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させていただきます

 「~させていただきます」という表現。
 最近、テレビを含めあらゆる日常の場面で耳にし、上場企業のホームページや製品のカタログはおろか、司法書士会の公式な文書にも登場するようになりました。
 ひどいものになると、A4版1枚の文書に何箇所も使われています。1回の電話で何十回も聞かされることもあります。
 「土曜日はお休みさせていただきます」「欠席させていただきます」「振り込みさせていただきます」「郵送させていただきます」「請求させていただきます」「連絡させていただきます」「遠慮させていただきます」…

 あぁ~もぅ、うるさい!!

 土曜に休まれては困る、と言われたら休まないのでしょうか。振り込むな、送るな、と言われたら持参するのでしょうか。そう言われたら一体どうするのでしょうか?
 これを突きつけられた側に何か選択権があるのならまだしも、選択の余地のないものにまで濫用されているように見受けます。それは困る、やめてくれ、と申し出ても、結局のところ、それで考え直されたり方針が変更されることなどまずないのです。
 だったら、土曜でも水曜でも休みたければいつでも休め。いつ休むかは君の自由だ。招待してもらって「出席させていただきます」なら話は分かるが、「欠席させていただきます」っておかしくないか。郵送で送られてきた書類に「郵送させていただきました」って、もはや手遅れじゃないのか。いくらお断りしても、請求はするんでしょう、連絡だってしてくるんでしょう。私が決めるべき事柄を何であんたが遠慮するんだよ。…などなど思うのです。とにかく、勝手にこちら側の許可や了解を得たことにして話を進めないでほしい、と思います。だから、私には「~させていただきます」は目障り耳障りです。

 「~させていただきます」が正式な用法として使えるのは、非常に限られた場面だけです。丁寧さを出そうとして多用しすぎると、丁寧どころか失礼。慇懃無礼というものです。それだけに留まらず、何様のつもりだ、という反感すら与えかねません(使っている当の本人には自覚がないことが多いので、事態はいっそう深刻です)。
 口癖や書き癖になっている人は要注意。相手の意見や方針を尋ねるつもりがなく、「~いたします」とか「~ください」とかで言い換えができるようなら、「~させていただきます」は使わない方が賢明です。

※参考文献
 「続弾!問題な日本語」(北原保雄編著、大修館書店、2005年)p67~

(第103号)

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コメント

賛成。
子供達がそんな言葉遣いにならないよう、子供達の前でテレビに向かって訂正を申し立てています。

投稿: ANEGO | 2008年10月 9日 (木) 17時08分

 ANEGOさま
 コメント&ご賛同いただきありがとうございます。
 どなたかと思いきや、メールアドレスでわかりました。

 以前に、「死ぬ」という言葉遣いをめぐって論争しましたね。あれは私の屁理屈で反省しています。目に見えないものを形にしているはずの言葉であるはずなのに、言葉と対応の乖離は進む一方です。 だからといって、言葉の扱いをぞんざいにしていいことにはなりません。人と人をつなぐのは言葉であり、その言葉を裏付ける行動なのでしょうから。

 今後とも、テレビに限らず「訂正の申立て」をお願い致します。

投稿: 鉄まんアトム | 2008年10月10日 (金) 10時20分

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