« 「旅と鉄道」3月号の表紙 | トップページ | 映画「日本の青空」川越上映会が開催されました »

会則違反の会長が会則を守れとは,漫才か?

 埼玉司法書士会藤縄会長は,2008年2月20日,会員宛に文書(埼司総発第216号・同第217号,以下,「本件各通知」といいます)を発しました。その要旨は,【1】2007年11月30日臨時総会決議(以下,「1130決議」といいます)によりなされた会則一部改正について,2008年2月14日付法務省民2第600号をもって法務大臣の認可(以下,「本件認可」といいます)の通知があったこと,【2】これにより,認可の日から当該改正会則が施行されることになったこと,【3】それゆえ,会員は,同日以降その会則(※注)の趣旨に沿って業務を取り扱え,というものです。
 ところで,埼玉司法書士会では,1130決議には採決に重大なる瑕疵があって同決議が無効である旨,2008年2月11日臨時総会決議(以下,「211決議」といいます)によって,すでに確認,宣言しています。211決議は,1130決議を「無効とする」ものではなく,「当初から無効である」ことを確認しています。

 さあ,それでは藤縄会長は,本件各通知で一体何が言いたいのでしょうか。
 本件認可がなされたことにより,1130決議に「お墨付き」が得られた,とでも言いたいのでしょうか。
 しかし,行政法の一般原則として,「認可」は,前提となる法律行為に瑕疵があるときに,その瑕疵を治癒又は補正するものではありません。「認可」によって,瑕疵ある法律行為が有効になることもありません。認可を行う主務官庁が,前提となる法律行為の効力について審査権限を有するものでもありません。これらは,いわば”常識”です(「行政法要論(全訂第五版)」原田尚彦・学陽書房,「行政法総論講義(第3版増補)」芝池義一・有斐閣,ほか文献多数。最一小判昭和35年6月2日民集14巻9号1565頁,東京高判平成2年1月30日行裁集41巻1号182頁,ほか判例も多数)。

 さて,ここで視点を変えて,埼玉司法書士会の法人としての組織のことを考えてみましょう。
 会を構成するのは会員であり,会員は会則を定め,その議決機関として,また最高意思決定機関として総会を置いています。一方,執行機関として会長以下の役員が置かれ,役員の選任はすべて総会においてなされます。両者の上下関係でいえば,総会が上位であって,会長を含む役員は総会の下に位置しています。会員はもちろん,会長以下すべての役員も総会の支配下にある,ということです。
 他方,同会会則第100条では,「会員は、連合会並びに本会の会則、規則、支部規則及び総会の決議を守らなければならない。」とあり,この「会員」に会長が含まれるのは当然のことです。会員,そして会長が守らなければならないこととして,会則があり,総会決議があるのです。”国会は,国権の最高機関であって,国の唯一の立法機関である”(憲法第41条)と同じことが,総会にも当てはまるのです。
 では,いま,何が,埼玉司法書士会で起こっているのでしょうか。
 埼玉司法書士会は,昨年11月以降これまでに2つの総会を開き,形式上,1130決議と211決議の2つの決議が存在します。そして,後の211決議で,先の1130決議は「無効である」と可決しているのです。
 会長は,本件各通知で1130決議に依拠する会則を守れというとき,211決議は考慮しないのでしょうか。しなくていいのでしょうか。”後法は前法を排除する”という法諺もあります。どう考えても,埼玉司法書士会の一機関である会長としては,同会会則第100条を遵守し,211決議を守らなければなりません。会の内部の意思として無効とされた1130決議に基づく認可申請は,機関の行為としてそれ自体失当というべきです。
 しかしながら,当ブログ記事にて報じたように,すでに藤縄会長は,2008年1月,同会会則41条1項を無視する会則違反行為を行っています。このままでは,これに211決議の無視という同100条違反も付け加わってしまいます。
 会則,そして総会の支配を受けなければならない会長が,その支配に従わず,その支配に逆らい,反対に”意味のない”本件各通知をして会員を支配する,というのでは主客転倒もいいところです。これでは,埼玉司法書士会は,会則や総会ではなく,藤縄会長という人に支配されていることになります。
 自ら”法律家”を掲げている団体に,”法の支配”という最も重要な理念が欠落している事態をどう理解したらいいのでしょうか。

 もつれた糸は,地道にほどくしかありません。崩れた積み木は,下からでないと積み直すことはできません。会則改正も,藤縄会長が必要だというのなら,最初からやり直すしか道はありません。無効なものはどこまでも無効です。
 こんな引きまくりの漫才をしていては,客足も遠のいてしまいます。

平成20年2月20日埼司総発第216号
平成20年2月20日埼司総発第217号
平成20年2月20日埼司総発第218号

(※注)
 会員(司法書士)は,相談を除くすべての業務を行うに際し,すべての依頼者及び代理人等の本人であることの確認並びに依頼の内容及び意思の確認を行い,これに関する記録を作成し,10年間保存しなければならない,その方法はすべて会則で画一的に定める,というものです。

(第30号)

|

« 「旅と鉄道」3月号の表紙 | トップページ | 映画「日本の青空」川越上映会が開催されました »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/504670/40199750

この記事へのトラックバック一覧です: 会則違反の会長が会則を守れとは,漫才か?:

« 「旅と鉄道」3月号の表紙 | トップページ | 映画「日本の青空」川越上映会が開催されました »