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日司政連の政治資金収支報告書に虚偽記載

 政治資金収支報告書の虚偽記載が最近話題となっています。ためしに、総務省HPで公表されている日本司法書士政治連盟(以下、「日司政連」といいます)の最新の報告書を見てみました。

 平成19年分日司政連政治資金収支報告書
 http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000027260.pdf

 残念ながら、すぐに虚偽記載が見つかりました。
 報告書には、『個人の負担する』会費による収入が5059万9250円で、これを収めた員数が1万8443人と記載されています。しかし、日司政連の会員は、各都府県及び北海道4ブロックごとに設立されている単位司法書士政治連盟(以下、「単位司政連」といいます)であり、その数50にすぎません。個人会員は1人もいません(日司政連規約5条)。
 日司政連に会費を収めることができるのは、構成員たる単位司政連という団体だけです。政治資金規正法5条2項では、「法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす」と定義。寄附については、年間5万円を超える場合、各別に、寄付者の名称及び金額等の明細を記載して報告しなければなりません(同法12条1項1号ロ)。
 なのに、日司政連報告書の「法人その他の団体からの寄付」「政治団体からの寄付」は、いずれも「0円」と記載。明細の記載もありません。形式的には、明らかな虚偽記載です。報告書の虚偽記載は、「五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する」とされています(同法25条)。
 日司政連に収められたとされる総額5000万を超えるカネは、一体どこからどのように流れてきたものなのでしょうか。日司政連は、虚偽記載の訂正はもとより、この不透明なカネの流れについて国民に説明する必要があります。
          *          *          *
 (参考) 2004年参院選において日司政連が行った問題行動について
  http://homepage3.nifty.com/restart-net/seiren.html の(11)以下を参照
 なお、日司政連の会計責任者である芝将宏氏は、日司政連の構成員が個人ではなく単位司政連であることを、当時、当職に宛てた内容証明郵便(pdfはこちら)に明記しています。

(第236号)

*追加関連記事
司法書士関連の政治団体による事務所無償使用問題(第258号)
日本司法書士政治連盟に対する公開質問状(第259号)
公開質問に答えぬ日本司法書士政治連盟(第271号)
日司政連による収支報告書虚偽記載問題の要点整理(第288号)

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コメント

 対比させる意味で、同様に公開されている日本税理士政治連盟の収支報告書のリンクも掲げておきます。ご覧下さい。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000027300.pdf

投稿: 鉄まんアトム | 2009年7月 2日 (木) 13時29分

う~ん、おかしいですね。

たとえば、「東京司法書士政治連盟」が提出している政治資金収支報告書(下記URLで公開)には、平成19年に、4回にわたって、日本司法書士政治連盟に対し、「寄付金・交付金」として総額820万8000円の「日司政連会費」が支出されたことが明記されています。

http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/shikin/19report/pdf/to/to_24.pdf

Aという政治団体の報告書には、「Bに対し820万8000円の寄付金・交付金を支払った」と記載されているのに、Bという政治団体の報告書には、「Aという団体から寄付金・交付金を受け取った」という記載がされていないわけです。

こんなのアリ?

他の政治団体からの寄付金(法により「寄付」とみなされた会費)を、「個人からの会費」だと偽って記載しているのでしょうか。法に違反してまで、そのように偽らなければならない事情が何かあるのでしょうか?

投稿: へっぽこ探偵 | 2009年7月 5日 (日) 22時00分

 神戸学院大学実務法学研究科(法科大学院)の上脇博之教授が、ご自身のブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」で、6回にわたって、「公益法人と政治団体の峻別」問題を取り上げています。参考までにリンクを貼っておきます。

問題その1(「南九州税理士会政治献金徴収拒否事件訴訟」)
問題その2(「日本歯科医師連盟事件」)
問題その3(「2つの行政書士会政治献金事件」)
問題その4(「和歌山県行政書士会事件高裁判決」後)
問題その5(政治連盟がペーパー団体である可能性)
問題その6(峻別不徹底の大本の理由と政治問題化の可能性)

投稿: 司法書士広田博志 | 2009年8月 5日 (水) 17時50分

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