新聞社へ”内部通報”
司法書士が暴力団組長らと共謀し不動産登記簿を不正に改ざんしたとされる事件で埼玉県警が9日、司法書士ら3名を逮捕した、と10日付の朝日新聞や読売新聞で報じられました(一部9日付の朝日夕刊で既報)。
なかで朝日新聞では、「容疑者の逮捕を受けて、同容疑者が所属する埼玉司法書士会では『資格代理人としての地位を悪用し、社会の司法書士に対する信頼を裏切った行為。会としてもおわびしたい』とショックを隠さなかった」と司法書士会のコメントまで報じていました。
推定無罪、という法律の大原則はどうなったのでしょう。
裁判員制度も始まろうといういま、「法律家」の団体ならば、被疑者や刑事被告人の立場について、もう少し冷静な対応がなされてしかるべきではないのでしょうか。これだから、司法書士は”自称”法律家だ、と言われるのです。
それはさておき、朝日新聞ではさらに、「同会では事件を受けて、県内に703人いる会員に対して事実関係の説明とともに『不正行為に加担しないよう』改めて、注意喚起の通達を行う方針だ。」とも報じています。
一方で会則違反=司法書士法違反を繰り返して解任議案まで出されている執行部が、他方で起こった法律違反をネタに会員に法律を守れ、という通達を出すのでしょうか。以前にも書いたとおり、漫才です。
もしかすると朝日新聞は、いま埼玉司法書士会で起こっていることをご存じではないのでしょうか。そこで念のために、以下の手紙をしたためFAXにて送付しました。埼玉司法書士会執行部は内部での問題解決をとうに放り捨てていますから、こうした「内部通報」や訴訟提起といった外部への働きかけが増えていくことでしょう。
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朝日新聞東京本社広報部 御中
朝日新聞さいたま総局 御中
朝日新聞西埼玉支局 御中
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
貴紙本日朝刊の司法書士らによる不動産登記法等違反事件を報じた西埼玉版記事を拝見致しました。記事が事実であるなら、同じ資格者として痛恨の至りと言わざるを得ませんが、現状では「推定無罪の大原則」に則った対処をするほかございません。
さて、同記事では、被疑者が所属する埼玉司法書士会に対する取材に基づくと見受けられる記事もあって、同会の認識とともに、同会が同会会員に対し「注意喚起の通達を行う方針」である旨が掲載されていました。
ところで同会は、今回問題になった本人確認等の方策を定める規律制定をめぐって、目下のところ、会長をはじめとする執行部が司法書士法に基づく会則を違反する行為を繰り返している異常事態にあります。会則違反は司法書士法違反になります(司法書士法23条)。
具体的な事実関係につきましては、別添の2008年2月29日付け「週刊法律新聞」第1754号の記事をご参照下さい。少しだけ補足しますと、第1の会則違反は、総会員の3分の1以上の請求があった場合の会長の総会招集義務(会則41条1項)を無視して総会を招集しなかったこと、第2の会則違反は、執行部が主張する07年11月30日の臨時総会決議に基づく「新会則」が約2カ月後の臨時総会で無効と決議されたにもかかわらずそれに従わない総会決議遵守義務違反(会則100条)などがあります。
そのような状況にあって、来る5月24日に開催される同会定時総会には、会員から、会長及び副会長の司法書士法違反を理由に、会長らを解任する議案も提出されています。
かような次第で、現状の埼玉司法書士会に「注意喚起の通達」を行う資格はありませんし、行っても説得力に乏しいものになります。
このような本人確認をめぐる埼玉司法書士会の混乱は、埼玉に留まるものではなく、全国で起こっているのです。
本年3月に犯罪収益移転防止法が施行され、一定の業務についての本人確認等が義務づけられました。一方で、同法が市民のプライバシー権の侵害にあたる懸念が強く問題視されているのは周知の通りです。
この問題ある法律に乗じて、市民の権利保護のためという方便で司法書士の権限拡大(今回の容疑である資格者代理人による本人確認制度の要件緩和及び権限拡充、司法書士による公証権限獲得など)を目論む執行側と、本人確認の徹底の必要性を認めつつも、基本的人権の擁護の観点から執行側の姿勢を問題視する一般会員との両者の対立が混乱の基礎にあって、全国の司法書士界は泥沼状態なのです。
司法書士の権限拡大のために、法で定める範囲を大きく超えて市民の詳細なる個人情報が記録され、それが長期にわたって保存蓄積されていく。市民にはこうした実態が伏せられた状態で、そのようなことが今まさに進行しているのです。
貴紙におかれましては、ぜひとも、この問題も含めた取材を行って頂きたくお願い申し上げる次第です。
なお、私は、いつでも取材に応じる用意がございます。また、インターネット上のブログにて実名を明かした上で上記問題の提起及び資料の開示をしております(URL等は別紙のとおりです)。よろしければご参照下さいませ。
末筆ではございますが、貴紙のますますのご発展をお祈りいたします。
敬具
2008年5月10日
埼玉県川越市大手町7番地16
埼玉司法書士会会員
司法書士 広 田 博 志
(別紙)
関係するブログ記事一覧
・1月4日付「埼玉司法書士会で”緊急”理事会」
http://hirotahiroshi.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_126e.html
・1月11日付「埼玉司法書士会会長が会則違反を宣言」
http://hirotahiroshi.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_2615.html
・2月11日付「【速報】埼玉司法書士会,総会決議無効を可決」
http://hirotahiroshi.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_37cf.html
・2月21日付「会則違反の会長が会則を守れとは,漫才か?」
http://hirotahiroshi.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_a930.html
・3月5日付「週刊法律新聞第1754号について」
http://hirotahiroshi.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_34eb.html
(第66号)
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