埼玉司法書士会第41回定時総会
2008年5月24日,埼玉司法書士会第41回定時総会が開催されました。
この定時総会には,執行部提案の議案のほか,会員から3つの議案が事前に提出されていました。会員提出の議案は,昨年11月30日の臨時総会で追加した(とされる)会則を削除して,本人確認等義務を維持しつつその記録の作成及び保存を法律の範囲内に限るという会則一部改正議案(議案第17号,以下,「再改正議案」ともいいます),会長及び副会長4名を解任する議案(議案第18号及び第19号)です(議案の詳細は,当ブログ5月12日付け「埼玉司法書士会定時総会の招集通知届く」参照)。
まず議案第17号ですが,投票による表決の結果,次のとおり可決されました。
・総会組織会員総数(会則第39条) 707名
・出席会員数 545名(うち委任状出席者 350名)
・賛成317 反対224 無効4 棄権0
提案されていた改正案は次のとおりです。
※議案第17号 埼玉司法書士会会則一部改正の件
当会会則の一部を次のとおり改正する。
会則第93条の2を削り、会則93条の後に次の1条を新設する。
(依頼者等の本人確認等)
第93条の2 会員は、業務(相談業務を除く。)を行うに際し、依頼者及びその代理人等の本人であることの確認並びに依頼の内容及び意思の確認を行わなければならない。
2 前項の確認事項及び依頼内容等に関し、法令に定めがある事項については、記録を作成しこれを保存しなければならない。
次のとおり附則を定める。
附則(施行期日)
1 この会則は、認可の日から施行する。
(総会会議規則第46条に基づいて,字句の修正等について議長に一任する動議も可決承認済み)
この可決を受け,議案第18号及び第19号が議題となる前に,解任当事者の議決権が特別利害関係にあたるかどうかをめぐって,特別利害関係にあたらないとする執行部側とそれに異議を唱える側との動議が重なり,議長の判断で議事は一時中断,暫時休憩となりました。
この間に,公式非公式を問わず様々な協議が行われ,50分間ほど経過したのち議事は再開されました。再開にあたって議事運営委員長からの説明があり,会長及び副会長から今後の執行についての表明を頂きたいという議長への諮問があり,議長はこれを認め,会長に発言を許可しました。
そうしたところ,会長は,次のとおり表明されました。
「総会会場の皆さま,大変お待たせいたしました。何かとご心配もおかけしております。ただいまは埼玉司法書士会会則一部改正の議案を慎重ご審議のうえ,可決していただきました。私どもはこの議案については反対の立場を貫いたわけでありますけれども,この総会で可決された以上は,これに従って執行して参ります。最初の会長挨拶でも申し上げましたとおり,会の執行部というものは,法令,会則,総会決議に従って粛々と会員の意思に従い,業務を執行していく,会務を執行していく,これが仕事であり当然のことでございます。従いまして,本日可決されました会則一部改正についても,そのとおり認可申請当然致しますし,また日司連には,これが認可するにつき相当であると,そういう意見を付して頂けるように会として働きかける,これも認可申請の業務の一環として当然のこととして行って参るつもりでございます。2月11日の総会のこと,それから11月30日の総会のこと,この決議内容の比較等先ほども縷々お話し申し上げましたけれども,本日のこの決議に従うことが,結果的に2月11日の決議の趣旨に沿うものであるということであれば,そのとおりかもしれません。なお,この間,会則改正の問題につきまして,会員の皆さまの多数の反対意見等頂きました。執行部としては会員全員の皆さまの気持ちを一つにまとめて,反対意見なく一丸となって会則は決め,または執行していく,もちろんそれを目指しているわけでございますが,そういうことができなかったという点については力不足を反省しております。今後はさらに,皆さまの意を体して民主的な会務の執行に努めていく所存でございます。以上です。」(大きな拍手)
これに続いて,副会長4名からも順次,意見表明がなされました。
「私たちは理事でありまして,会長の指名によって副会長を任命しております。常任理事も同じでございます。そういう意味で会長の方からお話ししましたとおりの業務執行を私はやらしていただきますのでよろしくお願いします」(石川重夫副会長)
「いま石川理事が話したとおり,会長の指名によって副会長にさせられて(?)おります。ですから会長の意向は副会長の意向,というか行動をケアしたりということは重々承知しておりますので,そのように理解していただいてよろしいと思います。認可申請等については,これは会の会則改正を決議した場合には認可申請することにはなっておりますので,そういう執行はする,ということでご理解いただきたいと思います」(佐藤美好副会長)
「私も藤縄会長の指名(?)によって副会長をしております。副会長は会長を補佐し業務を執行していく立場にございますので,会長のご意向どおり業務を執行していきたいと思います。よろしくお願い致します」(知久公子副会長)
「これまでも法令,会則等に基づいた会務執行をしてきたつもりでいますけれども,今回の総会の決議が当然会務執行を縛るものでもありますし,それは当然のことだと思っております。そういった立場から会長の職務を支えて行き(?)たいと思っております。よろしくお願い致します」(中川修治副会長)
この意見表明を受け,私が賛成者のうちの1名にもなっている議案第18号及び第19号(会長及び副会長4名の解任議案)を提出している矢島亮会員から発言許可の申し出があり,議長はこれを許可し,矢島会員は次のように述べました。
「ただいま,会長の意見表明を聞いておりまして,今日の317という結果を受け,我々が,私が,今まで求めてきた総会の決議を尊重し,その決議に従った業務執行を行っていただく,それが11月30日,2月11日の決議を遵守することだということが同じであればそういうことだということで,会長からお話いただきました。また,日司連にも認可相当の意見を出してくれるように働きかけるということを,それを執行部一丸となって全力を尽くしていただくということを約束していただきました。また,会長を補佐される副会長4名の皆さんも,それを当然のこととして会長の方針に従い補佐するということを意見表明していただきました。これまで私が求めてきたことが,会長が総会決議を遵守してくれるということを約束して下さいましたので,私の議案提出書の補足に書いてあるとおり,それが実現しましたので,また,この議案を提案する理由がなくなりましたので,総会に出席している賛成記名者を連記して,総会会議規則第19条に基づき本総会に提出しました議案第18号と議案第19号を撤回いたします」(大きな拍手)
このあと議場は,残った今年度の事業計画及び予算等の各議案について,議案第17号で可決された会則改正によって抵触する部分を除いて原案どおり承認し,予定された時間内にすべての議案の審議を終え散会となりました。これは,林康雄議長による終始冷静で公正かつ公平なる議事運営の成果でもあり,議長を称えるべきなのでしょう。
埼玉司法書士会における「本人確認及びその記録保存等に関する会則改正」をめぐる昨年11月30日以降の状況については,その背景を含め,当ブログにおいてもこれまで度々お知らせしてきました。様々な困難に直面しながらの半年間でした。しかし中途であきらめることなく,私たちは,丁寧に運動を進めてきたつもりです。その運動に対して多くの会員による支持が持続したことで,それが再改正議案の提出,そして可決に繋がり,これまでの路線を見直す会長の意見表明へと結実したのだろうと思います。
メモを見ることもなくご自身の言葉で,簡潔明瞭なお話をするその姿を拝見して,厚く垂れ込めていた漆黒の雲が晴れ,輝く藤縄会長の光が私のもとに再び差して参りました。
今後も認可の問題が控えていますが,土壇場での会長及び副会長の゛英断゛によって,総会と執行部の意思が同じ方向に向かうことになりました。執行部が再び,ハチャメチャな言動を繰り広げていた勢力と同じ方向を向かなければ,今回の問題での埼玉司法書士会の混乱は収束に向かうでしょう。
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記録を整理する意味で,昨年11月30日以降の経緯を時系列に従って箇条書きで書き出しておきます。
2007年11月30日
埼玉司法書士会臨時総会開催。下記93条の2を追加する会則改正議案を,出席会員数571(うち委任状405)のうち賛成とする者286だとして可決(議長発表)
(依頼者等の本人確認等)
第93条の2 会員は、業務(相談業務を除く。)を行うに際し、依頼者及びその代理人等の本人であることの確認並びに依頼の内容及び意思の確認を行い、本人であることの確認及び依頼された事務の内容に関する記録を書面又は電磁的記録により作成しなければならない。
2 前項の記録は、事件の終了時から10年間保存しなければならない。
3 前各項について必要な事項は、理事会において定める。
2007年12月7日
週刊法律新聞(第1744号)が,「マネロン法伴う会則改正,日司連案に沿う案/辛くも1票差可決,埼玉会 異論の強さ浮き彫り」という各見出しで報道
2007年12月17日
埼玉司法書士会藤縄会長が,「臨時総会に関する補足説明について」(平成19年12月17日埼司総発第163号)を発表
2007年12月19日
会員から会則41条1項に基づく総会員の3分の1以上の会員による11月30日の会則改正決議の無効を決議議案とする「臨時総会特別招集請求書」発送(書留内容証明郵便で21日到達)
2007年12月27日
埼玉司法書士会会長が,11月30日臨時総会決議に基づく会則改正について,司法書士法54条1項に基づき法務大臣へ認可を申請
2008年1月4日
埼玉司法書士会「緊急」理事会において,会則41条1項に基づく総会招集請求にかかる臨時総会の招集をしない旨を決定
2008年1月7日
会員から会則改正について認可をしないよう求める旨の請願書を法務大臣宛てに発送(書留内容証明郵便,1月26日に第2次,2月11日に第3次をそれぞれ発送)
2008年1月10日
1月4日の理事会承認を受け,埼玉司法書士会会長が,「臨時総会特別招集請求への対応について(報告)」(平成20年1月10日埼司総発第183号)を発表
2008年1月20日
埼玉司法書士会支部長会開催。会則41条1項による総会招集をすべきことを会長に建議すること,及び同条1項2項にかかわらず総会招集時における招集者への協力をする旨の動議を否決(賛5反9)
2008年1月26日
会則41条2項に基づき,会員から2月11日に臨時総会を開催する招集通知及び審議に必要な資料を発送
2008年1月30日
日本司法書士会連合会佐藤純通会長が,法務大臣宛てに,埼玉司法書士会の11月30日臨時総会決議による会則一部改正について,「適正な変更と思料いたしますので認可賜りますようお願い申し上げます」とする司法書士法54条2項に基づく意見書を提出(平成20年1月30日日司連発第1652号)
2008年2月11日
埼玉司法書士会臨時総会開催。11月30日の臨時総会でなされた当該会則改正決議が「無効である」とする議案を,出席会員数333(うち委任状277)のうち賛成とする者323(反対8,無効0,白票0)だとして可決(議長発表)
2008年2月14日
法務大臣が,11月30日臨時総会決議に基づく会則一部変更を認可
2008年2月15日
日本司法書士会連合会理事会で,「本人確認等に関する規程基準」を可決
2008年2月20日
埼玉司法書士会会長が,新会則,すなわち11月30日臨時総会決議に基づく会則93条の2の認可がなされたので,それに従って業務を行うよう全会員宛に通知(平成20年2月20日埼司総発第216号,同217号)
2008年2月29日
週刊法律新聞(第1754号)が,「マネロン法対応埼玉会の決議,臨総で『無効』議決,有志が招集,執行部は依然『有効』,『大臣認可』をタテに執行部」という各見出しで報道
2008年3月10日
埼玉司法書士会執行部が,「会則一部変更認可の経過報告等説明会」を県内4カ所で同時開催。熊谷会場に出席した藤縄会長が,2月11日の総会決議について「意味がない」旨回答(説明の要旨が4月16日公表)
2008年4月22日
2月11日臨時総会の議長及び副議長であった会員が,11月30日臨時総会決議に基づき新設された会則93条の2を削り,新たに別の一箇条を設ける会則一部改正議案(以下,「再改正議案」という)を提出。
同日,別の会員から会長及び副会長4名を解任する議案も提出
2008年5月9日
埼玉司法書士会平野馨総務部長が,再改正議案について「当会としては同議案については支持できません」とする文書(平成20年5月9日埼司総発第295号)を発表,5月24日開催の第41回定時総会の招集通知とともに全会員宛に郵送
同日,週刊法律新聞(第1762号)が,「マネロン法対応会則改正で混乱,埼玉会正副会長の解任議案を提出へ,今月の総会に有志,司法書士法違反も,『会則遵守義務違反は明らか』」という各見出しで報道
2008年5月13日
埼玉司法書士会会長が個人の立場で,「定時総会に向けて会長のお願い」と題する,再改正議案及び解任議案に反対するよう呼びかける文書を全会員宛に郵送(翌14日配達)
2008年5月15日
埼玉司法書士会が,会長,副会長及び常任理事全員の記名による「全会員参加の定時総会を願う(声明)」と題する,再改正議案及び解任議案に反対するよう呼びかける文書を全会員宛宛てにFAX送信
2008年5月16日
週刊法律新聞(第1763号)が,「マネロン法対応会則改正問題,『臨総には改正決議を無効にする効力ない』,埼玉司法書士会が『見解』,『無視しても問題ない』」という各見出しで報道
2008年5月20日
埼玉司法書士会早川敏夫名誉会長及び内田克彦相談役らほか4名が,「埼玉司法書士会 顧問・名誉会長・相談役会」と書かれた封筒にて,再改正議案及び解任議案に反対するよう呼びかける文書を全会員宛に郵送,顧問の山本正士弁護士の「意見書」も同封(翌21日配達)
2008年5月24日
埼玉司法書士会第41回定時総会開催(総会員数707名)。再改正議案を,出席会員数545(うち委任状350)のうち賛成とする者317(反対224,無効4,棄権0)だとして可決(議長発表)。会長及び副会長4名の解任議案は,総会決議の遵守及びその履行を約束する会長及び副会長4名の「意見表明」を受け,提案者が議案の全部を撤回して決着
…2008年6月には,日本司法書士会連合会の定時総会があります。
(第73号)
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コメント
5月25日23時頃から日付が変わる頃にかけて,反訳の見直し,記事全体について字句の修正,推敲による文章の変更を実施しました。
具体的な日付や数字の誤りはありませんでしたが,すでに記事を保存された方におかれましては,最新版に更新していただきますようお願い申し上げる次第です。
投稿: 鉄まんアトム | 2008年5月26日 (月) 00時16分
鉄まんアトムさん、定時総会は(も?)お疲れ様でした。
そういえば、会則一部<再>改正議案が可決され、解任議案が撤回された後の、今年度の事業計画についての質問に対する執行部の答弁の中で、とても頼もしい発言がありましたね。
答弁された常任理事の方は、日司連代議員でもいらっしゃいますが、「日司連の今回の会則改正のタイムスケジュールが非常に速すぎた、というか、理解がないまま身勝手なところも散見されましたので、この点、今回の会則再改正を受けて、日司連の姿勢を糾弾したいな、と思っています。」と宣言されていました。会場からは、会長の声明のときにも負けないくらいの、大きな拍手が起きていましたね。(私も拍手しちゃいました)
日司連へのキツ~い”糾弾”を期待しています。
投稿: 総会出席者 | 2008年5月26日 (月) 21時29分