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大垣夜行

 きょう9月1日の朝日新聞に、「大垣夜行 臨時列車に?」という見出しの記事がありました。JR東日本とJR東海が運転取りやめの方向で検討、毎夜運行は今年度末限りで廃止される見込みだそうです。
 「大垣夜行」というのは、いまでは東京-大垣間の夜行快速「ムーンライトながら」を指して使うのでしょう。新しいファンには「ながら」のほうが通りがいいかもしれませんが、私たち以上の年代には、やはり「大垣夜行」です。
 私の若者だった時代はまだ普通列車で、旧型の急行用車両(165系)が使われていました。座席を確保するために、何時間も前から東京駅のホームに並んだものです。苦労して席についてもほぼ直角の硬い座席で、寝ては起こされ寝ては起こされの旅路でした。いまの「ながら」とは比べものにならないほど苦痛な環境でしたが、友と過ごしたあの貴重な時間は忘れられません。「大垣夜行」という同じ列車での思い出は、多くの人にたくさんあるに違いありません。ただの鈍行なのに「大垣夜行」と呼ばれ、多くの人に愛されてきた列車。こういう列車って、もはや一つの文化だと私は思います。そんな文化がまた一つ消えていくのは、寂しい限りです。

 新幹線や飛行機、深夜バスに押され(という理由付けで)、長距離の夜行列車は年を追うごとに姿を消されています。東京駅を発つ夜行列車は、いまではたったの3本のみ。大分・熊本行きの「富士・はやぶさ」、高松・出雲市行きの「サンライズ瀬戸・サンライズ出雲」、そして大垣行きの「ムーンライトながら」の3つです。
 今年3月には、京都-熊本・長崎間の「なは・あかつき」、東京-大阪間の「銀河」が相次いで廃止され、来年には「富士・はやぶさ」も廃止されようとしています。そのうえ「ながら」も廃止されてしまうと、一気に選択肢が失われます。西への旅はつまらなくなっちゃうなあ…。
 飛行機に乗れない私は、遠距離への旅に必ずといっていいほど、行きも帰りも夜行列車を利用しています。こんな旅のスタイルを続けられる時間は、もう残り少ないのかもしれません。

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 1枚だけ古い写真がデジタルでありました!
 撮影日は明確ですが…たぶん多客期に増発されていた臨時「大垣夜行」だと思います。定期の「大垣夜行」より後に東京を出発する「臨時大垣行き」の方が、なぜか先に大垣に着くんですよね。

(第93号)

*追加関連記事
東京駅からブルートレインが消え去る日(第145号)
空を飛べないアトム(第168号)

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