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涙雨の東京駅にて

 昨夜、東京と九州を結ぶ最後のブルートレインがそれぞれの始発駅を旅立っていきました。大分・熊本を出発した東京行き上り「富士・はやぶさ」が、東京駅で見る最後のブルトレということになります。東京駅からブルートレインが消え去る日(第145号参照)は、昨日ではなく、きょう3月14日なのです。
P1030826  東京駅に行ってみると、10番線ホーム端にはすでにびっちり人が並んでいて、立ち入る余地はありませんでした。列車の正面を見るのはあきらめ、ホーム中程で最後の「富士・はやぶさ」の到着を待ちます。のりば案内板の“~方面”に書かれていた「大分・熊本」の文字の上には、白いテープが無造作に貼られていました。
 列車は、所定の時刻から88分も遅れる11時31分、約2千人もの人が出迎える東京駅10番線ホームに汽笛を響かせながら辿り着きました。下関から牽引してきた機関車は、P1030888 到着後ただちに切り離され神田側に引き上げ、隣の9番線を使って有楽町側に付け替えられます。その間に乗客の全員が列車から降りると、すぐに客車の扉が閉じられ照明も落とされました。発電機のエンジンも止められ、いましがたそこにあった人の温もりはもうありません。
 そんな余情にひたるのも束の間、「その時」がやってきました。
 11時53分、東京駅に最後の汽笛が吹鳴されます。数えきれぬ人たちが見送るなか、回送列車となるブルートレインが静かに動き始めます。東京駅からブルートレインが消え去る瞬間です。こうして客車はいったん車庫に引き上げられ、もう二度と明かりを灯すことも乗客を迎え入れることもなく、このまま遠く九州へと回送されていきます。
 東京駅で見る最後のブルートレイン、東京駅で聞く最後の機関車の汽笛。遠ざかっていくその姿……そして、とうとう見えなくなりました。これで、ほんとうに終わってしまったんですね…。口惜しいから、哀しいから、泣きたくなるから、だから僕はいま、ありがとうもさようならも君に言いません。でも、一言だけはとりあえず。お疲れ様でした。

 君が去っていったあと、君に押し寄せた人波も引いていきました。君が僕を見失いどこかに行ってしまおうとも、いつか君とまた会えるよう僕はここにいます。

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●関連記事 東京駅からブルートレインが消え去る日(第145号)
これまでの「富士・はやぶさ」関連記事のリンクは、そちらに掲載しています。

(第181号)

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