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雲上の温泉と湖底に沈む温泉と

 私は、温泉が大好きです。
 いま現在、一番のお気に入りは群馬県万座。標高1800メートルの雲上にある温泉地です。
 80~90度の強酸性硫黄泉、自噴で湧出量は1日540万リットルにも及び、源泉は27種もあるといいます。源泉掛け流しで、泉温が高く加水してもお湯が濃く、泉質は゛極上゛の一語に尽きます。10数軒の宿泊施設以外に民家がなく、夜には自動車の通行もなくなり静寂に包み込まれます。晴れていれば、露天風呂で満天の星空を仰ぎながらの湯浴みも楽しめます。

 たまたま予定の空いていた先週末、予約ができたので行ってきました。定宿は不買運動の対象ですので、今回は別な宿を取りました。「泉堅」がキーワードの今回の宿は、万座の中で最も歴史があり、源泉にも近いところです。細かいことは他に譲るとして、ここの「極楽湯」と「苦湯」が気に入りました。次回の万座もこのホテルを利用しようと思います。080429_1
 昨年の同時期にも万座に行きましたが、気候に対する認識が甘く、雪のため万座ハイウェイの料金所にて足止め、ホテルの迎えのバスに乗り換えることになりました。その学習の成果あって、今年はスタッドレスで行くことにしました。
 やはり天候は雪。冬季閉鎖から開通したばかりの志賀草津道路(国道292号)で、草津から白根山を経由して゛雪の回廊゛を楽しむつもりでしたけど、白根山では霧も加わり視界がほとんどありませんでした。
 万座に着いても天気は変わらず、満天の星空も見られませんでした。その代わり、露天の「極楽湯」で、季節外れの雪見風呂が堪能できました。

080429_2  翌日、前日の悪天候がうそのように晴れました。
 チェックアウトぎりぎりまで温泉を堪能し、遅めの出発となりました。白根山で寄り道をし、湯釜を見てから前日のルートを引き返しました。草津を通り過ぎ長野原まで降りてくると、ちょうど桜が満開でした。
 長野原から川原湯温泉にかけては、以前とは景色が一変しています。川原湯080429_6080429_7の下流にある吾妻渓谷(国指定の名勝)に建設される「八ツ場ダム」で水没する道路の付け替え工事によるもので、周囲の風景にまったく馴染まない巨大な橋脚群がそびえ立っています。

 八ツ場ダムは、800年以上の歴史がある川原湯温泉街を源泉もろとも完全に水没させ、吾妻峡の渓谷美の大半を破壊してしまいます。長さ7.2mの日本一短い鉄道トンネルである「樽沢隧道」(JR吾妻線岩島-川原湯温泉間)も失われます。
080429_3 計画から50年以上を経て、本当にこのダムは必要不可欠なものなのでしょうか。
 総事業費は2110億円から4600億円に膨れあがり、再々度の増額の可能性もあります。これらは治水特別会計の補助金や起債によって賄われますから、将来の金利負担も必要です。ダム完成後は首都圏の水道水として主に利用されることになるのですが、万座や草津の温泉地を水源とする吾妻川は強酸性の水質で、化学薬品を使って中和をしないと利用ができません。景観や費用の問題だけでなく、健康の問題もあるのです。
 ダム工事によって地元にはお金が”降ってくる”のでしょうけど、そんな゛目先の利益゛の代償は、必ず誰かが結局は払うことになるのです。
 ダムの完成予定は2010年度とされています。まもなくダム本体に着工するため、川の本流を迂回させる工事が始まります。吾妻渓谷を見て川原湯温泉に入れるのが今しかないのか、ダムをやめるのが今しかないのか。止みそうもない工事を尻目に、万座に行く際には立ち寄って、゛かけ湯゛や゛あがり湯゛をしていくつもりです。

(第63号)

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本文の写真の説明です(上から順で同列は左から)。
[080429_1] 国道292号白根山付近
[080429_2] 残雪の万座(左の建物がかつての「定宿」,右上の建物が今回泊まった宿の一部)
[080429_6] 吾妻線列車から見た付け替え道路工事の模様[080429_7] 同上
[080429_3] 吾妻川にかかる鯉のぼりと偶然通った吾妻線の列車(水没予定。ちなみに,ここに写っているトンネルは「樽沢隧道」ではありません)
[080429_4] 川原湯温泉駅の駅名標(水没予定)
[080429_5] 桜咲く川原湯温泉駅全景(水没予定)

投稿: 鉄まんアトム | 2008年4月29日 (火) 23時45分

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