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待つコドモ、待てないオトナ

 こどもは、いろいろなことを辛抱強く待ちます。ほしいモノがあっても、誕生日やクリスマスを指折り数えてガマンします。遊びは小遣いのなかで、借金などできません。横断歩道では車が通りすぎるのをじっと待ち、交差点の赤信号だって青になるまで待ちます。人の話も最後まで聞きます。それは、大人たちがそのように教え諭し、こどもたちに習得させているからにほかなりません。
 一方で、待てない、ガマンのできないのはオトナです。
 突然電話をかけてきて即座に結論を求める人、予め説明をしていても登記や裁判の完了が待てない人、人の話を聞こうともせず放言してはばからない人など。外に出れば、エレベーターや電車のドアが開くや我先に乗り込む人、先の信号が赤だからアクセルを離し減速するやすぐに車間を詰め煽り始める人、対向車があるにもかかわらず強引に右折する人、喫煙の禁止されている場所でもタバコを吸う人などなど。世の中は、待てない、ガマンのできないオトナで溢れています。

 大阪では16日、こどもたちがそんな待てないオトナたちのとばちりを受けることになりました。
 ある保育園の所有であった畑に行政代執行が実施され、園児たちが育ててきたサツマイモや落花生が引き抜かれ、整地されたのです。テレビのニュースでは、現場で泣いている園児らが映されていました。収穫予定は今月末、あとわずか2週間でした。
 この畑は、建設中の第2京阪道路の予定地にあって、保育園側が用地買収に応じなかったとして大阪府が今年4月に強制収用。保育園側は、これを不服として、土地の強制収用の執行停止を大阪地裁に申し立てたが今月1日に却下され、大阪高裁に即時抗告していました。大阪高裁は、30日に決定を出す予定でした。
 しかし、大阪府は、高裁の決定、そして園児らによる畑の作物の収穫までの2週間が待てず、行政代執行に踏み切ったわけです。
 2週間が待てない理由として大阪府の言い分は、「2010年3月末に予定されている第2京阪の全線供用開始に間に合わなくなるため」だそうです。橋下徹知事も、「府は4月から任意交渉を誠実に続け、慎重な対応をしてきた。今後2週間遅らせると、通行料で6億~7億円の損が出てくる。公の利益のためということで、園の所有者には申し訳ないがこのまま代執行をさせて頂く」と報道陣の取材に答えています(各紙新聞報道)。
 でも、試算されている交通量の見込みは眉唾ものです。道路を造る口実が必要で、過大に見積もられている可能性も否定できません。第2京阪そのものが無駄な道路でないかという指摘だってあります。必要な道路は整備するべきでしょうが、大阪府は、いまある道路の維持にも窮するほど財政が破綻の危機にあるはずです。必要なものであっても、カネがないならガマンするしかありません。
 なのに園児らは、そんな道路の完成を2週間早めるために、育ててきた収穫間近のイモを引き抜かれ、将来大人になって、そのイモを引き抜いていったオトナがこしらえた借金のツケを払わされるのです。なんとも理不尽な話ではありませんか。
 しかも、こうして大阪府が2週間を待てずにこの畑を強制的に整地しても、「浪速国道事務所によると、事業用地は保育所の畑を除き、まだ7件、約3千平方メートルが未買収だ」(アサヒ・コム)そうです。
 だから私には、あと2週間を待てない急迫性が納得できません。

(第109号)

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