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空を飛べないアトム

 3月で廃止される寝台特急「富士・はやぶさ」について、今月に入ってからくどいほど熱く語っていますが、それには1つのワケがあります。
 「富士・はやぶさ」は、東京駅を発着する最後のブルートレインと言われていますが、夜行又は寝台列車ということでみれば、「サンライズ出雲・サンライズ瀬戸」が1往復辛うじて残ります。それでも、サンライズで行ける西の果ては岡山まで。「富士・はやぶさ」の廃止は、私から岡山以西への旅の足を奪うことを意味しているからです。

 えっ、新幹線や飛行機があるじゃないかって?

 おっしゃるとおり。
 しかし、私にとってそれじゃダメなんです。

 まず、新幹線には寝台車や(ごく一部を除き)個室がありません。グリーン車だって狭っ苦しいし、プライバシーへの配慮はゼロ。リラックスして寝転がることもできなければ、気兼ねなく屁をすることもできません。隣でパソコンを広げて必死で仕事されたり、安物ヘッドホンからシャカシャカ漏れる聴きたくもない音楽を聴かされたり、トイレに立つにも気を遣いと、とにかくストレスがたまります。
 一方の寝台列車では、新幹線の5人分ほどのスペースを一人で使えます。個室なら、鍵もかかり自分だけの世界。車窓は独占。疲れたら横になってうたた寝だってOKです。Img_4044もちろん、枕も毛布もついています。
 さらに、旅ではお約束の一献にも問題アリです。新幹線では、ビールを飲むのがせいぜい。お気に入りマイボトルを窓辺に置き、手荷物から氷を取り出し透明カップにウイスキーを注いで飲もうものなら、必ず周りは引きます。夜行列車では当たり前の光景も、新幹線ではちょっとヤバイ、いや相当にヤバイ光景に違いありません。

 つぎに、飛行機はどうでしょう。車に乗り、電車に乗り、それと同じように1つの交通機関として飛行機に乗れる人にとってみれば不思議なことでしょうけど、じつはわたくし、飛行機には乗れません。べつにブラックリストで搭乗を拒否されているわけではなく、ただ単に怖いだけで乗りません。遊園地の飛びモノすら差し支えます。
 わが人生で飛行機に乗ったのは一度だけ。高校の修学旅行で福岡→東京に搭乗させられ、それが最初で最後(の予定)です。
 そもそも、トラブルがあると飛行機は最終的に落ちる。落ちたら、ほぼ確実に命がないところに問題があります。地上に落ちる場合には、関係のない人まで巻き込んだりして申し訳が立ちません。余談ですが、そこで私が思うのは、もはやこれまでという事態に至ったら、機体が細かく空中分解される仕組みになっていればよいのではないかと。で、それだけだと乗客はたまらないので、すべての座席にパラシュートと酸素マスクを備える。…まあ想像するとそれもまた微妙な状況ではあるし、どうせ飛行機になんか乗らないから、正直どうでもいいやというのが本音です。

 空を飛べない臆病者の鉄腕アトムとは、オバケなのに化けられないQちゃんと同じくらい情けない存在です。
 しかし、こちらは鉄まんのアトム。これまで北海道も九州も、できるだけ新幹線を使わず、そのほとんどを夜行列車で往復しながら乗りつぶしをしてきた筋金入りの“乗りテツ”です。船も使っているため鉄分100%とはいきませんが、現地に飛行機でひとっ飛びする“飛びテツ”さんとは格が違います。鉄まんアトムは、空を飛べないのではなく、あえて飛ばないのです。

 ところで、私は、これからどうやって九州に行ったらいいでしょうか?
 

*関連記事
東京駅からブルートレインが消え去る日(第145号)
その他の「富士・はやぶさ」関連記事のリンクは、そちらに掲載しています。

(第168号)

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コメント

空を飛べないアトムさん、答えはもちろん「船」です。
東京方面から北九州や宮崎行のフェリーがありますし、大阪や神戸発という手もあります。
 お酒で酔ってしまえば、船酔いの心配もありませんしね。

投稿: 泳げないかえる | 2009年2月15日 (日) 23時06分

とても楽しそうな写真で,仕事で疲れた時間帯に見ていると,体に毒です。帰りたくなります。
またいつかお供させてください。瓶も缶も私が持ちますから。
事前打ち合わせが必要でしたら呼んでください。予行演習のために川越まで瓶を持って行きますから。

投稿: ヤッジー | 2009年2月16日 (月) 20時00分

 泳げないかえるさん
 やはり船ですか。手元に最新の時刻表がなく確認できないのですが、社団法人日本旅客船協会HP(http://www.jships.or.jp/)で検索してみました。
 東京起点だと、徳島寄航の北九州門司航路(オーシャントランス)と志布志寄航の沖縄航路(マルエーフェリー)がありますね。以前あった川崎-宮崎航路(マリンエキスプレス)や横須賀-大分(シャトルハイウェイライン)は休廃止されているようです。
 いずれも所要は24時間超なので、東京から船を利用して九州に行くのは現役世代にとって現実的ではないかも知れません。鹿児島への直通は断たれたとはいえ、「富士」「はやぶさ」は、やはり便利でかけがえのない列車でした。

 ヤッジーさん
 帰宅促進に一役買って光栄です。でも、酒類の過剰摂取で家計消費を促進してしまっては奥方に申し訳が立ちませんので、くれぐれも私のせいにはしないようにお願いします。
 ところで、夜行列車での一献がお気に召したようで何よりです。社会人になってからは一人旅手酌酒ばかりでしたので、こちらも車内でいっしょにグラスを傾ける楽しみを満喫させてもらっています。
 うまいものと温泉があればどこでもいいと伺っていますから、夜行が少なくなったとはいえネタには事欠きません。それの事前打ち合わせ&予行演習で旅費が底をつかぬか、私にはそちらのほうがむしろ心配です。

投稿: 鉄まんアトム | 2009年2月17日 (火) 15時15分

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