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四国遍路第8話(宿毛で)

 ~大浴場は完備でも~

 宿に着くと何やらにぎやかである。聞くと、結婚式の披露宴をやっているとのことでした。時刻は19時半をまわっています。「夕食がまだでしたら」とにぎやかな方を指し示されましたが、荷物を部屋に置いて考えることにしました。
 ところが、部屋に行く途中、廊下の電気は消されて真っ暗、階段の途中に部屋のドアがあったりと不気味。指定された部屋のドアは、まるで機械室にでも入るかのようなものでした。ホテルの御食事処でのカツオ料理を楽しみにしてきましたが、こんな状態ではまともなものは期待できないので、外へ行くことにしました。

 部屋に留まること10秒、フロントへ折り返します。念のため、大浴場をチェックすると、やはり電気が消され、浴槽には湯が張ってありませんでした。予約とは違うホテルに来てしまったか、と考え直し、帰ってからネットでチェックしましたけどまちがいありませんでした。ネットはあてになりません。
 外に出たはいいものの、あたりは真っ暗。とおくにファミレスの灯りが見えるので、そこまで歩きました。肉料理と生ビールを注文すると、クルマはどうするのか?と聞かれました。「歩いてきたから大丈夫」と答えても信用してもらえません。飲酒運転という犯罪者を見るまなざしです。
 そりゃぁそうでしょうよ、こんな周りに何もないところで、この暗闇のどこからノコノコといい歳したおっさんが歩いてこようというのだ。もっともです。私でも疑います。
 でも、事情を説明して、やっとビールを出してもらいました。
 ビール、食事の順で出され、食事は冷たく、最後に枝豆が出てきました。なんだかもう、がっかりです。
 来る途中にあったコンビニで氷を買って、お化けが出そうな部屋でテレビでも見ながら、ウイスキーでも一杯やるか。早々に帰ります。
 部屋に戻ってテレビをつけたら、つきません。音しか出ません。何をどうしても画面が出ません。”エンタの神様”を音だけ聞いても面白くありませんでした。
 こういうときは寝るのが一番です。

 (第9話へ続く)

(第43号)

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