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歯医者という憂鬱

 歯医者が大嫌いだ。
 歯医者が嫌いだから行かない,行かないから病気が進行する,病気が進行してから行くので痛い目に遭う,痛い目に遭うから嫌い。いい歳をしてみっともない話ではあるが,とにかく嫌いなものは嫌いなのだ。
 さらに問題がある。じつは私,アゴが外れやすいのだ。
 ねぼけて大あくびをして外れ,バカ笑いをして外れ,マクドナルドで外れ。外れるようになってからもう20年近くなる。歯医者とて例外ではない。というより歯の治療中が最も危険なのである。これも歯医者を遠ざける原因になっているのだ。
 アゴが外れるというと誰もが笑う。でも,本人は必死なのだ。外れてしまうと意思表示ができない。紙と鉛筆をくれ,ということすら容易には伝わらないのだ。それに何より元に戻すときに激痛を伴う。誰かこの病気を治す方法があったら教えてほしい。

 最近,歯が痛むようになり,観念して歯医者に行くことになった。
 問題があると思っていた箇所は「あと2~3年は保つ」らしい。もう1箇所の怪しいと思っていた場所は,比較的重症の歯槽膿漏(歯周病)だという。それに加えて自覚症状のない虫歯もあると聞いて凹んでしまった。やっぱ,来るんじゃなかった…(そうじゃないだろ!って)。
 虫歯のうちのいくつかは,しばらくこのまま放っておいてもいいらしい。歳を取るとそう進行しないのだそうだ。で,ちょっと進んでいる1本を治療することになり,その予約が今晩だった。
 奥から2本目の歯で過去に治療してあるところ。その脇が虫歯になっているとのことで,麻酔をし,かぶせてある金属を外して治療することになった。
 麻酔の注射は痛くなく,すぐに治療に取りかかり,例のキーンだがこれが痛い!「痛むなら麻酔を追加するよ~」というので迷わずお願い。効いてくるまでしばらく休憩。ぜんぜん気は休まらないけど。5分後に再着手,はじめは順調だったのにまた痛み出す。唇も舌も無感覚になっているのにまだ痛む。あえなく麻酔をもう1丁追加される。また休憩。もういやだ,早く家に帰りたい。ほどなく再々着手。それでもまた痛むときがある。もう口全体の感覚がないのに,だ。これだけ麻酔をしてまだ痛みがあるというのは,そうとう頑固だ。あとはもう気力。ガマンするしかないらしい。
 麻酔は効いているのに痛みがあるという納得しがたい状況の中,なんとか”土木工事”が終わり,掘ったところに薬を塗り型を取って仮詰めをして,やっと全部終わって「は~い,うがいして下さ~い」と言われて口をゆすいだ。しかし,吐き出そうと思った場所とはぜんぜん違う方向に飛んでいき,衛生士さんに失笑される始末。口はまともに開けられないし,まったくグズなおっさんだと思われているに違いない。しゃべればロレツがまわらず,舌を咬みながらよだれダラダラで次回の予約をして歯医者をあとにした。
 治療から2時間が経過。この記事を書いているいまこの瞬間もまだ痺れたままで,口からはよだれが流れている。

(第110号)

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