週刊法律新聞第1754号について
2008年2月29日付けの標記「週刊法律新聞」は,埼玉司法書士会の2月11日臨時総会での無効議決を報じました。
記事の内容のほとんどは,当ブログですでに報じていることと同じです。特段,目新しいことは見当たりませんでした。しかし,公刊物で報じられることには大きな意味があると思います。ネット情報は一般に信用性が低いとされています。そのネット情報である当ブログ記事よりも後の日付の公刊物で同じ内容が報じられたことで,当ブログ記事の正確性に1つの裏付けが加わったともいえるでしょう。
さてところで,同紙はこの記事の中で,
<1>「埼玉司法書士会(藤縄雅啓会長)の一部有志が十一日に臨時総会を招集、昨年十一月に行われた臨総での会則改正決議を『無効とする』と議決していた」
<2>「犯罪収益防止法(ママ)に対し、…(中略)…界内には現行法への反対論が依然として存在する。しかし一方で、同法への現実的な対応として、日司連では、司法書士会会則見直しのモデル案を作成したうえ、全国の司法書士会に対応を要請した」
と報じています。
この下線を付した二点は重要なことなので,コメントをしておきたいと思います。
まず<1>について。
2008年2月11日,埼玉司法書士会臨時総会で議決されたのは,昨年11月に行われた臨時総会での会則改正決議が「無効である」旨の決議であり,「無効とする」議決をしたのではありません。無効であるのか,無効とするのか,には大きな違いがあると私は理解しております。
ついで<2>について。
日司連が全国の司法書士会に対応を要請した「モデル案」は,どこをどのように理解しても,けして「現実的な」ものではありません。
具体的には,相談を除くすべての業務のすべての当事者の本人及びその意思を確認して,1人につき16項目にも及ぶ記録を作成,これを10年間保存する義務を課すシロモノでした。銀行支店の窓口の女性から登記の依頼を受けたとき,彼女の住所や生年月日を尋ね,運転免許証のコピーまで要求しろ,と。
机上の空論ともいうべき,現実に現場にいる司法書士がおおよそ実践することのできないものです。その必要性や妥当性に渦巻く大きな疑問は未だ消え去りません。
ですから,日司連が現実的な対応を行い,それに反対する者が非現実的であるかのようにも読めるこの記事には賛成しかねます。記事としては,「同法への対応として」で必要十分ではないでしょうか。
新聞の使命として,事実を正確に記事にすることはもちろん,客観的な事実がストレートに読み手に伝わるような報道をしなければなりません(論評記事は除く。つまり,事実と意見を明確に分けるということです)。
事実報道に,「現実的な」という必要のない主観が混じったことで,報道の価値が減退するばかりでなく,受け手によっては事象を正反対に捉える恐れも否定できず,こうなると事実報道の新聞記事としては致命的ともいえるのです。(「無効である」とする議決を,「無効とする」議決だと報じた)議決内容の記事については,事実との相違が明らかですから,誤報というほかありません。
その点だけはどうしても述べておきたくなり筆をとりました。
「週刊法律新聞」に悪意はありません。そればかりか,紙面の大半を割いて大きな記事にしていただき,全体としては感謝しています。そのことを申し添えて,筆を置くことに致します。
(第34号)
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げんじつ-てき【現実的】
(1) 現実にあるさま
(2) 現実に即しているさま。実際的であるさま。
出典「日本国語大辞典精選版」
投稿: 鉄まんアトム | 2008年3月 5日 (水) 20時01分