埼玉司法書士会で”緊急”理事会
埼玉司法書士会では,本日(1月4日),緊急の理事会を開催します。
なぜ,「緊急」なのか。これには,若干の前提説明を要します。
まず,ここに至るまでの経緯を,文章にすると評価(意見)が入りやすいので,時系列に従って箇条書きで記すことにします。
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2006年6月23日
日本司法書士会連合会(以下,「日司連」といいます)第68回定時総会で,「司法書士を国家への依頼者密告制度(ゲートキーパー制度)の適用対象とする立法化に反対する決議」を採択
2007年2月13日
「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下,本稿において「GK法」といいます)案の閣議決定
2007年3月29日 GK法成立(08年4月完全施行予定)
GK法4条に掲げられた「特定業務」についてのみ本人確認及びその記録作成義務。作成された本人確認記録の7年間保存義務
2007年6月22日
日司連第69回定時総会で,「国家公安委員会への提出を前提とする司法書士の本人確認義務等を定める『犯罪による収益の移転防止に関する法律』に,改めて反対し,司法書士の本人確認義務につき適用除外とする法改正を求める決議」を採択
2007年10月17日
日司連第5回理事会にて,「本人確認及び記録保存に関する司法書士会則基準」の一部改正を承認。以後,公式に,全国の単位司法書士会に対して会則改正を要請。会則が改正されると,GK法4条に掲げられた「特定業務」のほか,相談を除くすべての業務におけるすべての当事者について本人確認及びその記録作成義務。作成された本人確認記録の10年間保存義務化。
2007年11月10日
埼玉司法書士会臨時総会招集通知(平成19年11月9日埼司総発第128号)到達
2007年11月21日
日司連佐藤純通会長「『本人確認等に関する司法書士会会則一部改正』に対する声明」を発表
2007年11月30日
埼玉司法書士会臨時総会開催。会則改正を,出席会員数571(うち委任状405)のうち賛成とする者286だとして可決(議長発表)
2007年12月17日
埼玉司法書士会藤縄会長「臨時総会に関する補足説明について」(平成19年12月17日埼司総発第163号)を発表
2007年12月19日
11月30日の会則改正決議の無効を決議議案とする「臨時総会特別招集請求書」発送(書留内容証明郵便で21日到達)
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このような経緯を辿った本件の問題点は2つあります。
1つは,GK法及び会則改正案そのものの問題。もう1つは,その会則改正を審議した総会における採決の瑕疵の問題です。
第1の問題については,簡潔にいえば,GK法が令状なしによる警察の立入検査権を定めたために,そのこと自体の問題に加え,司法書士が厳格に守らなければならない会則に,広範な依頼者の記録を保存するよう義務づける改正をすることで,GK法に基づき警察が立ち入った場合に,依頼者のプライバシー情報が,国家,しかも警察権力に蓄積されてしまい,これがひいては,依頼者と司法書士を繋ぐ信頼の根幹である守秘義務を全うできなくなるのではないか,という問題です。この問題の詳細については,別稿に譲ることにします。
ここでは,第2の問題に触れるのですが,第2の問題の前提として,このような会則改正を審議する臨時総会があった,という説明をするために,このような前置きをしました。
さて,ようやく本題です。
私たちの社会では,広く多数決によって物事を決定していく仕組みを採用しています。その際に,もっとも重視されるのは,多数決における採決が公平かつ公正である,ということです。
ところで,上記のとおり11月30日に埼玉司法書士会臨時総会で行われた採決には,次のような問題がありました。これが第2の問題で,以下はその具体的な事実の要旨です。
1つ。起立採決したところ,賛成数が過半数と同数だと発表されました。このため,議場から(表決について確認を求める意味である)「再表決」の動議や「反対票も数えるべき」といった議事進行意見が多数挙がったにもかかわらず,議長がこれらをすべて無視して可決を宣言,議事を終了させてしまいました。
1つ。表決を左右する委任状について,重大な疑義が明らかとなりました。自分に宛てられた委任状すら閲覧を認めず,表決の際に確認することすらしませんでした。そしてなんと,総会後に認められた委任状の閲覧をしてみると,委任状が411通あること,1名の会員が2通の委任状を提出していることなどが判明しました。
このようなところから,そのほかの瑕疵を検討するまでもなく,これらの瑕疵は採決の結果に直接影響を及ぼす重大なものであることから,もはや,決議は無効であるというほかないのです。だって,数え間違いや委任状の有効無効が1つでもあれば,表決はまったく反対の結論になってしまう微妙なものなのですから。
さあ,それでは,この無効である決議はどのようにしたらよいのでしょうか。
決議無効確認訴訟などを提起して司法判断を仰ぐ,というのが誰にも分かり易いことだとは思います。ところで,決議の成立手続に瑕疵があれば,決議の内容に瑕疵がある場合と同様に,決議としての効力を有しません。無効の主張方法について法律上明文規定による制限が加えられていない以上,無効を主張する方法に制限はないというべきです(新版注釈民法第2巻411頁以下参照)。
そのような考え方をふまえて私的自治の原則という立場から,埼玉司法書士会の最高意思決定機関である総会で,埼玉司法書士会の総会決議の無効を決議することは当然の事理に属することです。裁判所の力を借りずに,司法書士会内部のことは司法書士会内部で解決することが一番ではないでしょうか。
そこで,皆で納得して臨時総会を開いて審議すればいいと思いますが,執行部がそのような総会を招集することは現実的ではありません(そのような期待をすることは無意味ともいえます)。
一方,埼玉司法書士会会則41条1項は,「会長は,支部長会の決議により,又は司法書士会員の3分の1以上の者から,会議の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を提出して総会招集の請求があったときは,1月以内の日を会日とする総会を招集しなければならない。」と定めています。
埼玉司法書士会の12月19日時点での会員数は698名。この3分の1は233名になります。233人以上が,総会決議無効の決議を審議する総会を招集すべきだ,と考えれば,会員自らの意思で総会を開くことは可能なのです。
私を含む8名の会員で,そのような呼びかけをしたところ,なんと233人を超えた賛同が得られました。すぐさま,私を含む248名(請求書発送時点における賛同者数)の会員は,12月19日付け「臨時総会特別招集請求書」にて,11月30日の会則改正決議の無効を決議し,可決でも否決でもない白紙の状態に返すべく臨時総会の招集請求をしました。手順に手順を重ね,ここまではこぎ着けたのです。
こうなった以上,会長は,会則に従って1日も早い臨時総会の招集をすべきです。
ちなみに,会則41条2項は,「前項の請求があった日の翌日から3週間以内に会長が総会招集の通知を発しないときは,前項の請求者(支部長会の決議により請求する場合は,その議長)が総会を招集することができる」とも定めています。
今日の緊急理事会は,「臨時総会特別招集請求書」について対応を協議するものと思われます。12月21日に書面が到達していますから,会長は,1月21日までを会日とする総会を招集しなければならないのです。そして,埼玉司法書士会の総会会議規則3条では,「議案の審議に必要な資料」を2週間前まで発送しなければならないことになっています。
ですから,緊急なのです。
会長が会則違反をすることにならぬよう「1項招集」をする結論を出してほしいものです。
(第3号)
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