名の新潮新書(清永聡著)を原案にした89分の実話に基づくドラマです。
 のちに「翼賛選挙」とも呼ばれる戦時中に唯一行われた1942(昭和17)年の衆議院議員選挙。そこでの選挙妨害などを理由に起こされた選挙無効の訴えについて、現在の最高裁判所にあたる大審院がこれまた戦時中に唯一下した「選挙ハ之ヲ無効トス」の判決。恥ずかしながら、私はこの判決のことを全然知りませんでした。

 法とは何か、法の正義とは何か、法の普遍性とは何かということが、ドラマでは実直に描かれていたように感じました。そして、法律家たる者の果たすべき『務め』についても。ドラマを見終わり身の回りのことに関する「法の支配」を見つめ直すと、ドラマで扱われていた“過去”が過去でなく、時代を超えて“いま”に流れている問題であることにも気付きます。
 こうした「ムズカシイ問題」を、わずか90分でわかりやすく浸透させる秀逸なドラマ。再放送はもとより、DVDでの販売等で一人でも多くの耳目にふれるよう広める価値のある「気骨のドラマ」だと思いました。

 話は戻って、「翼賛選挙」のことについて少々。私の愛する紀行作家・宮脇俊三(1926~2003)の著作にも具体的に触れられている箇所があります。

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また頼みたくなる植木職人

 猫の額ほどの、という形容がぴったりの、猫1匹がやっと通れるような幅の狭いわずかな庭が自宅にあります。そこには前の持ち主が植えた庭木が茂り、引き継いだ私がテキトーに剪定をしてきました。しかし、木は成長する一方で高さは2階を超え、もはやシロウトの手には負えなくなりました。
 先日、あるお客様のご自宅に伺った際、立派な建物に調和するよう整えられた素敵な庭を目にしました。庭木の手入れ方を尋ねたところ、「若くて仕事は丁寧、こちらの意向通りに処理をしてくれる良心的でいい職人さん」にお願いしているのだとおっしゃいました。
 私も、その人にお願いすることに決め、お客様にご紹介とお言添をいただきました。
 それで後日、直接依頼の電話をし訪問いただく日時を決めました。しかし、電話をした数時間後、突然襲った豪雨によって木が倒れ、隣家にもたれ掛かってしまったのです。急ぎ職人さんに連絡をしたら、なんとその日の20時過ぎに駆けつけてくれ、応急処置のうえ元通り植え直して下さいました。途方に暮れていたので、これには本当に助けられました。
 それから改めて日程を調整し直し、先日、“シロウトの手に負えなくなった庭木”たちを、2日かけて剪定(一部伐採)していただきました。ご近所への迷惑も一気に解消、庭は見違えるようスッキリしました。近づいてみると、先日倒れた木には支柱や補強が緻密に施され、枝の切り口一つ一つにまで腐らぬよう薬が塗られていました。職人さんの木々への愛情が伝わってきます。
 植木屋さんを頼むのは以前に失敗したことがありちょっぴり不安でしたが、杞憂でした。お値段も十分に良心的で、今回、この職人さんに依頼できてよかったと思っています。紹介してくれた私の依頼者にも感謝、また頼みたくなる植木職人との出会いでした。

 長くなりましたけど、というわけで、お庭のご相談はぜひこちらまで。
 「力丸造園」 飯能市中藤上郷172-1(電話042-977-1600)

Riki_01 Riki_02
名刺にもセンスを感じます(右は裏面)。紙質を伝えられないのが残念です。

(第252号)

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オオカミ少年と呼ばれても

 近所の公園から聞こえてくるラジオ体操に小学生の声。寝起き前のうつらうつら状態に、ケータイから聞いたこともない音が鳴り響いている。キュワッ、キュワッ、キュワッ…。

 ハタと気づき飛び起きて、画面も見ず1階にいる妻に向けて「2階に上がれっー、地震だぁー!!」と大声で呼びかけた。にもかかわらず、妻が2階に上がってきたのはしばらくして。緊迫した様子など微塵もない。「朝から大きな声を出してみっともない」「子どもの着替えをさせているのに何の用」とあきれ顔であった。

 ケータイの音の正体は、『緊急地震速報』を知らせる「エリアメール」。しかし、一向に揺れ始める気配はなく、のちに『誤報』だとわかった。
090825 最大震度5弱以上の地震の際、震度4以上と想定される地域に揺れが襲う直前に出されるのが一般向け緊急地震速報。妻への大声は、木造家屋の1階は倒壊による生き埋めの危険が高いことなどを瞬時に判断してのとっさの行動だった。速報が誤報だったことで、結果的には、予告なしの“訓練”に終わった。これはこれでよかった。

 だが、納得のいかないことが1つある。大声が原因で、家族の中で私一人バカ者扱いされていることだ。
 万が一、強い揺れに襲われる場合、速報後に残されている時間は、あって数秒だ。もっと小さな声でとか、様子を見てからでは間に合わない1秒を争う事態なのだ。また、誤報の発生は、いまの技術やシステムでは仕方がない。システムが未だ不完全なものでも、ないよりはあった方がいい。速報が命を救う日は必ず訪れるであろう。
 だから、誤報をとらえて気象庁を殊更非難したり、揺れに備えて行動した人間をバカにするのはケシカランことだ。つぎの『緊急地震速報』でも、ためらわず私は、「地震が来るぞー!」と大声で家族に知らせるだろう。誤報なら、その都度、緊迫した訓練ができるというものだ。

 目下最大の課題は、以上を妻に納得させること。それは、緊急地震速報が完璧なシステムとして完成するのと同じくらい技術的に困難なことであろう。

(第251号)

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尾瀬を吹き渡る千の風

 池塘に咲くヒツジグサを見るため一人尾瀬に行き、当ブログでその写真ばかりを紹介しました(第248号「続々・はるかな尾瀬」参照)。でも、尾瀬の池塘に必ずヒツジグサがあるとは限りません。この写真のようにヒツジグサのない池塘もあるのです。
 尾瀬の池塘、穏やかな天気の日には、水面が鏡のように空や雲を映し、至仏山や燧ヶ岳の倒映も見られます。一方で雨が降ればそこには無数の波紋が描かれ、風が吹けば目には見えないはずの風が姿を現します。空気でさえも役者のひとり。同じ場所であっても、同じ風景には二度と出会えぬ一期一会をつくりだします。

 この日は風の日。燧を下り尾瀬ヶ原を吹き抜けるすずかぜは、全身をここちよく通り越していきます。足を休めリュックを降ろせば背中はすぐに乾き切ります。来た道を振り返ると、清冽な池塘をそよぐたくさんの風が広がっていました。

 さざなみをたて吹き渡っていた尾瀬の風、あなたの処へも届くでしょうか?

P1080320
上ノ大堀川近くの大きな池塘と燧ヶ岳(2356m) 2009年8月14日
Panasonic LUMIX DMC-LX3,絞り優先AE,1/200,F6.3,ISO80,-0.33補正,24mm

*そのほかの尾瀬関連記事は、カテゴリ「尾瀬」をクリックしてご覧下さい。

(第250号)

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総延長57km

P1080305  総延長約57km。これは尾瀬にある木道の長さです。
 尾瀬の道は、ほぼ全域にわたって木道が整備され、木道以外の場所に足を踏み入れることは厳禁です。カメラの三脚もアウトです。この木道、1950年代から整備が始められたのですが、当初は、湿原のぬかるみから人間を守るためのものでした。
 いまではその発想が逆転し、人間から湿原を守るものへと変化しています。私たちに快適な尾瀬散策をもたらす木道は、一方で貴重な湿原を守るうえで欠かせないものなのです。
 尾瀬ヶ原の湿原堆積は、1年で1mmといわれています。たった1歩の踏みつけが、何十年もの自然の営みを一瞬にして破壊してしまうわけです。木道の整備される前に登山者が踏みつけ荒廃してしまったアヤメ平では、1966年から湿原の復元作業が続いています。しかし、40年以上経った現在でも、元の姿には遠く及ばないようです。尾瀬の自然保護は、自然破壊の歴史と裏表なのです。

 ところで、この尾瀬の木道。1mあたりの設置費用は複線で約12万円もかかります(木道1本の長さは通常4m)。7~10年で寿命となるため、定期的かつ計画的な補修交換も必要になります。湿原と同様、P1080243こうして維持されている木道にも、優しさと労りと感謝の気持ちで接したいものです。
 ちなみに最近では、木道の1本1本に設置管理者と設置年が分かるよう焼印がされています。歩きながらこれに注目しすぎると転倒や転落の恐れ大ですのでほどほどに。

(第249号)

*追加関連記事 尾瀬大好きの半年を総括(第274号)

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続々・はるかな尾瀬

P1080334

 7月に家族で行った尾瀬ハイクの写真を眺め、ヒツジグサの花が見られず残念だったとボヤきました。すると妻が「見に行ってくればぁ」と一言。そう簡単に言うなよといいながら、1日だけ夏休みを取って1人で出かけてきました。

 池塘(ちとう)の水面に浮かぶヒツジグサ。おもしろい形をした葉の向きは勝手気まま、それでいて花はとても端正なつくり、黄泉を想わす神秘さがあります。私は、この水草が大好き。尾瀬の景観になくてはならない存在です。
 未の刻(午後2時頃)に咲くのでヒツジグサというものの、じっさいは、午前11時頃に花びらを開き、午後4時頃には閉じ始めてしまいます。だから、朝と昼で池塘のようすは一変。満開時は、夜空に散らばる星のようでもあります(写真上)。

 8月中旬の尾瀬。ヒツジグサの葉は、鮮やかな万緑の時季を過ぎ色づき始めていました。朝夕はひんやりとして秋の気配が感じられます。
 午後、山の鼻への戻り道、木道の両脇に見える池塘は、埋め尽くすヒツジグサが鏡のように光って見えました。行き交う人もまばらになった木道に腰掛け心ゆくまで堪能、午後3時を過ぎ下山しました。日帰り10時間の尾瀬ハイク、歩数計の表示は36,097でした。

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葉に付いた2つの気泡で、カエルが隠れ覗いているよう見えるのは私だけでしょうか?(上田代の池塘にて)

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雨ニモ負ケズ還暦の熊谷花火大会

 この夏3度目の花火見物は、熊谷花火大会。打ち上げ場所から1.5kmほど離れた荒川右岸堤防のうえで見物しました。立秋を過ぎ、堤防の草むらには、秋の虫の音が響いていました。
 ところが、開始1時間前には虫の音をかき消す雨音が。天気は本降りの雨。延期やむなしとあきらめていたら、予定より20分も前から打ち上げが始まりました。いったん雨は上がりましたが途中からまた降り出してしまい、最後まで止みませんでした。雨の中での花火見物は初めてです。
 花火大会のクライマックスはラスト、という“お約束”を打ち破り、最大の見せ場は中盤にありました。地元の百貨店「八木橋」提供のワイドスターマイン。いったいいつまで続くのかというほどの特大乱れ打ちで、こんな花火は生まれて一度も見たことがありません。絢爛豪華、言葉を呑むとはこのことです。
 残念なことに、雨で上の方が煙ではなく雲に隠されてしまっていますけど、それでも見事です。小江戸川越花火大会の「丸広」など、比べものにもなりません。完敗です。
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第60回熊谷花火大会でのワイドスターマインのもよう。左下の光の点は荒川大橋、右の四角い光は八木橋百貨店。2009年8月8日20時10分頃撮影(Panasonic LUMIX DMC-LX3)

 ところで、熊谷花火大会の歴史について少しだけおさらいしておきます。
 熊谷は、1945(昭和20)年8月14日深夜、太平洋戦争最後となる空襲を受けました。市街地の74%にあたる約118万1400平方メートルが焼失。死者266人、市街地での負傷者約3000人、被災者は1万5390人に上りました。空襲から3年後の1948年、戦災からの立ち直りを願って開催されたのが「大熊谷復興花火大会」。これを起源に回を重ねて今年で60回目、埼玉県内で最も歴史のある花火大会です。
 熊谷花火大会の原点をみつめ、戦争の愚かさ、平和の大切さや有り難みを考えるきっかけにしたいと思います。きょう9日は長崎原爆の日、週末には64回目の終戦記念日も巡ってきます。

*関連記事
ハタチの小江戸川越花火大会(第240号)
アッパレこうのす花火大会(第242号)

(第247号)

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急がば回れよ川越浦安直行バス

 家族サービスの一環として、千葉県浦安市にある、アメリカ帝国主義の化身どもが聚合している施設を偵察してきました。そこは「西洋」そのものなのに、経営が「オリエンタル…」とは、まったく名は体を表していません。
 そんなことはさておき、2009年4月15日から、川越と当該施設を直行で結ぶ高速バス路線(※末尾参照)が開設されました。早朝に2便、夕夜に2便の計4便の設定で、所要は約70分、料金は大人1500円です。バスにはトイレも付いています。
 いつもは電車、武蔵野線か有楽町線を経由して往復していましたが、今回は試しにこのバスを利用してみることにしました。結論から先に言います。このバスの利用は全くオススメできません。
 その理由は、バスの経路にあります。関越自動車道の川越ICから首都高速湾岸線の葛西ICまで高速道路を通るバス。大泉から外環道に入ったあと常識的には次の4ルートが考えられますが、どこを通るでしょう(料金はすべて同じ)。

【A】 美女木JCT→5号池袋線→竹橋JCT→都心環状線外回り→6号向島線→9号深川線→辰巳JCT(63.7km)
【B】 美女木JCT→5号池袋線→板橋JCT→中央環状線外回り→葛西JCT(69.6km)
【C】 川口JCT→川口線→中央環状線外回り→葛西JCT(71.7km)
【D】 三郷JCT→6号三郷線→中央環状線外回り→葛西JCT(75.6km)

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