水たっぷり鉄分補給
終戦記念日。仕事を休んで、少しだけ鉄分の補給をしてきました。
朝、目覚めてからの思いつきで、しかも日帰りという制約付き。寝ぼけた頭にふと巡ってきたのは、先日購入した「父・宮脇俊三が愛したレールの響きを追って」という本に登場していたJR鹿島線と鹿島臨海鉄道でした。
鹿島線は水郷を横切る線で長大な鉄橋が多く、水をたっぷりと鑑賞することができる。とくに北浦を渡るあたりがすばらしい。(宮脇俊三「旅は自由席」より)
この一節を思い出し、「水をたっぷり鑑賞する」べく出発することにしました。手元には地図も時刻表もなく、今日はケータイとSuicaだけが頼りです。未乗の成田線我孫子~成田にも乗るため、武蔵野線で新松戸を経由して我孫子に向かいました。
武蔵野線の車中で、時をおいては妙な臭いが漂ってくることを感じましたが、適当に受け流していました。新松戸で常磐線に乗り換え、またもや妙臭が。イヤな予感がして恐る恐る靴の底を除くと…、「!」。踏んではいけないモノを踏んでしまっていたようです。そう、妙臭の犯人は自分だったのです。我孫子駅でチラシ片手にトイレに入り込み、直ちに除去を開始。最後は和式便器に足を突っ込み、この時点でもう、水たっぷり。おつりまで来るほどの強力洗浄にて、とりあえず一件落着となりました。
さて、気を取り直して成田に向かい、鹿島線の電車に乗り込みます。
鹿島線は、JR成田線の香取から分かれ、利根川、常陸利根川を渡り茨城県に入り、北浦を横切って鹿島神宮に至る14.2kmのローカル線です(正式には、鹿島サッカースタジアム駅までの17.4km)。
香取で成田線と分かれると、列車は大きなカーブで築堤を登っていきます。左窓に大きな鉄橋が見え始め、列車はこれを渡っていきます(写真上左)。いきなり水たっぷりの利根川です。渡り終えると車窓からは見渡す限りの水田で十二橋に到着。田植えの頃なら水の上を走っている錯覚を覚えるかもしれません。潮来を過ぎ、圧巻は北浦鉄橋、長さ1236メートル。まるで海の上を渡っているかのような気分になります。まさに「水たっぷり」。鉄分ならぬ水分補給で終点・鹿島神宮に到着です。
鹿島神宮はどんな終着駅かと思いきや、都会のどこにでもあるようなふつうの高架駅(写真上中)。行き止まりはどこにもなく、しかもホームはたった1つ。拍子抜けしているまもなく、鹿島臨海鉄道の12時48分発水戸行きはホームの向側へ乗り換えです。
海に臨むはずの鹿島臨海鉄道から、残念ながら海は見えません。車窓を支配するのは、一面の畑や田んぼ。のどかな田園地帯をけっこうな速度で走り抜けます。
途中の大洗で下車をして海岸まで歩いてみようと思いました。海岸までの地図を見るためケータイで地図を確認。すると、大洗の北には大きな川(那珂川)があって、その対岸にも鉄道があることが分かりました。存廃問題に揺れ、今年4月に「ひたちなか海浜鉄道」として再生した旧茨城交通湊線です。せっかくなので、この湊線に乗って終点の阿字ヶ浦まで行き、そこで海まで散歩することにしました(写真上右=大洗までの乗車券を車内で水戸までに変更)。
大洗を出ると水田地帯の高架橋を雄大にカーブ、10分ほどで水戸終点となります。水戸からは常磐線を一駅下り、湊線の起点勝田へ。その勝田で私を待っていたのは、いまとなっては博物館展示物レベルの貴重な存在となったキハ20型。それも旧国鉄一般色塗装。予定外にもかかわらず、ラッキーな巡り合わせです。
老兵キハ20は、さきほどの鹿島臨海鉄道とは一転、同じような田園地帯をゆっくりトコトコと走ります。終点阿字ヶ浦までは30分の小さな旅です。阿字ヶ浦駅から5分も歩けば海岸に着きます。歩いていると、勝田へと折り返す汽車の走る音、踏切の警報音などがわずかに聞こえてきます。
「水たっぷり」のシメに海をたっぷり眺め、潮風を背に駅へと引き返し、勝田からは「フレッシュひたち」で一気に上野まで行き、池袋のジュンク堂書店の「かえるフェア」を物色しました。鉄分補給の目的で、水分とカエル分も補給して家路につきました。

(第90号)
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コメント
湊線まで足を延ばしていただきありがとうございます。
近代的な鹿島臨海鉄道とは好対照なローカル鉄道です。
沿線には、海だけでなく新鮮なお魚や町並み、壁画など
魅力に満ちあふれています。
ぜひまたお越しください。
(吉田)
投稿: ひたちなか海浜鉄道 | 2008年8月19日 (火) 18時01分
ひたちなか海浜鉄道の関係者の方でしょうか、吉田さん、コメントありがとうございます。
下品な書き出しの記事で、しかも取って付けたようにしか湊線には触れていないにもかかわらず、コメント頂き大変恐縮です。
茨城には親友もいますので、いっしょに”お魚”を目的に、また湊線に乗って再訪したいと思います。国鉄型気動車の維持には部品調達など大変でしょうけど、今後も末永く”動態保存”を期待しています。
ちなみに、阿字ヶ浦駅には駅員さんがいましたけど、乗車券類は売っていないようです(正しく言うと、目的地までの運賃を改札で支払うのですが、交付されるのがきっぷではなく味気ない精算券でした)。私のような鉄道ヲタクは、アホになったように余分なきっぷを片っ端から買い求めて行きますので、硬券の入場券など全駅分つくって売れば、十分そのコストは回収できて売上げ増加につながると思いますよ。
【追記】 雑誌記事等を拝見しますと、吉田さんは、もしかして社長さん? 地域の鉄道再生への取り組みに敬意を表する次第です。
投稿: 鉄まんアトム | 2008年8月19日 (火) 18時36分
そうなんです。
なにしろ、昨年秋に存続が決まって今年の4月に開業。
乗車券を調整するヒマもなかった、というのが実情です。
夏だけ駅員配置の阿字ヶ浦。硬券なんか置けば喜んでもらえるかな、とか今やっと考えています。
準常備往復乗車券とか、マニアチックなことも構想に。
なにかアイデアがあったらまたお願いします。(吉田)
投稿: ひたちなか海浜鉄道 | 2008年8月20日 (水) 10時01分
再びコメントありがとうございます。
準常備往復乗車券ですか…ため息が出るほど欲しい人はたくさんいると思います。1枚買ってくれれば、1人が往復乗ったのと同じですからね。
きっぷ以外で効果的な増収策というとなかなかこれといったものは思い当たらないのが現実ですが、全国を見て思うことは、キャラクター列車(JR四国のアンパンマントロッコなど)や旧型車両をオリジナルの姿で走らせるのが結局一番かな、と。SLもいいですけど、それなりの維持費がかかりますものね。
投稿: 鉄まんアトム | 2008年8月21日 (木) 16時45分