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ぶたのぶたじろうさん

 子どもが小学校の図書館から借りてきた本を読みました。
 素敵な装幀のその本の名は、「ぶたのぶたじろうさんは、ふしぎなふえをふきました」。クレヨンハウスが発行している物語絵本です。分量はA5サイズの80ページほどで、ほぼ仮名文字だけで書かれています(一と十の2文字だけ漢字がある程度で、それもルビ打ちされています)。「ぶたじろうさん」シリーズになっていて、1巻には3話が収録されています。

 さて、話を戻して借りてきた本を読み進めていきます。
 すると…

  ぶたじろうさんは、ひょいと おしりを 
  ハナハダシイに むけ、おしりぺんぺんを はじめました。Img_4352
 「ここまで おいで。あっかんべー」
 「なんだと! この ブタやろう!」
  おこったの なんのって。ハナハダシイは、…

(※「ハナハダシイ」とは、鼻が甚だしく利き、体がゾウの10倍はある乱暴者で、童話の中での空想の生きものです。)

 そりゃあ、誰だって怒って口に出してしまうことはあります。
 でも、そういう言葉遣いをしてはいけないよ、うっかり言った言葉で後の災難を自ら招くことが往々にしてあるんだよ、ということを学ぶためにも、こういう童話はあるのでしょう。そういうことは、幼いうちに理解させなければいけません。
 しかし、現実は難しいものです。子どもは、こういうフレーズだけはすぐに覚えて使い始めます。いいオトナがテレビで「金髪豚野郎!」ですから無理もありません。一時期、スポーツ新聞やワイドショーを席巻し、しかも、その豚が白だの黒だの…。どっちだって構いませんよ、そんなことは。豚野郎は豚野郎です。私にだって、「この黒髭白豚野郎!」と言ってやりたいような人はいます。

 おっと、いけない! 調子に乗りすぎました。
 そんなことは思っても口に出さないのが品格ある大人というものです。
 己の姿を鏡に写してそれを口にすれば、そこには「白髪青豚野郎」が突っ立っているではありませんか。そいつに向かって「誰だ、おまえは!」と叫んでも、結局は、そっくりそのまま己に降りかかるだけなのですから。
 絵本や童話は、大人にとっても不可欠なものなのかもしれません。

               *          *          *
*引用した文献
 「ぶたのぶたじろうさんは、ふしぎなふえをふきました」(第4巻)の第1話
 文:内田麟太郎、絵:スズキコージ、発行人:落合恵子
 2007年4月初版、クレヨンハウス

(第144号)

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